ポール・デイヴィス『クール・ナイト』

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アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
10月に入りました。今月も“秋のAORまつり”を継続します。

皆さんは『なんとなく、クリスタル』という小説をご存じでしょうか?1980年、田中康夫のデビュー作で映画化もされ、当時は大変なブームとなりました。そのテーマ曲として使われたのが、ポール・デイヴィスの「アイ・ゴー・クレイジー」でした。今回はそんなクリスタル族も喜ぶポール・デイヴィスの『クール・ナイト』をご紹介します。

ポール・デイヴィスは、1948年4月21日ミシシッピ州東部の都市メリディアンに生まれました。父が牧師だったため、5歳から聖歌隊で歌い始め、小学生になるとピアノも習いました。一時期一家は音楽の都ナッシュビルへと移って、ポールは大いに刺激を受けました。

その後メリディアンへ戻り、ハイスクールではバンド活動を経験。卒業後は地元のバンドで腕を磨き、ジャクソンにできた新しいスタジオの門をたたきます。そこでセッション・ミュージシャンとして働く傍ら、自身のレコーディングも始めると、これが、アトランタのバング・レコードの社長の耳に入ります。

ポールは1969年バング・レコードと契約、ニューヨークでの修行を経て1970年に「悲しきソープ」でレコード・デビューを果たします。前社長を亡くし、ニール・ダイアモンドらが去ってしまったレーベルを立て直そうと、新社長のイレーネ・バーンズはポールをその後釜にと考えました。シングルは全米52位と、まずまずの滑り出しとなりました。

しかしこの後はあまり成果を上げることが出来ず、1974年、カントリー色を強めた3rdアルバム『ライド・エム・カウボーイ』から、タイトル曲が全米23位と初のTOP40ヒットとなりました。続いて76年の「スーパースター」が35位、77年の「アイ・ゴー・クレイジー」が全米7位の大ヒット。この作品は78年にかけて40週チャートに居座るという自身最大のヒットとなりました。

80年の6枚目『パステル・メッセージ』から、タイトル曲がようやく日本でもヒット。そこに『なんとなく、クリスタル』主題歌で「アイ・ゴー・クレイジー」が話題となり、前作『アイ・ゴー・クレイジー』も国内盤がリリースされることになりました。

その後、アリスタに移籍して発表したアルバム『クール・ナイト』から、タイトル曲が82年に全米チャート11位、アダルト・コンテンポラリー・チャート2位のヒット。アルバムからは他にも自己最高位6位となった「‘65・ラヴ・アフェイア―」などヒットを出しますが、これ以降リリースはなく、半ば引退状態が続きました。

そして2008年4月22日、60歳のバースデイの翌日に倒れ、星となってしまいました。しかも20年ぶりとなる新曲のリリースに向けて準備していたそうです。

ポール・デイヴィスのアルバム『クール・ナイト』
SIDE A
「クール・ナイト」
「愛にマジック・タッチ」
「想い出という名のふたり」
「ナサン・ジョーンズ」
「忘れ得ぬ魅惑のオリエンタル・アイズ」

SIDE B
「‘65・ラヴ・アフェイア―」
「誰かがあなたを…」
「ラブ・オア・レット・ミー・ビー・ロンリー」
「ゴット・トゥ・セイ・アバウト・ラブ」
「スティル・トゥギャザー」

ポール・デイヴィスのアルバム『クール・ナイト』いかがでしょうか?
ちなみに、ポールの父親は一か所に留まることが不得意で何度も引っ越したため、ナッシュビル時代に音楽的刺激を受けたのが、彼にとっての大きなチャンスとなりました。

https://www.sonymusic.co.jp/artist/PAULDAVIS/
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