1,000点以上ものかえるグッズに出会える博物館に、名物館長あり!
かえるの魅力を語る、館長のミカエルさん
世界のかえる博物館を訪れると、毎回、かえるに関する新しい情報が得られる。
「かえるとオタマジャクシの境界線は分かりますか?かえるは肉食で、オタマジャクシは草食です。食べる物によって、口の形が変わります。口の形がおちょこ口なのが、オタマジャクシなのです」
楽しそうに語る館長のミカエル芝野さんは、かえるのコレクションを集めて10年以上。1000点近いかえるに関係するコレクションを、実家の一室を改良した「世界のかえる博物館」に展示している。
余談だが、館長のミカエルさんの名前の由来は、「美しいカエル」と、キリスト神話に出てくる天使「ミカエル」を重ねた物だ。本名は芝野利夫さんである。ミカエルという名前には遊び心が溢れている。
ミカエルさんのコレクションは、ぬいぐるみ、Tシャツ、おもちゃ、骨格標本、音楽、絵本などバリエーションが多い。
「かえるに興味を持っている人と話す時には、引き出しが多い方がよい」
と語るように、世界のかえる博物館では様々なかえるグッズが展示されているのが特徴だ。
「売れへんかったら、これ、どうなりますか?」
最初のコレクション。海洋堂の造形師が作ったナミエガエルのフィギュア
ミカエルさんのかえるコレクション。始まりの1個はナミエガエルのフィギュアだった。
天王寺の動物園で働いていたミカエルさん。当時、動物園内ではワニやトカゲの爬虫類の飼育をしていたが、かえるはいなかった。園内を少しでも盛り上げようと、かえるの人形を置く事を思いつき、大阪にある海洋堂(チョコエッグで有名なフィギュア制作会社)の社長に相談をしに行った。そこで、一人の造形師の机に置いてあったかえるのフィギュアを見つけたのだ。
「精密にできたナミエガエルのフィギュアでした。展示したら面白いと思い『売れへんかったら、これ、どうなりますか?』と聞いてみると、その造形師の人は、売れると思えなかったらしく、私に無償で譲ってくれました」
当時は、今よりも爬虫類や昆虫のグッズの認知度が低く、商品がなかなか売れなかった。そんな事情もあり、初めてのかえるのコレクションは、思わぬ形でタダで入手した。そこからかえるのコレクション集めが始まる。
そして、1つの問題に向かい合う事になる。
コレクションを置くスペースが無いのだ。そこで、ミカエルさんは面白いアイデアを思いつく。毎年クリスマスの時期に「ケロスマス」を実施するのだ。かえるの着ぐるみに赤いサンタ帽子を被って、子供達と一緒に近所の家を歩き回るのだ。そこで、知人から貰ったかえるのグッズを配っている。
「ケロスマスは、今の家に引っ越してきた14年前ぐらいから実施しています。今では近所の子供から、”かえるのおっちゃん”と呼ばれています」
ケロスマス以外にも、養護施設などにかえるグッズを寄付をしている。
かえるから学ぶ自然の仕組み。そして、人間とかえるの関係
かえるの骨格標本。手の指と足の指の本数が異なるのが特徴的
「あまり知られていないが、かえるは人間の役に立っています。かえるは蚊を食べます。かえるがいないと蚊が大量発生します。また、アフリカツメガエルなどは、昔は皮膚の再生医療や妊娠の検査薬の研究に使われていました」
そう語るミカエルさんは、かえるを通して自然学習の啓発活動を行なっている。近所の小学校では、かえるを通して食物連鎖の仕組みや、かえると人間との関わりを説明している。
「最近では、かえるを通じて自然学習の活動に力を入れているので、かえるのぬいぐるみ、おもちゃ等よりも骨格標本を集めていますね。世界には5000種類のかえるがいます。日本だけでも40種類近くいます。骨格標本を使って、その違いを説明したいですね」
かえる博物館の情報は、Facebookの「世界のかえる博物館」でチェックする事ができる。
また、実際にかえる博物館を訪れる際には、事前に電話、メールなどで連絡が必要である。基本的には、ミカエルさんが不在の時は休館である。
最後に、ミカエルさんはこう話す。
「パンダは99%の人が可愛いと思う。しかし、かえるを可愛いと思うのは半分もいないと思う。それでもかえるが好きな人、興味がある人は遊びに来てもらえれば、いろいろと説明をさせていただきます」
毎回、この博物館を訪れると、帰り道で思う事がある。
”ミカエルさんとのかえる談義は、楽しい”
—おわり—
いろいろなかえるグッズが館内に展示されている
七福神ならぬ「七福蛙」。一匹一匹の表情が可愛い
本物のオオヒキガエルから作った、がま口のお財布
教材用のかえるの模型。とても分かりやすい
トノサマガエルとアマガエルの違いを、人形を使って説明してくれました。どちらがトノサマガエルか分かりますか?
絵本作家の長谷川義史さんが、ミカエルさんの動物園を定年退職のお祝いに、描いてくれた絵
よく見ると、時計まで蛙が描かれている!
世界のかえる博物館の外観
世界のかえる博物館
館長のミカエル芝野さんは、かえるのコレクションを集めて10年以上。1000点近いかえるに関係するコレクションを、実家の一室を改良した「世界のかえる博物館」に展示している。
かえる博物館の情報は、Facebookの「世界のかえる博物館」でチェックする事ができる。
また、実際にかえる博物館を訪れる際には、事前に電話、メールなどで連絡が必要である。基本的には、ミカエルさんが不在の時は休館である。
「パンダは99%の人が可愛いと思う。しかし、かえるを可愛いと思うのは半分もいないと思う。それでもかえるが好きな人、興味がある人は遊びに来てもらえれば、いろいろと説明をさせていただきます」
コレクションを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍
カエル好き垂涎の一冊
世界のカエル大図鑑
皮膚から分泌するたった1グラムの毒素が10万人を死に至らしめるキイロフキヤガエル、毎年冬に凍りついて寒い季節をすごし、春になると息を吹き返すアメリカアカガエル、体重3キロを超える巨漢ゴライアスガエルなど、さまざまな色・形・大きさ・生態をもつ世界中のカエルと出会える図鑑。それぞれの種が地球規模で進む環境破壊にどう適応しているかにも着目し、最新の生息情報を提供する。図鑑史上最大規模となる全600種を収録し、すべての種を実物大カラー写真でリアルに紹介する。
自ら歩いて、探して、観察したからこそのマニアック図鑑!