「閉山 三井三池 124年」(毎日新聞社編)

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江戸時代から「燃える石」を産出し、明治6年に官営鉱山として近代的な採掘が始まった三池炭鉱。

福岡県南端の大牟田市一帯に広がるこの三池炭鉱は炭坑節が生まれた鉱山としても知られていますが、明治、大正、昭和と日本のエネルギーを支え、戦前は東洋一の炭鉱として三井財閥の財源でもあり、戦後も地域社会を支えた産業でしたが、日本政府のエネルギー政策の転換により昭和後半からは衰退の一途を辿り、そして開山から124年後の平成9年、惜しまれつつ閉山しました。

地域一帯には多くの鉱山遺構が残され、多くは撤去されましたが、いくつかの遺構は産業遺産として保存されています。

この三井三池炭鉱の歴史を辿る記録写真集であり、また、炭鉱事故で多くの犠牲を出し、残された家族のその後の塗炭の労苦や、昭和の労働争議での労働者間のいがみ合いが残した地元の遺恨など、地域の方々への取材などを通じて地域の生の声も記録として残す、貴重な本だと思います。

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