浅野コレクション:第三次発行1銭黒色(その3) / Asano Collection - 3rd Issue 1 Sen Black (3)

0

第三次発行1銭黒色、「第15版」の1枚貼使用例リーフ。東京・薬研堀町の報知社が発行した、金高81円35銭の明治17年7月28日付領収書に貼付されたもの。

なお、領収書に対する印紙税は、明治7年の証券印税規則では「金高十円以上は全て1銭」(注:借用書のように金高に応じた割合で増加するのではなく、十円以上は幾らであっても一律で1銭)とあったところ、明治17年5月1日付太政官布告第11号(同年7月1日施行)改正証券印税規則・別冊第2条に掲げる第1類証書の「売買仕切書」として、「金高の多寡に拘わらず」1銭と定められた。この証書は、日付からみて改正後の税率が適用されたものであるが、金高が10円を超えているため、見た目の上では改正前後では区別がつかない。

金高が10円未満の領収証では、改正前は印紙不要(界紙使用)、改正後は印税1銭であるので、たとえば金高4円の領収書で、一方は印紙なし、一方は1銭印紙貼付という面白い(?)リーフを作ることが可能である。

証書の中ではありふれている1銭黒色印紙単貼証書でも、印税規則との対比で整理すると、実はなかなか奥が深いのである!

ちなみにこの領収証の発行元である「報知社」は現在の報知新聞社の前身であり、Wikipediaによると、1872年に 前島密、小西義敬らにより『郵便報知新聞』が創刊され、翌1873年に同新聞の発行会社である「報知社」が設立されたとある(1894年に新聞紙名を『報知新聞』に改称)。この証書に出会うまで恥ずかしながら報知新聞の創刊に前島密が関わっていたことは知らなかったので、それを知るきっかけになったという意味でも、なかなか味わい深いアイテムとして気に入っている。

Default