ウルトラセブン〈1998 30th ANNIVERSARY〉地球より永遠に

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 「ウルトラセブン誕生30周年記念3部作」の2作目。ガッツ星人が登場します。そして、直接対決では例の分身戦法でウルトラセブンは苦しめられ、以前は十字架様に固定・幽閉されたのに対し、今回は「警告と対策の提示」のメッセンジャーにされる、という屈辱を受けることになります。要するに、ガッツ星人からすると「差しでの勝負」なら負けないぞ、ということなのでしょうか。もっとも、本当に「差し」だったのかどうかは、前回も今回もわかりませんが…。そのような過程を踏みながら、最終的にはウルトラセブンはガッツ星人の操る怪獣サルファスを倒し、ガッツ星人も円盤ごとウルトラホークの攻撃で撃墜されることになります。
 ストーリーの具体的な内容については省略しますが、話自体は掘り下げれば割と重いテーマを包含していて、モロボシ・ダンに乗り移られた(若しくは、モロボシ・ダンが変身した)カザモリがウルトラアイを着眼してセブンに変身する直前につぶやく「何者も、踏み込んではいけないんだ。他の惑星に生まれ、滅んでいく者たちの運命に」という言葉は、ガッツ星人及び怪獣と戦う自分に対する動機付けであると同時に、異星人である自分が地球や地球人とどう関わるべきか、という意味が込められているとも解釈でき、それがこの後のシリーズのテーマとリンクすることとなります。
 あと、いくつかの点について触れます。前段でモロボシ・ダンがカザモリに乗り移った、としましたが、その分離の際、モロボシ・ダンも隊員服の姿となっていました。森次氏の隊員姿は『帰ってきたウルトラマン』の第38話以来だと思われますが、何だか今回はあまり似合っているようには見えませんでした。よほど、「平成ウルトラセブン」では毒蝮氏の方が似合っていたような気がしますが、これは私見です。それと、『太陽エネルギー作戦』では特別出演だった佐原健二氏がタケナカの役、それも参謀から長官に出世して登場したのは嬉しかったですね。そして、これは蛇足ですが、登場した怪獣サルファスには「硫黄怪獣」という肩書がついていますが、そもそも硫黄はsulfur(サルファー)ですから、最初見たときは「なんと安直なネーミングか」と脱力したことを覚えています。
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    Jason1208

    2019/12/24 - 編集済み

    佐原健二氏は、自伝「素晴らしき特撮人生」の中で、長官役の藤田進氏に“(あなたが演じると)地球防衛軍という組織が本当に実在してるような気がします”と言ったら、藤田氏から“本当だね。僕は君を後継者に指名しておくよ”という会話を交わしたと書き残しておられますが、その会話がセブン続編の中で実現されたような気がして、微笑ましくなります。^^;

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      woodstein

      2019/12/24

       Jason1208さん、コメント有難うございます。とてもいいエピソードですね。昔の特撮物のファンとして嬉しくなってしまう話です。紹介して下さり有難うございました。釈迦に説法ですが、藤田進氏と佐原健二氏は東宝の俳優の先輩後輩で、共に数多くの特撮物にも出演されていますので、それなりの親近感あったのでしょうね。長官、参謀というと『帰ってきたウルトラマン』でも岸田長官、佐竹参謀でしたが、上原昭三氏は実働部隊のMATに対して高圧的な態度で接する役に設定したのに対し、金城哲夫氏は『ウルトラセブン』ではウルトラ警備隊とともに事件に対処する存在としたのは興味深いですね。
       「平成ウルトラセブン」では、その金城氏の設定したタケナカ参謀がそのままタケナカ長官に昇格したようになっているような演出がなされており、その辺り、武上純希氏の脚本は旧ファンへの配慮も怠らなかったものだったとも言えます。

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