MUUSEO SQUARE
山下清(やました きよし・1922年生まれ)は、東京出身の画家。12歳の時に千葉県市川市で入園した八幡学園で貼り付け絵と出会い、才能を開花させていく。6年半後に八幡学園を出奔し、15年間の放浪の旅に出る。1956年に放浪生活に終止符をうち、東京で展覧会を開催。1971年、脳出血が原因でその生涯を終える。「裸の大将」という愛称でも親しまれ、山下清をモデルとした映画やドラマも製作されている。代表作には『花火』『桜島』『東海道五十三次』などがある。
いま世界で進む商業芸術の再評価。「NANZUKA」が拡張した現代アートの文脈について
少年漫画の原画がルーブル美術館で展示され、「マンガも芸術なの?」と驚きの声があがったことがある。時代をさかのぼれば浮世絵も、日本人がその価値を見いだすより先に、外国人の目を通して評価され、名品の多くが海を渡った。渋谷にある現代アートのギャラリーNANZUKAは、田名網敬一や空山基など才能は認められていても、芸術としてみなされる機会がなかった作家の作品を、アートの文脈にのせ、世界に勝負を仕掛けている。NANZUKA代表の南塚真史氏は、どのような姿勢でアートと向き合うのか。現代アート・コレクター/大学教授の宮津大輔氏に話を聞いて頂いた。
田名網敬一
オリバー・ペイン
谷内六郎
フリーズアートフェア
アートバーゼル
ウーマンリブ
山口はるみ
マーク・ジェイコブス
アートが押した感覚のスイッチ。変わったのは「ビルの谷間から見える景色」。
現代アート・コレクターの棟田響さんは、引っ越しを機に「新居の、あの壁を埋めたい」という思いから、最初の一点となる現代アート作品を購入した。しかし棟田さんが購入したのは青木野枝さんの立体作品。モデレーターの深野が、思わず「壁、埋まらないですよね!?」と切り込むと、棟田さんは笑って「なんか気に入ってしまって」と答えた。いい生活をしたい。その気持ちに素直に従い、コレクションという意識もなく集まった棟田さんの現代アート・コレクション。現代アートが、棟田さんの日常に与えたものとは?アート作品に溢れるご自宅で、お話を伺った。
「You are what you "collect".」現代アート・コレクター深野一朗のコレクション観
現代アートは、時に読み解くことがむずかしい。現在進行形なだけに、美術史におけるはっきりとした評価が定まっていないことも多い。そんなアート作品を購入するコレクターさんは、何をみて、何を決め手にしているのだろう。そこで現代アート・コレクターの深野一朗さんに、こんな質問をした。‟身近な方がアート作品の購入を迷っていたら、どんなアドバイスをしますか?”深野さんは「何もいえません」と笑った。現代アートとの出会いから、作品購入時のチェックポイントまで、深野さんはなんでも具体的に答えてくれていたので、この反応は少し意外だった。しかし「何もいえない」の先にあったのは、あらゆるジャンルの純粋なコレクターほど、深く共感できるであろう、深野さんのコレクション観だった。あなたなら、どんなアドバイスをしますか?あなたは、何を集めますか?
質の高い現代アートを購入するために、いますぐ実践できること。
宮津大輔さんは、1994年に草間彌生の作品を購入して以来コレクションを続け、現在はおよそ400点の作品を所有する日本を代表する現代アートコレクターだ。国際的にも知られたコレクターだが、その紹介にはいつも「サラリーマン・コレクター」という「肩書」がついていた。そこには一般のサラリーマンでありながら極めて質の高いコレクションを形成していることに対する驚きと尊敬の念が込められている。今ですら「現代アートを買う」という行為はそれほど一般的ではない日本で、四半世紀も前にそれを始めた動機は何か?どうすれば一般人でも宮津さんのような質の高いコレクションを築くことが出来るのか?前編では「コレクター宮津大輔はいかにして生まれたか」その生い立ちと目利きになるための秘訣を探るべくお話を伺った。後編となる今回は現代アートをコレクションすることに興味を持った方のために、アートを購入する際の最初のステップから、常に新しい才能を発掘してきた宮津さんがいま注目している作家まで、「現代アートを買う」という行為についてより具体的なノウハウを伺った。(モデレーター 深野一朗)
父から娘へ。タグチアートコレクションのこれまでとこれから
タグチアートコレクションの名で知られる、ミスミグループ創業者の田口弘さんの現代アート・コレクション。現在、蒐集や管理は長女の田口美和さんに引き継がれ、さらなる広がりをみせている。2018年11月時点で、作品数は約470点。これほどのビッグ・コレクターならば、「いつかはプライベート・ミュージアムを」という思いがあってもおかしくない。しかし弘さんも、美和さんも、特定の箱(スペース)をもつことは考えていないという。かといって、コレクションを自分たちだけの楽しみにすることもない。コレクションの質の高さから、美術館などから出品依頼の声がかかることも多く、むしろ積極的に公開をしている。過去には、タグチコレクションの名を冠した展覧会もたびたび開催され、来年も北海道内の美術館を巡回する予定だ。父から娘に引き継がれるコレクション。インタビューで、弘さんは、しばしば実業家としての顔をみせながらアート購入時のアドバイスや、現代アートが持つ力を語った。美和さんからは、ギャラリー巡りを始めたころの意外なエピソードが明かされた。