稀世の「時計師」ものがたり (文藝春秋企画出版)
文藝春秋企画出版部 2020年
機械式時計の製作、アフターメンテナンスを志す人、そして機械式時計を「思い出の一品」とする全ユーザー必読の書。
2020(令和元)年、91歳を迎えた末和海の人生は、時計、とりわけ機械式時計(メカニカルウォッチ)と共にあった。末の姿勢は、すでに10代で確立されていた。それは、「理論と技能技術の両面から機械式時計のすべてに精通する」ことだった。
日本で初実施の「アメリカ時計学会・公認上級時計師(CMW)認定試験」に、1954(昭和29)年、若干27歳で合格した末は、自身の姿勢を機械式時計に関する高度なアフターメンテナンス、時計メーカーでの斬新な製品開発という「現場」で貫くだけにとどまらず、人材育成の面でも若き後進に多大の影響を与え続けている。その末が、自身の91年に及ぶ人生の道のりをつまびらかにすることで、「今、時計師の存在が必須である」ことの意味を訴える。