月報 キング 1960〜1963年

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1960年に入り、4月号から新レーベル「ヴァンガード」が登場します。

1961年7月号には、邦人ピアニストの田中希代子さんの国内ステレオ盤が紹介されています。この方は1950年代に国際コンクールに入賞し、その後主に海外で活動された方ですが、難病(膠原病)のためキャリアの半ばで引退を余儀なくされてしまいました。大変貴重なレコードです。

1962年2月からウェストミンスター・レーベルが加わります。

指揮者イシュトヴァン・ケルテスのデビュー・レコード(ドヴォルザークの「新世界より」)は、1962年5月号に掲載されています。この時代は、レーベルによる音質の違いが大きく、英デッカの録音は優秀で、高弦がクリアに抜け切っていく様が「ロンドン・ハイ」などと言われていました。ケルテスのレコードも、指揮者の能力はもちろんですが、ウィーン・フィルという最高級のオケを使い、録音が英デッカということで、大変聴き映えのする出来になっていました。

1962年2月10日にザ・ピーナッツの「ふりむかないで」が、翌1963年3月20日には臨発として「恋のバカンス」が発売されています。この辺りが純国産ポップスの草分け的な楽曲になると思います。当時、歌謡曲・演歌系から外れた領域をレパートリーとする場合、どうしても洋楽のカバーが中心となり、独自性を打ち出すのが難しい時代でした。その中でピーナッツの場合は、ご本人たちの歌唱力やセンスはもちろんですが、岩谷時子&宮川泰というコンビによって強力なオリジナル曲が提供されていたこと、これが大変重要な武器になってキャリアを築いて行けたのだと思います。63年11月の「東京たそがれ」は、後に「ウナ・セラ・ディ東京」となる曲です。

1963年7月号では「セブン・シーズ」が新レーベルとして紹介されていますが、それまでキング・インターナショナルとして発売されていた様々なレーベルの窓口を一本化するものでした。これに先立って1963年2月には「ロンドン」以外のレーベル別の規格番号体系を整理し、「HIT」シリーズが登場していました。

クナッパーツブッシュ/ウィーン・フィルによるワーグナー、私が聴いたのはもっと後の時代の再発盤でしたが、正にワーグナー開眼となったレコード。ここに収められている楽劇「ワルキューレ」の大詰めの音楽が正に衝撃的な演奏でした。

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