アン・ルイス『LA SAISON D'AMOUR』

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【2024年12月21日ON AIR】
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
12月は1982年にDate fmが開局したメモリアルな月という事で “Fantastic 80's”と題して、80年代初期のJ-POPをお送りしています。今回は、アイドルからロック・シンガーへと生まれ変わったアン・ルイスが1982年にリリースしたアルバム『LA SAISON D'AMOUR』をお届けします。

1970年代の終わりから80年代にかけて、日本の音楽シーンではロックと歌謡曲の融合が見られました。それまでTVで観る機会の少なかったロック・ミュージシャンも、Char、原田真二、ツイストの「ロック御三家」の登場によって、お茶の間でも人気となります。またフォーク・シンガーがアイドルや演歌歌手へ作品を提供するなど、ジャンルをまたいだ音楽がヒットしていました。そんな時代に、歌謡界からロックへアプローチしてきたシンガーの一人がアン・ルイスでした。

本名アン・リンダ・ルイスは、1956年6月5日神戸に生まれました。父親はアメリカの軍人、母親が日本人のハーフで、横浜にある米軍住宅街で育ちます。幼少期からモデルとして活動しはじめ、1971年15歳でビクター・レコードからデビュー。平尾昌晃・なかにし礼コンビによる74年の「グッバイ・マイ・ラブ」が初のヒット曲となりました。

その後シンガーとしてのヒットこそありませんでしたが、タレントとして活動する傍ら自身もこだわりのあるファッションの分野で、キャンディーズや山口百恵の衣装をデザイン。70年代後半になってくるとロック寄りの楽曲をリリースするようになり、山下達郎の「恋のブギ・ウギ・トレイン」や、竹内まりやの「リンダ」などでアイドルから脱却。

80年にはロック・シンガーの桑名正博と結婚して、翌年に長男・美勇士を出産、育児のためしばらく音楽から離れていましたが、1982年「ラ・セゾン」で見事復活します。83年からはNOBODYや伊藤銀次といったポップ・ロック人脈が加わり「LUV-YA」などをチャートに送りこんでいきました。

84年に離婚した後は、よりロック志向を強め「六本木心中」がドラマ主題歌に起用されると、主演のとんねるず と共にブレイク、1年以上チャートインし続けるロング・ヒットとなりました。また85年6月9日(ロックの日)に日比谷野外音楽堂で『ANN CALL'85』と名打ったイべントを開催。Char、原田真二、吉川晃司、早見優、山下久美子、太田裕美など、芸能界と音楽業界との垣根を超えた友人たちとのパーティーは、89年まで毎年開催されました。

「六本木心中」はテレビ番組での大胆なパフォーマンスが話題となり、続く86年には「あゝ無情」が大ヒット、アン・ルイスは歌謡ロック路線をばく進します。ところが90年代に入りパニック障害であることを発表して、しばらく父親の母国アメリカに在住。活動休止を経て、2005年にセルフ・カヴァー・アルバをリリースして活動を再開しました。しかし2013年、元夫の桑名正博と息子の美勇士との共演CDをリリースして引退を発表。現在はアメリカで静かに暮らしているようです。

アン・ルイスのアルバム『LA SAISON D'AMOUR』
SIDE A
「PHOTOGRAPH」
「BABY LET ME STAY TONIGHT」
「さよならスウィートハート」
「LA SAISON」(アルバム・ヴァージョン)
「SHAKE DOWN」
「DON'T SMILE FOR ME PART I」

SIDE B
「CAN YOU LIGHT MY FIRE」
「ALL MIXED UP」
「AちょっとHOTみだら」
「つかのまスターダスト」
「DOUBLE VISION」
「DON'T SMILE FOR ME PART II」

アン・ルイスのアルバム『LA SAISON D'AMOUR』いかがでしょうか?
ちなみに、ヒット・シングルの「ラ・セゾン」、作詞は三浦百恵、作曲は沢田研二。アルバムのジャケット写真は宇崎竜童が手掛けるという豪華な作品だったのです。

https://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A000282.html
★アン・ルイス ビクターエンタテインメント

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