長野県南佐久郡佐久穂町大日向 エステレル式双晶・日本式双晶

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ひとつのクラスターに複数の双晶が見られる水晶標本は、コレクター垂涎の的。それなりに双晶が見られる産地、例えば上八重や三ツ岩岳、金鶏鉱山のものであれば、複数の日本式双晶が確認できます。

しかし、甲信地方のペグマタイト産水晶では、大きい双晶の単品であればまだあるものの、複数というものは多くは見かけません。大深山などの例外はありますが、見つかっても放出されることは稀です。

こちらはコレクター様の自宅にお伺いし、直接購入した煙水晶クラスター。色味がややねずみ色な煙水晶で、表裏ともに結晶が見られます。一部は黄鉄鉱の内包が確認でき、前掲の大日向の水晶にそっくりな内包の仕方をしています。

この標本のポイントは、その両面に見られる双晶の存在。1、2枚目のものが表面に見られるエステレル式双晶。76.26°で交わっているものがエステレル式なのですが、角度が日本式双晶のそれ。交点、両翼の柱面の向きからしてエステレルと判断されていたので、その形で紹介します。

裏面、5枚目以降。

6枚目が日本式双晶。これは間違いなく日本式双晶の角度で交わっているものです。7、8枚目がエステレル式双晶。恐らく補角の103.74°で交わっていると思われます。

確認できる双晶は上記3つ。とはいえ疑惑の双晶もまだ3つほど。知られていない双晶もまだまだある中、恐らく名前がない、あまり知られていない双晶がこの中に眠っていると思うと、今後が楽しみな水晶です。

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