大人のための映画選び 井上一馬著

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 2000年8月4日発行。著者の井上氏はいわゆる映画評論家ではなく作家、翻訳家で、かなりの著作を残していることをネット検索して知りました。つまり、私は本展示アイテムに出会うまでは、この著者のことを不勉強ながら知りませんでした。さて、本書自体は書下ろしではなく、主に1990年代後半に様々な雑誌に寄稿したものを加筆などしてまとめたものだそうで、この時期の主要作品の記憶を留めたもの、という感じですかね。正直言って、多少文章のうまい映画ファンが、自身の独断と偏見を綴った、という風情で、本文冒頭で著者が映画評論家ではない、ということを申し上げましたが、そのことが如実に表れている内容で、この辺は読者の好みの分かれるところでしょう。では、お前はどうなのか、というと、おそらく本書が出版された20年ほど前ならば、あまり一顧だにしなかったでしょう。少し時代が下り、当時のことを感慨をもって見直すことができる立場になって、冷静に読める、すなわち、読む時期によって感想の質が変わる、というのが、読後の最大の印象でした。
 具体的内容についてはいちいち触れませんが、著者同様、私も驚いたのが、「アメリカ人が選んだスポーツ映画ベスト25」の結果で、一位がなんと『勝利への旅立ち』という作品だったこと、もちろん私も観ていましたし、その際も佳作とは思っていましたが、この作品で最も印象的だったのがジェリー・ゴールドスミスの音楽であり、ストーリーそのものにはそれほど際立ったものを感じなかったので、この作品については機会があれば観直してみたい、そう思わせてくれたのが、本書からの最大の収穫でした。
#井上一馬 #1990年代 #勝利への旅立ち 

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