プライマリーとは?

アート市場には「プライマリーマーケット」と「セカンダリーマーケット」の二種類がある。
プライマリーマーケットとは、アーティストが新しい作品が最初に発表・売買する一次市場のこと。また、プライマリーアートとは、ここで売買される作品のこと。
セカンダリーマーケットとは、一度売買された作品を再び市場に出すこと。ここで売買される作品をセカンダリーアートと呼ぶ。
プライマリーマーケットでは作家やギャラリーが設定した価格で作品が取引され、主にプライマリーギャラリーにより構成される。

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質の高い現代アートを購入するために、いますぐ実践できること。_image

質の高い現代アートを購入するために、いますぐ実践できること。

宮津大輔さんは、1994年に草間彌生の作品を購入して以来コレクションを続け、現在はおよそ400点の作品を所有する日本を代表する現代アートコレクターだ。

国際的にも知られたコレクターだが、その紹介にはいつも「サラリーマン・コレクター」という「肩書」がついていた。そこには一般のサラリーマンでありながら極めて質の高いコレクションを形成していることに対する驚きと尊敬の念が込められている。

今ですら「現代アートを買う」という行為はそれほど一般的ではない日本で、四半世紀も前にそれを始めた動機は何か?どうすれば一般人でも宮津さんのような質の高いコレクションを築くことが出来るのか?

前編では「コレクター宮津大輔はいかにして生まれたか」その生い立ちと目利きになるための秘訣を探るべくお話を伺った。

後編となる今回は現代アートをコレクションすることに興味を持った方のために、アートを購入する際の最初のステップから、常に新しい才能を発掘してきた宮津さんがいま注目している作家まで、「現代アートを買う」という行為についてより具体的なノウハウを伺った。(モデレーター 深野一朗)

尖ったセンスを持つアート・コレクター。作品との向き合い方は「第一印象」重視?_image

尖ったセンスを持つアート・コレクター。作品との向き合い方は「第一印象」重視?

センスのあるなしを、語ることは難しい。数値化して比べることもできなければ、その有無を判定する基準もないからだ。しかし世間には「センスがあるね」と言われる人がたしかにいる。現代アート・コレクターの神田さんもその一人だ。

モデレーターの深野は、とあるギャラリーで神田さんを紹介された時、着ていた服のセンスの良さに驚いたという。国内のギャラリーや海外のアートフェアでも、しばしばその姿をみかけ、顔を合わすうちに、こんな興味を抑えられなくなった。

「誰もが知る有名ブランドに身を包めば、間違いはない。けれど神田さんは洋服を、人の基準や世間の評価では選ばない。神田さんはそのセンスで、どんなアートをコレクションしているのだろう」

実は"神田さん"とは、仮の名前だ。

神田さんは、極めて私的な行為として現代アートを蒐集し、ふだんは東京・神田で「普通に会社員をしている」という。今回は名前と顔写真の掲載を伏せることで、インタビューに応じてくれた。

取材の日も、セルリアンブルーのロングシャツに、ネイビーのパンツ。奇抜なところはないのに、ハッとさせられるセンスと品に溢れた装いで現れた。

アート業界を盛り上げたい!アート・コレクター夫妻の行動と実践_image

アート業界を盛り上げたい!アート・コレクター夫妻の行動と実践

アート好きを10人集め、「ヴェネチア・ビエンナーレの次の日本代表作家は?」と聞いたとしたら、いったい何人が答えられるだろう。

ヴェネチア・ビエンナーレは、現代美術の国際美術展覧会のひとつであり、その代表作家に選出されることは、世界のアートシーンにおいても名誉なことだ。しかし日本国内では、その扱いがあまりにも小さい。

この状況に課題意識をもちアクションを起こしたのが、現代アートコレクターの長谷川一英さん・惠美子さんご夫妻だ。

E&K Associatesという法人を立ち上げ、作家やギャラリーを独自の方法でサポート。現在は、「ある事情」によりその活動を休眠しているが、聞けばその事情もまた興味深い。

夫婦でどのようにコレクションを楽しんでいるのか。どんな活動で、どんな景色をみたいのか。お話を伺った。

アートが押した感覚のスイッチ。変わったのは「ビルの谷間から見える景色」。_image

アートが押した感覚のスイッチ。変わったのは「ビルの谷間から見える景色」。

現代アート・コレクターの棟田響さんは、引っ越しを機に「新居の、あの壁を埋めたい」という思いから、最初の一点となる現代アート作品を購入した。

しかし棟田さんが購入したのは青木野枝さんの立体作品。

モデレーターの深野が、思わず「壁、埋まらないですよね!?」と切り込むと、棟田さんは笑って「なんか気に入ってしまって」と答えた。

いい生活をしたい。その気持ちに素直に従い、コレクションという意識もなく集まった棟田さんの現代アート・コレクション。

現代アートが、棟田さんの日常に与えたものとは?アート作品に溢れるご自宅で、お話を伺った。

いま世界で進む商業芸術の再評価。「NANZUKA」が拡張した現代アートの文脈について_image

いま世界で進む商業芸術の再評価。「NANZUKA」が拡張した現代アートの文脈について

少年漫画の原画がルーブル美術館で展示され、「マンガも芸術なの?」と驚きの声があがったことがある。時代をさかのぼれば浮世絵も、日本人がその価値を見いだすより先に、外国人の目を通して評価され、名品の多くが海を渡った。

渋谷にある現代アートのギャラリーNANZUKAは、田名網敬一や空山基など才能は認められていても、芸術としてみなされる機会がなかった作家の作品を、アートの文脈にのせ、世界に勝負を仕掛けている。

