#京都
ミューゼオ・スクエアに公開されている京都に関する記事一覧です。ミューゼオ・スクエアは、万年筆から革靴まで、モノとの暮らしが楽しみになる情報が集まるWEBマガジンです。
箔アーティスト・裕人礫翔の軌跡から「箔」の世界を見る
箔工芸の技術を昇華して「箔のアート」というジャンルを切り拓き、世界から注目される箔アーティスト・裕人礫翔さん。日本の伝統工芸でもある「箔」の奥深い世界を知るべく、京都・西陣のアトリエへ伺った。
金箔、伝統工芸に加えてアート。これだけで、ピリッと張り詰めた緊張感の中での取材をすぐに想像できるだろう。
でもお会いして10分後には笑っていたし、取材開始30分後には、用意していた半分以上の質問は見当違いだったことに気づいた。
裕人礫翔さんは、とてもよく笑うし、笑わせてもくれる。そして想像していた箔工芸とは別の角度から箔を見ている。「伝統工芸」のイメージとはかけ離れた、無限大に広がる箔の世界に彼はいる。
もちろんそうなるまでには、ひたむきに箔工芸と向き合ってきた歴史があった。400年以上紡がれてきた京都の箔工芸から、アーティスト・裕人礫翔という異物が誕生したその軌跡を辿りながら、箔の世界を見てみよう。
京都で数百年培われてきた木具師の技を、手で味わう | 「くらふとばんしょう」名刺入れ
この連載では、モノ雑誌の編集者として数多くの製品に触れてきた山縣基与志さんが「実際に使ってみて、本当に手元に置いておきたい」と感じた名品を取り上げます。
今回紹介するのは、前回の記事で取り上げた握り石ダーマと同様に手の中で転がせる逸品。木具師の橋村佳明さんが立ち上げた「くらふとばんしょう」の名刺入れです。
使われているのは二つの杉でできた部材だけ。たったその二つのパーツに、数百年前の粋人に愛された技が集約されています。
毎日だしを取るのも、時々のおもてなしにも。 愉しんで使いたい、田邊屋の「かつお節削り器」
毎朝鰹節を削り、だしを取る−−−そんな暮らしに憧れつつ、三日坊主になりはしないかと思うと手が出ない。そんなイメージを取り去ってくれたのが、乾物屋の老舗・田邊屋。今回は「京都台所道具見本帖」番外編、「かつお節削り器」の使い方。
1,300年前の意匠に想いを馳せながらお茶をする。 ロマンが詰まった清課堂の「純銀含綬鳥文急須(じゅんぎんがんじゅちょうきゅうす)」
触れたいけれど、触れられない。強く惹かれるその世界を壊してしまいそうだから、触れずにいよう。子供の頃にはそんな感情がもっと近くにあったような気がするけれど、ここしばらく忘れていた。それを一瞬で思い出させてくれたのが、清課堂の銀の急須、「純銀含綬鳥文急須」だ。
鍛冶職人たちが100年以上受け継ぎ造り出す、京都の源金吉印の出刃包丁
毎日欠かさず続けていることのひとつに、料理がある。どれだけ疲れていても、何かに腹を立てていたとしても、包丁を手に取りまな板に向かう。そして野菜や魚、肉に庖丁を入れるたび、疲れや腹立たしかった事も、ストン、ストンと落ちてゆく。少しずつ心が軽くなり、気が付けば無心。ただ「美味しくなること」だけに集中する料理の時間は、面倒なルーティンワークではなく、日々を過ごす中で、なくてはならないひとときだ。
だからこそ、ストン、とまな板に落とす刃は、切れ味がよいものでなければならない。“源金吉”と刻まれた「八木庖丁店」の包丁は、そこに強さを加えて洗練したような一本だ。
開化堂が手がける、優美で機能的な手作り銅製茶筒の魅力
茶筒とは、茶葉を入れる道具ではなかったか? そう思いながらも、絹よりなめらかな肌触りが心地良く、すべすべと撫でることを止められない。親指と中指で蓋を挟んで静かに引き上げ、落とし蓋の役割を担う中蓋をそっと取り出す。茶葉を使ったら中蓋を戻し、蓋を胴の口に少しかけて手を離す。すると静かに、静かに蓋が落ちていき、ぴたりと閉まるのだ。あまりにぴたりと閉まるので、まるで蓋が胴の一部に変化した瞬間を目撃してしまったような驚きがある。極めてシンプルな姿形の中に、一晩中語れそうな魅力が詰まっている、それが開化堂の茶筒である。
手編みが生み出す造形美。辻和金網 コーヒードリッパーの魅力
週末の夜、コーヒーを淹れながら「いつも通りの慌ただしい一週間だった」と振り返る。
そして、いつも通りの日々を鮮やかに彩ってくれた事柄を思い出し、じっくり反芻する。コーヒーの香りが広がるにつれ、心も満たされていく。そんな濃密な時間をさらに豊かにしてくれるのが、「辻和金網」の手編みコーヒードリッパーだ。