DVD「第七天国」
何と言っても第1回アカデミー賞の監督賞、女優賞、脚本賞受賞、さらには1927年キネマ旬報外国映画ベストテン第1位という勲章を得た、誠に名作の誉れ高い作品ですが、個人的には本フロアのシリーズのラインナップを見るまで寡聞にしてその存在を知ることがなかったのは、さすがに不勉強でした。それでも、この場でやっと巡り合えたのは良かったですかね。貧しく、社会的な階層も低い若い男女が紆余曲折して結ばれる折に男性は招集され、離れ離れになるも毎日決まった時刻にお互いの名前を呼び合い愛情を確認、戦死の方を受けるも男性は帰還する、失明しているが希望は失わない。何と美しいストーリーでしょう。ただ、現代的には少し陳腐かな。
ちなみにこの本展示アイテム収録作、最近動画配信サイトで再見したのですが、活動弁士の澤登翠の語りが付加された版で、初見からかなり年月が経過しているから比較しにくいのですが、やはりサイレント映画には弁士がいた方がいいと改めて実感しました。
さて、本展示アイテムに収録されている淀川氏の解説の中に興味深いエピソードがありましたので、それを紹介しましょう。淀川氏が戦後、映画雑誌編集の傍らに結成した『映画友の会』の会合で本作の話をしたそうです。男性(チコ)が女性(ダイエンヌ)に語った口癖が「上を向いて歩きなさい」、という話をしつつ、本作がいかに素晴らしいかを力説したのですが、その場にいたのが永六輔という可愛い子供!? 後に永六輔は『上を向いて歩こう』なんて歌を作っちゃったのだが、どうもあやしい、『第七天国』のこれから来てるんだと思った旨を語っておられました。
https://www.youtube.com/watch?v=euCdlNuwqh0
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