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台・油壺分離式ランプと紙の笠
台が脚付きのコップのような形で、油壺の下半がその中へ嵌るようになっている(写真三、参照)。これは台が金属や木で出来た背の高い座敷ランプなどによくみられる構造であるが、ガラス製の台ランプには珍しい構造である。台の油壺受けにはグラビュール(アブレード技法)の唐草文が一周するものの、他に装飾はなく、すべて透きガラスで作られており潔さがある。
加藤孝次・由水常雄著「洋燈」幻冬舎 には紙製の笠が附属した本品と同一のランプが掲載されており、京都製と解説されている。
このランプを入手してから紙製の笠を探していたところ、運よく入手することができた。入手した笠は二枚で、一枚は写真の赤縁のもの。もう一枚は青縁であったようっだが顔料の問題か、ほぼ色あせており微かに色がわかる程度である。
笠は東京製で、明治三十九年に野口栄吉氏により洋燈笠の名称で特許が取得されている。紙製である利点を生かして笠を開いたり閉じたりしながら調整し、光線の広狭を調節できることが特許の内容である。
このようなランプは火災の危険性から大正期には電球に置き換わり廃れていった。
紙の笠とガラスのランプは強烈に明治のノスタルジーを感じさせるアイテムである。