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DVD「若き日のリンカーン」
1939年製作、というと『駅馬車』と同年ということになりますが、本展示アイテム収録作はジョン・フォード監督のその次作で、本作とやはり同年の『モホークの太鼓』、そして翌年の『怒りの葡萄』と3作続けて、ヘンリー・フォンダを起用しました。すなわち、この後の『荒野の決闘』などのフォード=フォンダの名コンビは本作がきっかけとなったわけで、その意味でも興味深い作品でした。
あらすじは、「イリノイ州ニュー・セレムでささやかな雑貨屋を営んでいたエイブラハム・リンカーンは、人々の薦めで州議会選挙に立候補したが、恋人のアン・ルトレッジに先立たれた後、彼女の生前の期待に応えるため、法律家として立つ決心をした。スプリング・フィールドで、友人のジョン・スチュアートと法律事務所を開いたが、彼の機智とユーモアに富んだ弁護士振りは次第に注目された。独立祭の夜、警吏のスクラブ・ホワイト殺害事件が起こり、犯人として未亡人アバゲイル・クレイの息子、マットとアダムが逮捕された。激昂した群衆は兄弟を収容している施設を襲撃しようとしたが、リンカーンの沈着冷静な説得によって、騒ぎは収められた。事件の公判では目撃者キャスの証言で兄弟の有罪は決定的になったが、最後に立ち上がったリンカーンは、反証と推理でキャスこそ真犯人であることを指摘し、クレイ一家を救ったのだった。」(KINENOTEより)
タイトルだけ見れば、リンカーン大統領の青年期のエピソードを描いた作品なのでは、と思われ、実際にはそのような描写の部分もありましたが、基本的にはリンカーンが法律家であったことを題材にした法廷劇がメインの筋立てで、その合間に後の伴侶となるメアリー・トッドや、後に政敵となり「リンカーン・ダグラス論争」として知られる公開討論で奴隷制度を巡って激しく対立し、7度にわたり議論を繰り返したスティーブン・アーノルド・ダグラスを登場させるなど、アメリカ人観客向けの工夫が脚本には施されています。ですので、自国の偉人を好意的に描いている、という点で、アメリカ人とそれ以外の国の人では捉え方も違ってきそうですね。別に凡作とは言いませんが、ジョン・フォードのフィルモグラフィーの範疇では、それほど重要度が高いとも思えず、それが少なくとも我国ではそれほど本作の知名度が高くないことの一因ともなっているようです。
あと、音楽はアルフレッド・ニューマンが担当していますが、最も印象的だったのはラストに流れる『リパブリック讃歌』でしたね。日本では、「おたまじゃくしは蛙の子」の替歌で知られる曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=j9oxjPPEscU
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