10cc『愛ゆえに……』

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【2024年7月20日ON AIR】
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。7月はサマー・ブリージンと題して、夏の風を感じるレコードお送りしています。今回は、イングランドはマンチェスターからの風、10ccのアルバム『愛ゆえに……』です。

ポップでありながらどこかシニカル、かつ斬新なアイディアを持つ10cc。
1945年1月20日生まれのエリック・スチュワート、46年5月10日生まれのグレアム・グールドマン。エリックが在籍するバンド、マインド・ベンダーズにグレアムが加入したのが10ccの原点です。そのエリックはマンチェスターで初の本格スタジオ設立に関わり、やがてバンドは解散。

このストロベリー・スタジオは、別なバンドにいたケヴィン・ゴドレイとロル・クリームを雇い入れ、ホットレッグスを結成。このスタジオで録音された「ネアンデルタール・マン」という曲がレコード・メーカーの耳にとまり、1970年にシングルとして発売されると全英3位の大ヒットになりました。

ここに渡米していたグレアム・グールドマンが参加して4人となり、10ccが誕生します。10ccは、1972年シングル「ドナ」でデビュー。翌73年のシングル「ラバー・バレッツ」で早くも全英首位を獲得します。同年リリースされたデビュー・アルバム『10cc』は50年代ポップスへのオマージュなど、ウィットとユーモアに富んだ内容になりました。74年の2ndアルバム『シート・ミュージック』は、全英チャートで第9位まで上昇。

レーベルを移籍した3作目『オリジナル・サウンドトラック』は架空の映画のサントラという設定。シングル・カットされた名曲「アイム・ノット・イン・ラヴ」は、全英1位、全米でも2位の大ヒット。大成功を手にした10ccでしたが、76年の『びっくり電話』というアルバムを最後にケヴィン・ゴドレイとロル・クリームが脱退。二人は当時“ギズモ”という装置による実験音楽に夢中で、ポップソングに飽きてしまっていたのです。

残されたエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンを中心に制作されたのが『愛ゆえに……』。シングルとなったタイトル曲は全英6位、全米5位のヒットとなりました。10ccは、その後もサポート・メンバーを加えながら活動を続けますが、スティーヴ・ガッドが参加した83年の『都市探検』をもって解散。

一方ゴドレイ&クリームの二人は、77年に実験的アルバム『ギズモ・ファンタジア』を発表。80年代は音楽と並行して、ビデオクリップの監督としてポリスやエリック・クラプトンはじめ有名アーティストの傑作を次々に発表、高い評価を受けています。

その後92年に、オリジナル・メンバーが集まって10ccとしての新作『ミーンホワイル』を発表。95年の第2弾『ミラー・ミラー』に合わせてツアーも行われますが、97年にエリックが脱退。2000年代はグレアム・グールドマンが中心となり、10ccの活動は続けているようです。

10ccのアルバム『愛ゆえに……』
SIDE A
「グッド・モーニング・ジャッジ」
「愛ゆえに」
「マリッジ・ビューロー・ランデブー」
「恋人たちのこと」
「モダン・マン・ブルース」

SIDE B
「ハネムーン・ウィズ・Bトゥループ」
「フラット・ギター・トゥイーター」
「ユーブ・ガット・ア・コールド」
メドレー「フィール・ザ・ベネフィット」

10ccのアルバム『愛ゆえに……』いかがでしょうか?ちなみに、10ccのホームとなったマンチェスターのストロベリー・スタジオ。いつかビートルズに使ってもらいたいとの願いから、「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」にちなんで名付けられました。そして1974年には、ポール・マッカートニーが弟のレコーディングのため使ってくれたそうです。

https://www.10cc.world/
10㏄ オフィシャルサイト

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