鵬翼(10本入)

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太平洋戦争開戦直後の新製品

日本が、「南洋」に関心を持ち始めたのは幕末の「開国論」にまで遡りますが、日清戦争や第一次世界大戦を経験する中で、その関心は更に高まりました。当初は経済的・平和的な進出論がその中心でしたが、日中戦争以降は領土の拡張など、武力的な側面が強まりを見せます。

そうした社会的背景のなかで、新製品開発の際に名称候補として挙がり、正式に採用されたのが「鵬翼」です。典拠は中国の古典『荘子』からですが、古来より、大きな事業を成し遂げようとすることを『図南鵬翼』と喩えたことと、戦中の南進論にも沿い、「時局向き」との評価をうけたことによります。『図南鵬翼』は漢詩の題材にもよく使われていました(伊達正宗『欲征南蠻時作此詩』など)。

積乱雲を分けて飛行する爆撃機の雄姿を描くそのデザインは出来栄えも良く、また真珠湾攻撃からわずか10日後の発売であったことから、発売前の議会発表では大好評を博しました。そういう華々しいスタートを切った「鵬翼」でしたが、実際の戦況は日に日に悪化し、物資窮乏から1色刷りに変更され、終戦を待たず廃止されました。

1941年12月18日 15銭で発売開始【画像1】 
        ☆3色印刷 雲影灰色

1943年1月17日  25銭へ価格改正【画像2】
        ☆戦時負担額併記【画像3】

1943年12月27日 35銭へ価格改正【画像4】
        無定価品【画像5】

1944年3月28日  ☆1色刷に変更【画像6】
        無定価品【画像7】

1945年3月    45銭へ価格改正(ただし新装品未発売)

1945年1月製造中止

[1963 大熊]
[1985 日本専売公社]

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