「英軍ヒストリカル・ポストカード① Military Paintings of Lady Elizabeth Butler(1846-1933)」(Pompadour Gallery監修・発行)

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さすがにホンモノの絵画は買えませんので、ポストカードでヴィクトリア期〜20世紀初頭のイギリス軍の軍事絵画を蒐集しています。

バルセロナ五輪の1992年にロンドンに行ったのですが、たしかその時にロンドンの Tradition of London店で購入したものだと記憶しております。

このセットは、ミリタリー絵画の巨匠、レディ・エリザベス・バトラーの作品集で、
① Balaclava
② Quatre Bras
③ Steady the Drums and Fifes
④ The Return from Inkerman 
⑤ The Roll Call
⑥ The Defence of Rorke's Dfift

の6枚セット。
先日まで⑥は額装してあったんですが、本日現在、どこかに行ってしまって…? 見つけないと。。。

英軍趣味の私としては、どの絵も隅々まで見ていて全然飽きません。細部まで見ごたえのある精緻な絵画で、それぞれに物語があって、語ると長いですが、以下で長々と語ります(笑)

でも、それぞれの原画、ホンモノをぜひ見てみたいですね。

まず、画像2枚目の絵が、②の「Quatre Bras」です。
ナポレオン戦争の最終決戦、1815年6月のワーテルロー会戦でのキャトル・ブラ部落をめぐる戦いで、方陣を作ってフランス騎兵の突撃に対する防御戦闘を行っている第28グローセスターシャ―歩兵連隊の奮戦を描く絵です。
方陣は周囲からのフランス騎兵の突撃にさらされ、多くの犠牲を出しつつもフランス騎兵の攻撃に耐え抜くのです。方陣の周囲には倒れているフランスの竜騎兵の遺体が横たわっています。
レディ・バトラーはこの絵を1875年に描きました。

画像3枚目の上段。
⑤の「The Roll Call」、クリミヤ戦争における戦闘後の点呼 (roll call)の情景を描いた絵画ですが、負傷者も含まれ、背景には死臭を嗅ぎつけた鳥が飛んでおり陰惨な雰囲気のシーンです。
本作はヴィクトリア女王が購入してウインザー城で飾られていたそうです。
1874年の作品。

その下段の絵は①の「Balaclava」、1854年のクリミヤ戦争のバラクラヴァの戦いのなかでも有名な「勇敢な600騎」、つまり英軍戦史上でも最も無謀な戦闘とも言われる「軽騎兵旅団の突撃」(Charge of the Light Brigade)で、戦闘後に生き残って英軍戦線に戻って来た騎兵たちを描いた悲惨な情景です。
画の右側で呆然と突っ立っている乗馬を失った赤ズボンの軽騎兵、これは第11軽騎兵連隊のW. H. ペニントン一等兵。戦後20年の1876年にレディ・バトラーがこの絵を描いた際に、ペニントンはバトラーのためにモデルとなり、この絵が出来上がりました。(彼はその後、俳優になったとか)

画像4枚目の上段。
乗機の③の「Steady the Drums and Fifes」、訳すと「ドラムと笛を維持せよ」…でしょうか。
1811年、ナポレオン戦争での「半島戦争」(スペインでの英仏の戦い)における、アルブエラの戦いのワンシーンで、Drumはそのままドラム、行進のリズムをとる鼓笛隊の太鼓です。そしてFife、ファイフとは、鼓笛隊の笛のこと。当時の軍隊は、戦闘に少年兵を含む鼓笛隊が先頭で太鼓と笛でリズムをとりながら、敵弾が飛んでこようが構わず徒歩で前進、小銃の射程に入るまで前進をします。このため、鼓笛隊も相当な被害を出しました。この絵の中でも少年たちが満身創痍ですね。(その中で強がって威張っている子もいますね)中には子供のような隊員までいます。
1897年の作品。

そしてその下段。④の「The Return from Inkerman」、インケルマンからの帰還。
インケルマンとはクリミヤ戦争の戦闘のひとつで、陰惨な歩兵戦闘を終えて戻ってくる近衛兵と第20イースト・デボンシャー歩兵連隊の残存兵の様子を描いいています。この絵でも背後には鳥が舞い、死臭ただよう戦場の雰囲気を不気味に描いていますね。
1877年の作品。

本日見つけられなかった⑥の「The Defence of Rorke's Dfift」は、19世紀末の南アフリカ・ズールー戦争における英雄的な戦い、英陸軍第24歩兵ワーウィックシャー歩兵連隊・第2大隊の一個中隊、150人の部隊が民兵と協力し、4,000人のズールー族の猛攻を防ぎきる有名な戦いなのですが、、、このポストカードが見つかったら後日に掲載します。

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