輝水鉛鉱 (molybdenite) 平瀬鉱山 #0587

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輝水鉛鉱の単結晶片です。本標本は一辺5~6cmほどの大きさですが、平瀬鉱山は底面直径20cmにも及ぶ巨晶を産したことで有名です。

平瀬鉱山は1911年(明治44年)に稗田橋付近の露頭(後の大勝坑)が発見されたことに始まるとされ、1940年(昭和15年)に寿重工/株(大阪)が採掘権を買い取り、平瀬寿重工鉱山として積極的にモリブデン鉱(輝水鉛鉱)の採掘を進めました。1941年(昭和16年)の太平洋戦争勃発に伴い兵器製造に欠かせないモリブデンは軍部に注目され、軍部の意向により周辺の東亜鉱山(木谷)、杉浦鉱山(稗田)を吸収・合併しました。戦時中は海軍主導で増産が図られ、多数の朝鮮人を徴用、1944年(昭和19年)には132.7トンのモリブデンを産出しました。戦後は1951年(昭和26年)に別子鉱業(住友金属鉱山)が寿重工から鉱山を買収し、立坑・斜坑の開削、選鉱場の増設等を行い、生産量を飛躍的に上昇させましたが、次第に鉱脈が尽き、1975年(昭和50年)に閉山しました。

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