ドナルド・フェイゲン『ナイトフライ』

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【2024年10月26日ON AIR】
アナログ音源専門プログラム「33rpm」。
10月は“秋のAORまつり”を開催してきました。シリーズ最終回はAORの金字塔、ドナルド・フェイゲンの名作『ナイトフライ』をお届けします。

本名ドナルド・ジェイ・フェイゲンは、1948年1月10日、ニュージャージー州に生まれました。シンガーだった母親の歌声を聴いて育ち、ティーンエイジャーになると深夜ラジオで流れるR&Bやロック、そしてジャズにも興味を持つようになります。独学でピアノを学び、ニューヨークのジャズ・クラブへも足しげく通っていました。

67年ニューヨークのバード・カレッジで、後のバンドメイト、ウォルター・ベッカーと出会います。二人は一緒に作曲活動を始め、作家チームへの道を模索しますが、壁にぶつかってしまいます。

誰にも歌ってもらえないならば、自分たちでバンドを作ってレコード会社へ売り込もうと接点のあったプロデューサー、ゲイリー・カッツを訪ねてロスエンジェルスへ移ります。カッツの所属するABCレコードから、スティーリー・ダンというバンドで1972年にデビュー。

1stアルバム『キャント・バイ・ア・スリル』から「ドゥ・イット・アゲイン」が全米6位の大ヒット。さらに74年の3作目『プリッツェル・ロジック』からは、「リキの電話番号」が全米4位と、最大のシングル・ヒットを生み出しました。ところが次第に、ライヴが嫌いなフェイゲンとベッカーの二人とメンバーの間に軋轢が生じ、さらには彼らの求めるサウンドとのギャップから、次々とメンバーが辞めていきます。

76年にフェイゲンとベッカーの二人だけになってしまいますが、本領を発揮するのはここから。超一流のセッション・ミュージシャンを起用して作られたアルバム『幻想の摩天楼』は、単なるロックにとどまらず、彼らが唯一無二の天才音楽集団であることを証明して見せたのです。そしてその翌年77年に発表した『彩(エイジャ)』で、その頂点に達します。

レコーディングには、ラリー・カールトン、トム・スコット、スティーヴ・ガッドらが参加、こだわりの凝縮されたアルバムは全米3位となり、グラミー賞優秀録音賞を受賞しました。ところが80年の『ガウチョ』をもってコンビを解消、ドナルド・フェイゲンはソロ活動に入ります。

そんなフェイゲンが82年にワーナー・ブラザーズからリリースした『ナイトフライ』は、楽曲はもちろん、アレンジ、ジャケット・デザインの秀逸さから、AORの金字塔となりました。その10年後の93年にはウォルター・ベッカーのプロデュースで2作目のソロ『カマキリアド』を発表。

これがきっかけとなり、スティーリー・ダンも復活しますが、20年ぶりの新作『トゥ・アゲインスト・ネイチャー』を残して、2017年9月3日ウォルター・ベッカーが星となってしまいました。それでもフェイゲンはスティーリー・ダンとして今でもツアーを続けています。

ドナルド・フェイゲンのアルバム『ナイトフライ』
SIDE A
「アイ・ジー・ワイ」
「グリーン・フラワー・ストリート」
「ルビー・ベイビー」
「愛しのマキシン」

SIDE B
「ニュー・フロンティア」
「ナイトフライ」
「グッドバイ・ルック」
「雨に歩けば」

ドナルド・フェイゲンのアルバム『ナイトフライ』いかがでしょうか?
ちなみに、今回のAORまつり、全4回のアルバム・タイトルにはすべて“ナイト”という単語が含まれていました。秋の夜長にゆったりとお聴きいただけていればと思います。

https://www.steelydan.com/
スティーリー・ダン オフィシャルサイト

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