- Sekisentei Japanese Mineral Museum
- 18F 福井県 Fukui Pref.
- モリブデン鉛鉱 (wulfenite) 中竜鉱山 #0721
モリブデン鉛鉱 (wulfenite) 中竜鉱山 #0721
モリブデン鉛鉱は鉛とモリブデンの酸化物からなる鉱物で、鉛亜鉛鉱床の酸化帯に生成するレアメタル鉱石の一種です。肉眼では判り難いですが、拡大すると母岩上に黄色の板状の結晶が多数観察できます。この黄色い色合いはモリブデンの一部がクロムに置き換わることによって生じているとされます。(1枚目と5枚目のみ背景をソフトウェア処理しています。)
中竜(なかたつ)鉱山は中温熱水スカルン鉱床で、銀、銅、鉛、亜鉛等を産し、古くは鎌倉時代の寛元年間(1243年~1247年)に、京都大原より移住してきた武士が銀鉱脈を発見したという伝承があり、銀・鉛の採掘を行ったと見られる旧坑が各所に存在します。明治初期には地元民により銀鉱石が採掘され、以降採掘と休山が何度か繰り返されましたが、1926年(大正15年)に藤田組技師長・井上誠一郎氏による調査を踏まえ、横浜の中村房次郎氏と鉱区所有者竜田哲太郎氏が協議し8年間に亘って採鉱を続けました。その結果有望との判断を得て1934年(昭和9年)に中村氏、竜田氏、三井鉱山の出資の元で日本亜鉛鉱業(株)が設立され、中村の中と竜田の竜を採って命名された中竜鉱山が発足しました。1941年(昭和16年)戦時体制下で三井鉱山に経営を委任、亜鉛鉱山として発展しましたが、1949年(昭和24年)に経営難により一時休山、その後1951年(昭和26年)に操業を再開、設備の近代化を進め1972年(昭和47年)には日産鉱量2,000トンの本邦有数の亜鉛鉱山に発展しましたが、円高による金属価格暴落の影響により10年分ともされる可採鉱量を残しながら1987年(昭和62年)に閉山しました。鉱山跡地は専用バスで坑道や採掘現場を巡ることのできるアドベンチャーランド中竜として再利用されましたが、同施設も2006年(平成18年)に休業しました。
