エルネスト・ネトとは?

エルネスト・ネト(Ernesto Neto・1964年生まれ)は、ブラジル・リオデジャネイロ出身の作家。
1988年、スコットランドにて伸縮性のある布を使い作品を制作。1992年にサンパウロ近代美術館(São Paulo Museum of Modern Art)で個展を行い、1995年からは海外を中心に個展も開催している。
布の特性を生かした作品を制作、巨大かつ柔らかく自然や生物のような形状をしている。また、作品は鑑賞者が触ったり、突っついたり、中に入ったり、歩くことができることが特徴的。

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尖ったセンスを持つアート・コレクター。作品との向き合い方は「第一印象」重視?

センスのあるなしを、語ることは難しい。数値化して比べることもできなければ、その有無を判定する基準もないからだ。しかし世間には「センスがあるね」と言われる人がたしかにいる。現代アート・コレクターの神田さんもその一人だ。

モデレーターの深野は、とあるギャラリーで神田さんを紹介された時、着ていた服のセンスの良さに驚いたという。国内のギャラリーや海外のアートフェアでも、しばしばその姿をみかけ、顔を合わすうちに、こんな興味を抑えられなくなった。

「誰もが知る有名ブランドに身を包めば、間違いはない。けれど神田さんは洋服を、人の基準や世間の評価では選ばない。神田さんはそのセンスで、どんなアートをコレクションしているのだろう」

実は"神田さん"とは、仮の名前だ。

神田さんは、極めて私的な行為として現代アートを蒐集し、ふだんは東京・神田で「普通に会社員をしている」という。今回は名前と顔写真の掲載を伏せることで、インタビューに応じてくれた。

取材の日も、セルリアンブルーのロングシャツに、ネイビーのパンツ。奇抜なところはないのに、ハッとさせられるセンスと品に溢れた装いで現れた。

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ビデオアーティストCOBRAの原点回帰「言葉で説明できないもの」

ごく普通の世間的主題や美術史を軽妙に取り入れた映像作品を多く発表しているCOBRAさん。アーティスト・ラン・スペース「XYZ collective」のディレクターとしてその名を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか

シュールでユーモア溢れる作品は、鑑賞者をたちまちCOBRAワールドへと引きずりこむ。そのインパクトは日本を飛び越え海外にも伝播し、ニューヨークやチューリッヒのギャラリーでも展示をおこなっている。

直近ではMISAKO & ROSENで加賀美健さんとの二人展「Romantic Comedy」を開催。「アクション」「パフォーマンス」といった美術の形式を取り入れた作品を発表した。近年はアートフェアに囚われるコレクターを揶揄する作品を作るなど批評性にも磨きがかかる。そんなCOBRAさんに今後の展望を尋ねると「原点回帰」と語ってくれた。

COBRAさんの「原点」とはどこにあるのだろう。新たなスタートラインに立とうとしているCOBRAさんに、本企画モデレーターでアート コレクターの深野一朗さんが質問をぶつけた。

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観るのと買うのは、世界が違う。笹川直子さんは、現代アートに育てられた

「みんなと同じでは、つまらない。違う道に進んでみたい」

程度の差こそあれ、誰もが抱いたことのある感情ではないだろうか。しかし多くの場合、なんとなく右へならえに甘んじてしまう。実際に、みんなと違う一歩を踏み出せる人は、意外と少ない。その道を30年歩みつづけられる人は、もっと少ない。

笹川直子さんは、「お気楽OLだった」と自身を振り返る1980年代のバブル期に、20歳で現代アートの道に足を踏みいれた。背中を押したのは、”へそ曲がり”な性格と好奇心。周りとは少し違うことがしたかったという。

それから約30年がすぎ、今、笹川さんは会社経営者として忙しい毎日を過ごしている。その生活を送る傍らでは、変わらずにギャラリー通いをつづけ、現代アートのコレクションを楽しんでいるという。へそ曲がりや好奇心だけでは続かなかったであろう、現代アートの魅力とは?笹川さんに話を聞いた。

TARO NASU那須太郎は話す「60年代のコンセプチュアル・アートを抜きに、現代美術を本当に理解できるのか疑問なのです」_image

TARO NASU那須太郎は話す「60年代のコンセプチュアル・アートを抜きに、現代美術を本当に理解できるのか疑問なのです」

「IF THE SNAKE もし蛇が」という、心をざわつかせるタイトルを掲げた国際展「岡山芸術交流2019」が2019年9月27日に開幕する。

会期中は、岡山市内の歴史文化施設を会場に、18組の作家によるコンセプチュアル・アート作品をみることができる。「アート=絵画鑑賞」というイメージをもつ方ほど刺激を受ける内容となるはずだ。

その総合ディレクターをつとめるのが現代美術を取り扱うギャラリー「TARO NASU」代表の那須太郎さん。那須さんは1998年に江東区佐賀町の食糧ビルディングでギャラリーをはじめ、2008年に千代田区馬喰町に移転。そして2019年港区六本木に拠点を移し現代美術を紹介している。

興味深いのは、TARO NASUがコンセプチュアル・アートを中心に取り扱っていること。那須さん自身「モノじゃないようなもの」と形容する作品にスポットをあてる理由とは?現代アート・コレクターの棟田さんが話を聞いた。

フェンス、あるいは過去と未来の境界線。リム・ソクチャンリナは隆盛著しいカンボジア経済への警鐘を鳴らす_image

フェンス、あるいは過去と未来の境界線。リム・ソクチャンリナは隆盛著しいカンボジア経済への警鐘を鳴らす

自然の中に唐突に置かれた1枚のフェンスを捉えた写真。作者はカンボジア生まれプノンペン育ちのアーティスト、リム・ソクチャンリナ(Lim Sokchanlina)さん。シンガポール・ビエンナーレをはじめ様々な展覧会からオファーを受ける彼は現代アートシーンにおいて今最も注目を浴びる若手アーティストの1人と言えるだろう。

彼の作品の特徴を一言で表すと“シンプルで力強いメッセージ性”だ。カンボジアに焦点を当て、経済問題や環境問題に“アート”という形で切り込んでいく。彼の代表作のひとつである「Wrapped Future」シリーズや、最新の作品「Letter to the Sea」は一体何を提示しているのだろう。インタビュアーはアート・コレクターの宮津大輔さん。リム・ソクチャンリナさんが持つ思想世界に迫っていきたい。