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ミノルタ SR-M
2010年頃に某ネットオークションで落札した調整済みミノルタSR-Mです。
SR-Mは1970年に発売されたモータードライブ専用カメラですが、残念ながら本体だけでバッテリーグリップは未入手です。
この当時、カメラ本体に後付けでモータードライブやワインダーを取り付ける合体/分離式が主流だったと思いますが、SR-M底部の巨大モーター部分は分離不可でカメラと一体化しているのが特徴です。
このカメラ、スナップなど機動性を生かした撮影がしたい時は、モーター部を取り外してカメラを軽くするといった様な考えは一切持ち合わせていません。
多分、機動性を重視した撮影の場合は当時のSR -1Sの様なカメラを使い、落ち着いて連写したいものがあれば連写用のオプション(マガジン、ローダー、リモコン装置など)が用意された専用機・SR-Mでがっつり撮れば良いという適材適所のコンセプトから生まれたカメラなのでしょう。
SR-Mは単三乾電池8本を使うバッテリーグリップと合体すれば秒3コマ撮影ができたそうですが、一体どんな用途を想定していたのでしょうか。
(スポーツというより科学、芸術、測定分野での使用?)
本来は何らかの特定需要を満たす為に少数作られたカメラでしたが、一般にも販売だけは行なってみたという事なのかもしれません。
確かにハイアマチュア用というより特殊なプロ業務用途と言った方がしっくりくる容姿と使い勝手だと思います。
しかしこのインパクトある姿は6年後に発売されるプロ向けカメラ minolta X-1 MOTOR (これもモーター一体型)とも違って、どこか試作機めいた不思議な魅力を纏っています。
当時はプロ用ハイエンド一眼レフを持っていなかったミノルタが将来のプロ機の為に実験的に作ったカメラの様にも見えてしまいます。
あるいは技術という大樹の進化途上に突然変異で現れた巨大恐竜の様な存在だからなのかもしれません。
当時の販売価格も恐竜級で、このカメラの原型となったSR-1S(1967年)が22.000円に対してSR-M(1970年)は129.000円もしたそうです。
(1976年に発売された minolta X-1 MOTORは 220.000円もしたゴジラ級カメラでしたが)
しかし入手した時はあまりお見かけすることがない珍しい機体でなおかつ調整済みが15000円という破格値なのに、誰も入札せずあっさりと落札できたのが不思議です。
(まさかバッテリーグリップが欠品だったので動かないと思われた? それとも完品じゃなきゃ嫌だぁっ…っていう感じ?)
ちなみに写真に付いているレンズは中野のジャンクカメラ屋さんで転がっていた MC MACRO ROKKOR-X 50mm f3.5。(3.500円)
一目見てオレンジ色の刻印がかっこいい! しかもマクロ! レンズも綺麗! というブツだったので、とりあえず棚から確保して売り場をウロウロしていたところ、近くにいたお客さんが「あれ? さっきここら辺にあったミノルタの変わったマクロレンズどこいったっけ?」と探しだしたので慌てて会計に持ち込んで入手したものです。
このレンズは同スペックのミノルタレンズの海外向け仕様だったらしく、偶然ですがカメラ本体もサンフランシスコからの帰国子女だったので(写真5枚目)相性良い?コンビが完成です。
本来はバッテリーグリップと合体して連写バリバリ(秒3コマだけど)で使うカメラだと思いますが、このカメラ本体だけでも電池なしのマニュアルカメラとして普通に撮影可能の為、実用上は何ら問題はありません。
いやいやそんなことないでしょ? その馬鹿でかいカメラ重すぎて大問題じゃ?と皆さん思われるかもしれませんが…
確かにこのレンズと合わせて重量約1.4Kgという重さですが巨大なモーター内蔵部分がグリップ代わりになって不思議と安定して撮影できるのです。
あと、膝の上に乗せると「この子重たいなぁ」と確かに感じるのですが、撮影時にカメラを構えれば然程重さが苦じゃなくなり、むしろしっかりホールドできて安定したシャッターを切れる点が面白いです。
(これは重心バランスのせいでしょうか)
レンズも鷹の目と言われたロッコールだけあって近景も遠景もたいへん鮮明に映し込みます。
ただ、似たレンズであるニコン製マイクロニッコールの様に目が痛くなる程の鮮明さではなく、どこかデティールに優しさを感じるのがこのロッコールレンズの味というものなのでしょうか。
入手から15年は経ちますが調整済みというだけあって北海道旅行に連れ回した後、いろいろ撮影していますがノートラブルのまま今でも現役の楽しいカメラです。