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Phacops tafilaltensis
非常に美しい標本です。特に複眼は少し見たことがないような透明感があり、左右とも一点の欠けもない完璧な保存状態です。 種名は購入元の情報となりますが、Phacops tafilaltensisの複眼は横方向が16〜18列、縦方向が5〜6列とされています。一方、この個体の複眼は横方向に14列、縦方向が4〜5列と少し相違があります。別種かなと考えていますが、私にはファコプスの見分けはなかなか難しく同定できておりません。 ガラス質の硬そうな母岩で、Jorfの標本に近いものを感じます。Jorf以外でもこの様な質感の標本が採取できるのでしょうか? #三葉虫 #trilobite #化石
Middle Devonian #56 Morocco -xiu_trilobite
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Ceraurus plattinensis
カナダ・オンタリオ州のボブケイジョン層からのCeraurus plattinensisの標本です。この種は他のセラウルスに比較して頬棘の幅が広いのが特徴ですが、この個体はその特徴がそれほど強くは出ておりません。 現在ボブケイジョン層では化石の採取が許可された採石場がかなり限られているようですが、腕足類など様々な生物の残骸が残ったなかなか鑑賞性の高い標本が採取されます。 この個体は尾板の右側の棘はクルッと丸まったように変形しています。脱皮の失敗によるものでしょうか。 #三葉虫 #trilobite #化石
Upper Ordovician #74 Canada Bobcaygeon Formationxiu_trilobite
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Elrathia kingi
このエルラシア・キンギという種は博物館のミュージアムショップなどでも販売されている三葉虫の代表的存在です。ある意味で名前の通り「三葉虫の王様」と言えるかもしれません。 ただ実態としては、Wheeler Shaleの一部でしか産出しておらず、他の種が棲息できないような低酸素環境に適応することで限定的な地域で独占的地位を獲得した種で、産出数が多いのも低酸素環境だからこそ化石としても残りやすかったためとされています。 このニッチな生存戦略を考えれば、カンブリア紀の海において現代における化石流通量ほど圧倒的な存在感があった訳ではなかったと思われます。 この標本はいわゆるRed bedからの赤みを帯びた標本で、通常の黒やグレーの標本に比べると希少価値があります。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Cambrian #55 US Wheeler Shalexiu_trilobite
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Asaphus platyurus
10cm近くある大きなアサフスです。判別の難しいロシア産アサフスにあって、この種は長い頬棘が特徴的で容易に見分けがつきます。 Vipovisy Quarryは15年程前から採掘が始まった石灰石の採石場で、St. Petersburgの主要採取地のひとつとなっています。 色合いも保存状態も素晴らしいロシア産三葉虫ですが、全体的に高価格な上、昨今の政治的情勢もありなかなかコレクションを増やしずらい状況になってしまいました。 #三葉虫 #trilobite #化石
Lower Ordovician #10 Russia Asery levelxiu_trilobite
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Morocops granulops
言わずと知れたHamar Laghdadの赤い三葉虫です。有名プレパレーター・ハミー氏の標本で、この産地の特徴である深緑の複眼も非常に美しく剖出されています。Orthocerasや他の小さな生物の残骸も残したジオラマ風標本になっています。 外殻が赤くなるのはもともとの外殻組織に取って代わったシリカが周辺の鉄化合物によって赤く染色されたためです。一方、複眼の元々の組成とされる方解石はシリカへの置換が起こりにくく方解石のまま維持されたことで、体表と色の違いが生じたことが示唆されています。(三葉虫の複眼が方解石であったという説には異論もあります。) 大変ユニークで魅力的な産地ですが、残念ながら既に枯渇状態で、標本を見る機会はこの数年でも減ってきているのを実感しています。 #三葉虫 #trilobite #化石
Middle Devonian #73 Morocco Hamar Laghdadxiu_trilobite
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Bollandia globiceps kleini
購入元からの情報では産地はベルギー・エノー州・ヴォーと記載あり、この地域にあるLemay採石場の標本と思われます。 Tournai Formationの標本は、自然な露出ではなく、重機を使用して行われた大規模な露天掘りによって採取可能になっています。鉱山の休業日などに特別な許可を得て化石の採集活動が行われていたようです。 ベルギーの石炭紀三葉虫は陶磁器のような質感がとてもきれいで好みなのですが、なかなか状態の良い標本は入手できていません。この標本の左側葉部のように白い外殻が剥がれているのは典型的な状態です。 #三葉虫 #trilobite #化石
Lower Carboniferous #76 Belgium Tournai Formationxiu_trilobite
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Odontopleura (Sinespinaspis) markhami
採取地はシドニーから西に約300kmの距離にあるコットンヒル採石場(Cotton Hill Quarry)です。 Cotton formationより産出する三葉虫の圧倒的多数(99%)はこの種とされ、多くの部分化石が採取できるようですが、遊離頬まで揃った標本は貴重です。 小さいので目立ちませんが、実はなかなかのブツブツ三葉虫で、側葉の二列の突起の他にも尾板や頭部にも無数の顆粒が観察できます。 オフホワイトと黄色の母岩が特徴的な非常に綺麗な三葉虫標本です。 #三葉虫 #trilobite #化石
Lower Silurian #43 Australia Cotton Formationxiu_trilobite
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Jenkinsonia varga
くびれのある特徴的な形をした可愛らしい小型種で、成体でも1cmになりません。こうして写真を撮ると三葉虫なのは明らかですが、肉眼では石に小さな汚れが付いているくらいにしか見えません。 小さすぎるためか、このように丁寧なプレパレーションが施されたものは珍しいです。本種の中ではなかなか高品質な標本と思います。 3枚目の写真は細部が分かりやすいように水に濡らして撮影しています。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Cambrian #37 US Wheeler shalexiu_trilobite
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Eodalmanitina destombesi
ポルトガルのヴァロンゴ層の中で最もメジャーな種のひとつです。ポルトガル産は圧縮や変形したものがほとんどで、この標本もご覧のように上から押されたようにぺったんこになっています。ただ長い尻尾やいかにもダルマニテス的な眼、右側葉部には欠けにある治癒痕など、全体的に保存状態は良く見所のある標本です。 胸節の数は11で、これはオルドビス紀〜デボン紀までのダルマニテス科の三葉虫に共通した特徴となっています。圧縮の影響で平たくなったことも相まって他の時代のダルマニテスとそっくりな風貌です。 この標本の母岩は色々な色味の岩石をコラージュしたようになっているのが、特に気に入っているポイントです。 #三葉虫 #trilobite #化石
Middle Ordovician #70 Portugal Valongo Formationxiu_trilobite
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Amecephalus sp.
