『征途』佐藤大輔《トクマノベルズ》

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『征途』佐藤大輔。徳間書店トクマノベルズ刊。1993年~1994年。
仮想シミュレーション戦記の代表的な作品。惜しまれつつ早世した佐藤大輔氏の作品です。第一巻「衰亡の国」ISBN4-19-155130-2 第二巻「アイアン・フィスト作戦」ISBN4-19-155251-1 第三巻「ヴィクトリー・ロード」ISBN4-19-850056-8 の三巻で完結しています。
“1944年10月25日、レイテ沖で「謎の反転」をしなかった栗田艦隊・戦艦大和の砲術長・藤堂明中佐は、僚艦「利根」からの砲弾が跳弾し昼戦艦橋が全滅した結果、最高位の将校として大和の指揮を執ることになった…。"
代々の海軍軍人の家系であった、藤堂明とその息子たち、藤堂守と藤堂進、そして進の息子の、藤堂琢磨、藤堂輝男を主人公として、彼らが、実史とは違う戦後の日本を生き抜いていく姿を描きます。「武蔵」は沈むものの「大和」は生き延び、海上自衛隊超大型護衛艦から、歴史上最大級のイージス艦となって戦後も活躍します。
日本自体がベトナム戦争に参戦し、空母任務群を運用、日の丸F-14トムキャットが当たり前に存在して、湾岸戦争にも参加する並行世界は、面白いというより不思議な感覚です。
多くの作品が刊行された「仮想戦記」というジャンルの中でも、評価の高い作品で、歴史仮想シミュレーションというジャンルの面白さを体現したような傑作だと思います。
主人公の名前に現われているように、登場人物に絡めて有名人物、アニメ、SFの仕込みネタが無数に仕込まれており、そういった方面からも注目を集めた作品です。作中登場する“赤い日本”は、ある国をモデルとしており、現在の国際情勢もシミュレーションしていると思われます。
#仮想戦記 #SF #佐藤大輔 #徳間書店

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