NANZUKA代表の南塚真史氏は、どのような姿勢でアートと向き合うのか。現代アート・コレクター/大学教授の宮津大輔氏に話を聞いて頂いた。

スター作家を生むギャラリスト。小山登美夫さんの世界の見方、ローカルでの振る舞い方_image

スター作家を生むギャラリスト。小山登美夫さんの世界の見方、ローカルでの振る舞い方

アートに関心のない方でも、一度はその作品をみたことがあるに違いない。そんなスター作家を世に送り出してきた、小山登美夫ギャラリー代表の小山登美夫さん。プライベートでは、頭で理解できないような主題のアートが好きだという。

「言葉で説明できるものなら、絵にしなくていい。言葉で言ってくれればいいと思ってしまうんです」

しかしアート・マーケットの話題になると、マクロとミクロの視点を切り替えながら、世界の動向を明解に言語化して聞かせてくれる。

欧米が主導権を握り、中国が活気づくアート市場で、日本がすべきこととは?ギャラリーが果たすべき役割とは?現代アート・コレクターの笹川直子さんが、話を聞いた。

アジアから世界へ。挑戦を続けるオオタファインアーツが見る世界の景色_image

アジアから世界へ。挑戦を続けるオオタファインアーツが見る世界の景色

所属作家に、日本を代表する現代美術家の草間彌生が名前を連ね、シンガポールと上海の海外拠点も順調に力をつけている。

そんなオオタファインアーツの代表が、大田秀則さんだ。自由な空気を求めて現代アートの世界に入ったという。閉塞感を好まない気質が影響しているのか、ギャラリーでは若手のスタッフたちがのびのびと働いている。

オオタファインアーツはどのようなスタンスで作家とつながり、世界のコレクターに作品を届けているのか。現代アートコレクターの神田さんが話を聞いた。

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オオタファインアーツはどのようなスタンスで作家とつながり、世界のコレクターに作品を届けているのか。現代アートコレクターの神田さんが話を聞いた。

父から娘へ。タグチアートコレクションのこれまでとこれから_image

父から娘へ。タグチアートコレクションのこれまでとこれから

タグチアートコレクションの名で知られる、ミスミグループ創業者の田口弘さんの現代アート・コレクション。

現在、蒐集や管理は長女の田口美和さんに引き継がれ、さらなる広がりをみせている。2018年11月時点で、作品数は約470点。

これほどのビッグ・コレクターならば、「いつかはプライベート・ミュージアムを」という思いがあってもおかしくない。

しかし弘さんも、美和さんも、特定の箱(スペース)をもつことは考えていないという。

かといって、コレクションを自分たちだけの楽しみにすることもない。コレクションの質の高さから、美術館などから出品依頼の声がかかることも多く、むしろ積極的に公開をしている。

過去には、タグチコレクションの名を冠した展覧会もたびたび開催され、来年も北海道内の美術館を巡回する予定だ。

父から娘に引き継がれるコレクション。インタビューで、弘さんは、しばしば実業家としての顔をみせながらアート購入時のアドバイスや、現代アートが持つ力を語った。美和さんからは、ギャラリー巡りを始めたころの意外なエピソードが明かされた。

ビデオアーティストCOBRAの原点回帰「言葉で説明できないもの」_image

ビデオアーティストCOBRAの原点回帰「言葉で説明できないもの」

ごく普通の世間的主題や美術史を軽妙に取り入れた映像作品を多く発表しているCOBRAさん。アーティスト・ラン・スペース「XYZ collective」のディレクターとしてその名を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか

シュールでユーモア溢れる作品は、鑑賞者をたちまちCOBRAワールドへと引きずりこむ。そのインパクトは日本を飛び越え海外にも伝播し、ニューヨークやチューリッヒのギャラリーでも展示をおこなっている。

直近ではMISAKO & ROSENで加賀美健さんとの二人展「Romantic Comedy」を開催。「アクション」「パフォーマンス」といった美術の形式を取り入れた作品を発表した。近年はアートフェアに囚われるコレクターを揶揄する作品を作るなど批評性にも磨きがかかる。そんなCOBRAさんに今後の展望を尋ねると「原点回帰」と語ってくれた。

COBRAさんの「原点」とはどこにあるのだろう。新たなスタートラインに立とうとしているCOBRAさんに、本企画モデレーターでアート コレクターの深野一朗さんが質問をぶつけた。

千葉正也の絵画探求「オブジェが何だかを知るために、絵を描いています」_image

千葉正也の絵画探求「オブジェが何だかを知るために、絵を描いています」

自ら制作したオブジェや日用品、既存のイメージなどを周到に構成し、それらをモチーフとした絵画やドローイング、インスタレーションを制作してきた千葉正也さん。

音楽と現代美術のフェスティバル「アッセンブリッジ・ナゴヤ 2019」では、港まちの旧・名古屋税関港寮を会場に「この匂いも作品に含まれます」と描かれた絵画や、窓から飛び出すハートのオブジェ、雑草にスプレーで塗装したインスタレーションなど、周辺の環境を活かした滞在型の作品を制作・展開した。ペインターと名乗り続け、絵画と実在の境界を揺さぶり続ける千葉さんの近年の思考とは?

インタビュアーは現代アート・コレクターの棟田響さん。途中からShugoArtsオーナーの佐谷周吾さんも加わった取材は、地元横浜でのエピソードや絵画に対する姿勢など多岐にわたった。