モ―ツァルト/ピアノ協奏曲 No.8&9(Jeunehomme) 弾き振り アシュケナージ フィルハーモニア管弦楽団

0

W.A.モーツァルト/ピアノ協奏曲第8番ハ長調 K.246(リュッツォウ)

 Ⅰ アレグロ
 Ⅱ アンダンテ
 Ⅲ ロンド:テンポ ディ メヌエット

W.A.モーツァルト/ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271(ジュノーム)

 Ⅰ アレグロ
 Ⅱ アンダンティーノ
 Ⅲ ロンド:プレスト

 ピアノ・指揮:ウラディーミル・アシュケナージ 

 オケ  フィルハーモニア管弦楽団

CDの曲順はメインのジュノムが頭に来ています。ここで2曲目のK246(リュッツォウ)について

快曲ですね。

この曲は1776年4月ザルツブルクで作曲された。5番の協奏曲でプロフェッショナルとして自分の足で歩き始め、続く6番で聴衆の心をほぼ射止めたといえる。
ピアノ協奏曲の分野では、モーツアルトがその天才の自在性を発揮し始めた一作。
彼の引き出しにはその時々の聴衆の雰囲気や求められる音楽の嗜好がすべて入っていて、彼は一音のきっかけでそれを聴衆の目の前に引き出して見せた。この『リュッツオウ』は父レオポルトの弟子であったアントーニア・リュッツォウ伯爵夫人のために彼女のピアノの腕前に合わせ、華麗で明るく愉しい曲想を展開している。

ただ、聴いているとわざと優しくしているような部分もなくて、この伯爵夫人はピアノを弾きこなす技術については高いものがあったのではないかと思う。
第1楽章の力強い開始の後の明朗で屈託のない音楽は、女性的とはいえないだろうけれど、女流ピアニストのこなす音楽としては最適の華やかさを持っているのではないか。
彼は以後の演奏旅行でこの第8番を携えており、さまざまな演奏会で披露したと思われるが、カデンツァも自分が弾くためのものとして幾つか残している。
そして、この曲を捧げたのが父レオポルトの弟子である夫人であるにしても、モーツァルトは、自分の求めている音楽のかけらをこの曲に込めることも忘れてはいない。

『本当はここを聴いて欲しいんだ。ボクはここにいるよ。』

そう言っているような部分が幾つかある。

サブリミナルのような第3楽章のイ短調のエピソードが一瞬朗らかに笑っているモーツアルトの笑顔を暗く烈しく燃える目つきに変える。
ボクはこの曲をブレンデルのピアノ、ネヴィル・マリナー指揮アカデミーCO.とアシュケナージの弾き振りで聴いた。
アシュケナージは後年の曲についてあまりにも美しすぎて、モーツアルト自身の大きさが見えなくなるときがあるのですが、この曲のサイズではすばらしいピアノの粒立ちが、時を忘れさせてくれました。
アシュケナージにはこの曲と第24番の特
殊な演奏に独特の魅力があります。

恐らく全集を彼はモーツァルトがしたように弾き振りで通している。グルダなんかも自分の好きな作品には時々やりますが、全曲このスタイルで一貫しているのはこの人だけじゃないかな。ジェフリー・テイトがいないときの内田光子も弾き振りしている演奏を聞いたことがあるけど、全集はどうかな。

サンプルは第3楽章を
https://youtu.be/KkK7iqjO2UA?si=ZzpBdxsAnEGjoO10

長くなるのでK271の方はLab 『もおつあると』に書きます。 https://muuseo.com/Mineosaurus/diaries/174

Default
  • File

    woodstein

    2024/03/23 - 編集済み

     モーツァルトの曲の演奏というと、もちろん数多の名演・名盤が存在しますが、個人的にはイングリッド・ヘブラーがまとまった数が残っていることもあり、聴く頻度が高いですかね。あと、親の影響もありワルター・ギーゼキングも聴きます。で、アシュケナージのモーツァルトですが、印象としてはそれほど悪いものではないです。でも、彼の他の作曲家の曲の演奏に関しては、もちろん全部聴いたわけではないものの、ラフマニノフ以外はあまりいいとは思わない。特にショパンの演奏は嫌いですね。なんていう偏見を持っています。

    返信する
    • File

      グリーン参る

      2024/03/23

      woodsteinさん
      私はモーツァルトのソナタはバレンボイムのものを聴いています。奔放ではありませんが決して生真面目でもなく、知的でバランスの取れた良い演奏だと思っています。

      録音の数は少ないですが、ルプーのモーツァルトもいいですよ。

      返信する
    • Picture

      Mineosaurus

      2024/03/23

      Woodsteinさん ありがとうございます。ギーゼキングいいですね。もうあのLPのモノクロのジャケットは手離していて見られませんが、しっかりテープに残ししています。ピアニストはどの方も基本天才だと思っています。再現芸術って自己表現を演奏から聴きだすのは難しいですけど、モーツアルトって、余白が多くて気分によっていろんなピアニストで聴きます。例えば24番をロマンティックな演奏で聴きたいときはアシュケナージやへブラーとかもっとアルカイックにすっきりしたいときはギーゼキングやピリスとか。wショパンはあんまり聴く機会自体がないですね。チェロソナタとかは好きです。

      グリーンマイルさん ルプーもいいですね。彼はボク、専らシューベルトで聴きます。

      返信する
    • File

      グリーン参る

      2024/03/23

      Mineosaurusさん
      ルプーのシューベルト、みずみずしくて本当に素晴らしいですね。私はルプーの全集を買いましたので、彼のシューベルトもよく聴いています。
      ルプーのモーツァルトのお薦めはこのアルバムです(シューベルトも聴ける)。ペライアのモーツァルトもいいので、両雄並び立つ感じでしょうか。

      File
      返信する
    • Picture

      Mineosaurus

      2024/03/23 - 編集済み

      シューベルトのD960 の4手は大好きです。この演奏もいいですね。残念なのはピアニストが二人いるのでなかなか録音がありませんね。ブリテンとリヒテルとか…ボクは今はもうテープしかないのですが、スコダとデムス(グルダと合わせてウィーンの3羽ガラス)と呼ばれていました、彼らのデュオをいまだに聴いてます。ペライアのモーツアルトは少し軽めで、ピアノソナタが僕は好きです。

      返信する