Everyone's Gone To The Moon (And Other Trips) / The T-Bones

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 宇宙船ジェミニのイラストのかっよいいアルバム。しかし、 A面から針を下ろすと、驚きますよ!T-ボーンズの「黒くぬれ」はどんな味付けか?!なんて期待しちゃいけません。単にトーン・コントロールというか、ギター・コントロールが出来ないままにモズライトを弾いてしまった、下手なギタリストと、フィルになると走ってしまう、メル・テイラーみたいなドラマーと、ノリのかけらもないベーシストが、下手なボーカルに合わせて演奏してるだけです。うわー、ものすごくこき下ろしてしまった(・o・)。でも、曲が進むと、もっとその印象が強くなります。3曲目からはバッキングはまともになります(まあ、ということは、いつものセッション・ピープルが登場したということです)しかし、ボーカルは相変わらず。こんな「ホールド・オン」なら、俺の方がうまいんじゃないか、と言うのが言いすぎだとしても、少なくとも日本のGSにはもっとうまい人がいましたよ!これが「恋のかけひき」を歌った人たちか?4曲目も情けないが、5曲目のソフト・ロックみたいな「Fare Thee Well」聴いてミソ。コーラスが音程もタイミングも合ってない。きっと、これでプロデューサーのジョー氏もさじを投げたのでしょう。これがT-ボーンズの最後の1枚となりました。
 話変わって、B面です。これがタイトルになっている方ですね。一応の宇宙をテーマにしたコンセプト・アルバム仕立てとなっております。そして、こっちは安心して聴いていられます。さりげなくはいるダブル・ギターや、ベンチャーズの「モア」にくりそつの、「How High The Moon」など、聴き所は結構あります。しかし、前作(と言っても同じ66年)「Sippin' 'N Chippin'」の持つきらびやかさと色気は見る影もなく、ニック・デ・カロよ、根性入れろ、と、言いたくなります。
 が、うがった見方だと言われるかもしれませんが、こういう風に考えるとこのアルバムをちゃんと位置づけることができます。T・ボーンズは人気があったんです。大ヒットとはいえなくても、トップ100に入る曲を三曲も連発しているのです。ツアーリング・メンバーも確保したところだし、今のうちにアルバムを出して、さらにツアーを組めば儲かるはずだ。よし、メンバーに演奏させてやれ。いや、やっぱり下手だから歌だけにしておけ。とりあえず6曲埋まったか。なら残りはベンチャーズの名前でアルバムに入れるはずだった曲を突っ込んでB面を仕上げよう‥。こんな経緯で出来たアルバムだったと私は考えています。B面の6曲はそのままベンチャーズに入れても全く違和感なくおさまりますし、ベンチャーズの未発表曲だとしてCDのボーナス・トラックにおさめられた「ジェミニ」という曲はこのアルバムB面に酷似しています。

Side A
01 Paint It Black
02 Kicks
03 Hold On (I'm Comin')
04 Oh How Happy
05 Fare Thee Well
06 La Do Da Da

Side B
01 Let's Go Get Stoned
02 Balboa Blue
03 Everyone's Gone To The Moon
04 Shangri-La
05 Fly Me To The Moon
06 How High The Moon

Liberty Records (LSP-7471)

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