DVD「ならず者」
本フロアに展示のアイテムは「淀川長治監修『世界クラシック名画』100撰集」シリーズを基本とした一連のDVDであり、そのように設定してしまった以上、そこに属するアイテムを入手していれば展示が余儀なくさせられるように自分自身に縛りをかけてしまったわけですが、では、本展示アイテム収録作がこのシリーズのお題目にある、いわゆる「名画」なのか、と問われると、私なら即座に否定しますね。個人的には、何でこの作品をこのシリーズにブッコんだのか、疑問なのですが…。
と、いきなり悪口めいたことを捲し立てましたが、では本作が嫌いなのか、というと、そうではありません。確かに、西部開拓史上で著名な面々、ドク・ホリデイ、パット・ギャレット、そしてビリー・ザ・キッドの人間模様を縫う様に、一人の魅惑的な女性が揺れ動くという、少し大袈裟に言えば荒唐無稽な筋立ての作品であり、さらには監督がハワード・ホークスから演出に関しては素人同然のハワード・ヒューズに交替したという様々なマイナスの要素はありますが、そんなものは主役のジェーン・ラッセルの魅力の前にはどうだっていいことだろう! さすがにこれは言い過ぎですが、要するに上記の歴史上の人物をそれぞれ演じたウォルター・ヒューストン、トーマス・ミッチェル、そしてジャック・ビューテル諸氏の扱いは、本作でデビューした新進女優ジェーン・ラッセルの刺身のつま程度であった、ということですかね。
ジェーン・ラッセルを最初に観たのは御多分に漏れず『紳士は金髪がお好き』で、正直言ってマリリン・モンローよりもよほど魅力的に私には見えたのですが、その原点が本作であったというのを確認できたのが、本展示アイテムを入手した最大の収穫で、作品自体の出来を超越している、と思い込んでいます。
あと、音楽はヴィクター・ヤングが担当したのですが、本作に関してはどうも彼本来の切れ味がない凡庸な劇伴でした。おそらく、画面上の冗長な演出に合わせて作曲したから、そんな残念な結果になってしまったのだろう、と想像してしまえるのですが、どうなのでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=Gnjv3ONSa9o
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