アメセファルスの未記載種として入手した標本です。 一見すると同じスペンス頁岩からのAmecephalus idahoenseによく似ていますが、A.idahoenseは胸節が24〜25あるのに対して、この個体は22と少なくなっています。 青みがかった虫体で、カンブリア紀らしい逆三角形の体型をしています。小さいながらなかなか格好の良い三葉虫です。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Cambrian #27 US Spence Shalexiu_trilobite
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Ceratocephala sp.
チェコで採集されたシルル紀後期のケラトセファラです。 一見、キファスピスのデビルホーンのように棘は前方に向かって伸びているのかと思ってしまったのですが、実際には後方に伸びた棘(Occipital spines)です。頬棘(Genal spine)も左側だけ観察できますが、いずれの棘も細く真っ直ぐでケラトセファラの特徴が表れています。 ツールと技術があれば、全身とは言わずとも頭部全体くらいは出てきそうですが、母岩はかなり硬く素人には手出しできない感じです。 同じくPozary fm.から産出するケラトセファラにCeratocephala rhabdophora (Hawle & Corda, 1847) と言う種があり見た目も似通っていますが、情報も限られておりあまり自信はありません。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Upper Silurian #45 Czech Republic Pozary Formationxiu_trilobite
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Gondwanaspis mrirtensis
ゴンドワナスピスはデボン紀に発生したオドントプルーラ目の中では新しい種です。この種はコネプルシア、レオナスピス、ケトネラスピスといった親類が滅んだ後も生き残り続け、デボン紀最末期の大量絶滅(Kellwasser Events)まで命を繋ぎました。 オドントプルーラ的特徴も持ちながら、ゴツゴツした体表や横向きについた眼など他と一線を画す異質な姿をしていますが、ゴンドワナスピスはウーパールーパーと同じ幼体成熟の例であり、幼生時の外見的特徴を強く残したまま成体となっていたようで、この説明は納得するものがあります。 また学名はかつて存在したゴンドワナ大陸に由来します。私にとってラテン語の学名というのは、具体的なイメージとリンクさせるのが難しいものなのですが、この名前は分かりやすくも格好良く、この三葉虫にぴったりだなといつも思うのです。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Devonian #41 Morocco -xiu_trilobite
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Crotalocephalina gibbus
モロッコの普通種Crotalocephalina gibbusですが、3つの点で少し変わった標本です。 ①産地 Lghaftはクロタロセファリナの産地としてはあまり一般的ではありません。当然ながらMetacanthinaなどLghaft産の他種標本と雰囲気が似ています。体表の毛穴のような小さな孔まで保存され、質感が非常に良い標本です。 ②幼体 真っ直ぐに伸びたとしても4cmにも満たない小さな個体です。他のLghaft産クロタロセファリナと比べても明らかに小さいので、成長過程の幼体と思われます。 ③完全エンロール 一番の特筆点は見事なまでに完全に丸まった状態であることです。外敵に襲われやすい幼体時のみエンロールできるような構造的特徴があったのではと勝手な想像をしています。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Lower Devonian #28 Morocco Lhandar Formationxiu_trilobite
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Dubhglasina yunnanensis
中国雲南省保山市のハルペスです。 尾部は欠落していますが、土質が脆く保存状態の良さが期待できない産地のため、このように頭部だけであってもディテールが保存されている標本は貴重と思います。 カンブリア紀のPalaeoharpesや同じオルドビス紀のHarpidesと共通したはっきりとした眼嶺(eye ridge)を持ちますが、これはシルル紀やデボン紀の後の時代のハルペスではあまり見られない古い時代の特徴のように思います。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Ordovician #32 China Pupiao Formationxiu_trilobite
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Ditomopyge kumpani
産地としてはマイナーなカザフスタンからの三葉虫です。同じ産地の標本をいくつか所有しているのですが、少なくとも2つのタイプがありそうです。 1つはこのDitomopygeのように頭鞍が厚く丸くがあり、短く鋭い頬棘を持つ洋梨体型のタイプ。(1〜6枚目の写真) もう1つは頭鞍も含めて全体的に扁平で頬棘に鋭さが無い楕円形の体型をしたタイプです。(7〜8枚目の写真) どちらにしてもマルチプレートの標本が多く、たくさんの個体が群れて棲息していたことが分かります。石炭紀の三葉虫には細々と生きていたイメージを持っていたのですが、案外と繁栄していたのかもしれません。 #三葉虫 #Trilobite #化石
Middle Carboniferous #78, #86, #87 Kazakhstan Ulutan formationxiu_trilobite