Medtiner/Piano ConcertoNo.2 in c minor op.50 & Piano Quintet inCmajor op.posth(遺作)

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20初頭の硬派 ニコライ・メトネル

ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品 50

 第1楽章 トッカータ:アレグロ リゾリュート(決然と)
 第2楽章 ロマンツェ:アンダンテ コン モート
 第3楽章 ヂヴェルティメント(喜遊曲):アレグロ リゾリュート エ モルト ヴィヴァーチェ

 ピアノ:コンスタンティン・シチェルバコフ
 指揮 :イーゴリ・ゴロフスチン
 オケ :モスクワ交響楽団

https://youtu.be/8cZf4E5hWjo?si=XeNgvwnx55SsE1zP

ピアノ五重奏曲 ハ長調 遺作

 第1楽章 モルト プラシド(発想標語=もっと穏やかに)
 第2楽章 アンダンティーノ コン モート
 第3楽章 フィナーレ:アレグロ ヴィヴァーチェ

 ここでは長いけど、メインのピア協奏曲の方をご紹介。第1番のスポンサー向けのインド風ではなく、真っ向勝負。

 この作曲家、まだ聴いていないものもあるけれど、これはとんでもない人ですね。
ラフマニノフよりも8歳年下だけれど、その実力は20世紀とか19世紀とかの枠を超えてきた作曲家のように思う。

作風は高度で圧倒的なピアノ技巧をベースに置きながら、巨匠ピアニストのために見せ場を故意に作ったところがない。
ラフマニノフのあの交響的音響を研究し尽くし、その堅固な音楽的構築力と融合させている。
管弦楽のパートが高いレベルで維持されていて、ピアニスト、オーケストラ共に弾きごたえのある作品になっている。
彼の自作のモノラル録音を聴くと、メトネル自身の超絶的なピアノ技巧がいやというほど伝わってくるけれど、音楽の流れは19世紀的なロマンティシズムより、もっとスマートでスピーディ。
この作品も第1番と同様友人であったラフマニノフに捧げられている。
当然この作品も演奏の出来が真価の発揮を左右する。

我が道を行ったピアニスト兼作曲家だけれど、こういう人には本当のシンパがいて、インドの王族が終生変わらぬ支持者であったため、その私財によって『メトネル協会』が設立され、その基金により英国グラモフォンが作曲家自身の演奏を中心に多くの作品を記録している。

YouTubeで聴ける作曲者の演奏もそういったところからのデータがCD化されたものだろう。

凡百の協奏曲の中ではラフマニノフの第3番と並んで20世紀のピアノ協奏曲として最高のレベルではないかと思う。
ただ、その余りの堅牢な音構造の選択が抒情性や旋律の豊かさを犠牲にしているという評もある。
でも、案外じっくり聴いていると滋味の生まれるリリシズムが貫徹されている。
ラフマニノフの抒情溢れる柔軟さとこの剛直とも言えるメトネルの直球の魅力は、甲乙付けがたい。

それは彼のピアノソナタ群の質の高さにも言えているのだけれど、ショスタコーヴィチやプロコフィエフの進んだ道ともまた異なる。
ムトンはムトン。
格付を拒み続け、かたくなに製造者のワイン哲学を体現し続けたシャトー・ムトン・ロトシルトを思い出す。

第1楽章冒頭の決然とした和音。
オーケストラにテーマが移るまでの鋼のリリシズム。
こういう旋律がロシアにあるのかボクは知らないけれど、それまでの誰からも聴くことのなかったものだ。
最初の印象は『途半端で変わっている』というものだったけれど、カデンツァ辺りの超絶的なフレージングではカタルシスを覚える。
メトネルは明らかにピアノソナタと異なる一面を見せている。
まだ、全てをボクは聴き通していないけれど、彼のピアノソナタには、近年プロコフィエフ以来の興奮を覚えている。
ただ、協奏曲には彼のピアノソナタほど魅力的で惹きつけられる旋律がない。
だけど、聴き始めるとやめられない。
音楽全体の剛性の高さがこの上もなく挑戦的な気分にさせる。
抒情が溢れているラフマニノフとの距離は開くのかも知れないけれど、これは武蔵と小次郎のようなものだね。

YouTubeにはご本人の残した演奏もあったが、演奏は手持ちのCDと同じものを選んだ。

第2楽章のロマンツァもアンダンテではあるが、音楽は決して優しくない。でもゆったりと歩く部分は管弦楽との絶妙のバランスの中で美しく高揚して行く。
メトネルの自作自演番では残念ながらオーケストラの音が痩せていてモノラルの雑音の中に埋もれている。

ボクが聴いている現代の演奏のオーケストラの美しさでは作品の燻された銀色は、すっかり溶かし固められたばかりの輝きを取り戻している。
そして、ディヴェルティメントと題された第3楽章は、様々な色彩を織り込んだ何回聴いても覚えられない複雑な、でも決して渋いわけではない旋律に充ちている。
多彩な響きが交錯する。

誰が何といおうと、コウだ。という力業。

長くなるのでピアノ五重奏曲はLabへ記述 
https://muuseo.com/Mineosaurus/diaries/176

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