フードユニット・つむぎやが愛用する「人の縁を繋ぐ」調理道具たち

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取材・文/廣瀬 文
写真/松本 理加

美味しい料理をつくる人にはきっと、とっておきの調理道具があるに違いない。そんな期待を胸に今回お話を伺ったのは男性フードユニット・つむぎやのお二人。土鍋や木べら、鍋つかみなどそれぞれの出会いやお気に入りのポイント、付き合い方など、ストーリーもさまざまな素敵な道具たちを紹介してもらった。

道具との出会いは人との出会いにもつながる。

依頼先に出向いて調理するケータリングという仕事柄からか、新しい人との出会いが道具との出会いにも強く繋がっているというお二人。作家とコラボイベントを開催した際は、イベントの思い出と出会いの記念にと作品を購入することも多いそう。

「作家さんのものづくりに対するこだわりを聞かせてもらってそれに共感して。ありがたいことに自然とそのあとも公私ともにいいお付き合いが続くことが多々ありますね」(マツーラさん)。そして、やはりそばにいる家族の存在だ。紹介してもらったなかには、息子さんの誕生を記念したものや、結婚当初からの愛用品など家族との結びつきが感じられる道具も登場。

「食を通して、人と人とを、満ち足りたココロをつむいでいく」をモットーとしているつむぎやならではの、料理がつなぐご縁が感じられるセレクションを、どうぞご覧あれ。

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金子健一さんのこだわり調理道具

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毎日食べるご飯がごちそうに。11年選手の土鍋。

奥様と結婚された11年前、炊飯器と別れを告げてこちらの土鍋を購入。以来この土鍋で、義父がつくった自家製の美味しいお米を焚き続けている。スイッチひとつで誰でも同じように炊けてしまう炊飯器と違い、炊く人の火加減によって炊き上がりも味も全然違うという土鍋。火の扱い方も毎日のご飯炊きでずいぶん上達したのだとか。長年愛用しているため、少しカケた部分や、鍋底の色味の変化もあるがそれも味だ。

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木べらフェチも納得。手に馴染む曲線が美しい木べら。

20本以上の木べらを持ち、自ら理想の一本を作るべく時間を見つけて木片を削る、自称「木べらフェチ」の金子さん。毎年愉しみにしている松本のクラフトフェアで「ビビビッときた」という2014年の一本は、木工職人・大久保公太郎さんのもの。握り手部分も立体的な山形になっているのでピタッと握った手になじむ。フライパンの側面にあたる部分、背の部分の反り返りなどすべての曲線が使いやすいように調整されている。機能的にも見た目的にもそして触り心地もうっとりの一品だ。

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息子の誕生記念に購入。一目惚れした竹せいろ。

「息子の名前に「樹」という文字が入るので、生まれる記念として何か木にまつわる道具がほしくて」と探していたところ、このせいろに出会う。大きさそして網目のデザインに一目惚れ。野菜に火を通す際は必ずといっていいほど活躍する。「調理しているとき、ヒノキのいい匂いがキッチンに広がって、その匂いもまたご馳走です」。1万円超える値段も「一生ものとして考えれば高くないと思います。できれば息子に譲りたいとも思ってますし」。竹が割れてすぐダメになるのでは? とお思いの方にここでアドバイス。”使用する前に、せいろを一度水にくぐらせて馴染ませる”そして、”使用した後は水洗いして陰干し”すれば永く使えるとのことだ。

マツーラユタカさんのこだわり調理道具

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出演役、裏方役と使い分け。絵になるカッティングボード。

キッチンで細かいものを切ったり、チーズやパテをカットしてそのまま食卓に出したり。調理してそのままテーブルにサーブしても絵になるカッティングボード。SPOONFULのおさだゆかりさんとは、マツーラさんと奥さんの前職時代の同僚でもある。2枚あるのは、結婚前にそれぞれが別のタイミングで個人的に購入したもの。結婚を機に、2枚所有することになったので、片方がデイリー使いに、もう一枚が撮影時のスタイリング用になっている。

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夫婦合作⁉︎ 思い出をリメイクした手作り鍋つかみ。

縫い合わせている生地はなんと、服。ボーダー生地は奥様のTシャツ、薄水色の生地はマツーラさんのスエットから。着なくなった洋服を処分する際、それぞれの服の端切れを縫い合わせてリメイク。ディスプレデザイナー、ディスプレイユニット「m&m&m’s」として活動する奥様ミスミノリコさんによるハンドメイドの一品。手作りの温もりと思い出が詰まった、まさに一点ものの鍋つかみだ。Mのスタンプは「マツーラ家」のしるし。

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夫婦共々愛用の2代目圧力鍋。

自宅で毎日ご飯を炊くときに長年重宝している圧力鍋。もともと奥様が結婚以前から愛用していた1代目をメンテナンスしながら使い続けていたが、とうとう圧が効かなくなってしまったため2代目を購入。ちなみにマツーラさん宅のお米は、自宅の精米機で五分づき(玄米のぬか層を半分取り除いて、栄養価の高い胚芽部分を残した状態)。玄米特有のこくやモチモチした食感を残しながら、調理時間は白米とほぼ同じ。「お米のいいとこ取りです」

つむぎやの定番人気メニュー。

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ジュワ~ッという食欲をそそる音と香ばしい香りに、撮影班も思わずゴクリと唾を飲んでしまった一品。まるでお肉⁉︎ のような弾力と、染み込んだ漬けダレの旨味が口いっぱいに広がるお麩の唐揚げはケータリング先でも大好評。あらゆる種類のお麩を購入しては片っ端から試作し、行き着いた理想形は4回巻きの厚切りのものだとか。

ーおわりー

キッチンツールを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍

シンプルなパンの食べ方を追求! 142のおいしい楽しいレシピが詰まった一冊

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ぱんぱかパン図鑑 (天然生活の本)

東京・中目黒、原宿で愛されていたパン屋「オパトカ」の店長として、日々パンをこね、研究していた金子さん。シンプルな食パンやロールパンをいかにアレンジして美味しく食べるかを追求した本書は、142通りのアレンジレシピと写真を掲載した図鑑のような一冊。定番のバタートーストだけでも18パターンもの楽しみ方が!?

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公開日:2015年5月1日

更新日:2021年11月19日

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廣瀬 文

オトナかわいい女性に憧れるアラサー編集部員。憧れの女史は、石田ゆり子さまと本上まなみさま。ずぼら脱却にお茶か日舞を習ってみようかと思案中。最近気になる被写体の組み合わせは「おじさんと犬」。

終わりに

廣瀬 文_image

ひとつひとつの道具の背景にある「大切な家族や仲間」の存在。
お二人の温かで丁寧な人柄を感じさせる道具ラインナップの数々でした。
ふと使っている道具をみつめたとき、思いかえすエピソードがあるのは素敵なことだなぁ。
さて次回はどんなこだわり道具に出会えるでしょうか。

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