スティーヴィー・ワンダー『ファースト・フィナーレ』

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【2024年8月31日ON AIR】

アナログ音源専門プログラム「33rpm」。8月はブラック・パワー、ブラック・コンテンポラリー、ソウル・ミュージックをお送りしています。シリーズ最後は、スティーヴィー・ワンダーのアルバム『ファースト・フィナーレ』です。

スティーヴィー・ワンダーことスティーヴランド・モリス・ジャドキンズは、1950年5月13日にミシガン州サギノウで生まれました。ところが生まれてすぐに保育器のトラブルで、視力を失ってしまいます。そんなハンディを跳ねのけ、幼少期にピアノやハーモニカ、ドラムなどの楽器をマスター。11歳にして、モータウンとの契約をとりつけるほどの実力を持ちました。

1963年“リトル・スティーヴィー・ワンダー”としてアルバム『フィンガーティップス』でデビューすると、たちまち全米No.1のヒット。その後も66年の『アップタイト』、『太陽のあたる場所』、68年の『マイ・シェリ-・アモ-ル』とヒット作を生み出してゆきます。

“リトル・スティーヴィー”も20歳を迎えるとさらに成長、この年最初の結婚をしました。71年の誕生日には、未成年時代の印税100万ドルを受け取り、アーティストとしての権利を獲得。当時まだ珍しかったシンセサイザーやコンピュータを使って新作を発表し、72年の『トーキング・ブック』からは「迷信」「サンシャイン」が全米1位の大ヒットとなりました。

ところがここで交通事故に遭い、生死の間をさまよいながら新作『インナーヴィジョンズ』をリリースすると、グラミー賞アルバム賞ほか5部門を受賞。続いて74年には、『ファースト・フィナーレ』が全米アルバムチャート1位に輝き、グラミー賞主要5部門を独占、プライベートでは愛娘アイシャを授かりました。

76年には、LP2枚とシングル1枚という大作『キー・オブ・ライフ』をリリースして、14週連続全米1位という記録を打ち立てました。80年に入ると、よりPOPなアルバム『ホッター・ザン・ジュライ』を発表、82年にはポール・マッカートニーとの「エボニー・アンド・アイヴォリー」が7週連続全米1位。

84年のサウンドトラック『ウーマン・イン・レッド』から、シングル「心の愛」が全米No.1ヒットとなり、アカデミー主題歌賞に輝きます。翌年も「パートタイム・ラバー」を全米トップに送り出し、89年には「ロックの殿堂」入りしました。

90年代以降はオリジナル作品のリリースは少なくなっていますが、ブラック・ムーヴィーの奇才スパイク・リー監督のサウンドトラックを手掛けたり、96年のアトランタ・オリンピックではパフォーマンスを披露。さらに前作から10年ぶり、2005年の新作『タイム・トゥ・ラヴ』では、娘のアイシャとデュエットもしました。2009年には国連平和大使に任命され、近年でもコロナ禍や人道問題など、事あるごとに、愛のメッセージを伝える作品を発表し続けるレジェンドとして存在しています。

スティーヴィー・ワンダーのアルバム『ファースト・フィナーレ』
SIDE A
「やさしく笑って」
「1000億光年の彼方」
「トゥー・シャイ」
「レゲ・ウーマン」
「クリーピン」

SIDE B
「悪夢」
「愛のあるうちにさよならを」
「聖なる男」
「美の鳥」
「プリーズ・ドント・ゴー」

スティーヴィー・ワンダーのアルバム『ファースト・フィナーレ』いかがでしょうか?
ちなみに、今回のアルバムは、1970年代に独り立ちしたスティーヴィーが発表してきた5枚のアルバムを締めくくり、次なるステップへと向かうためのフィナーレなのだそうです。

http://www.steviewonder.net/
スティーヴィー・ワンダー オフィシャルサイト

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