人気スタイリスト・平 健一氏に、IN(屋内)でもOUT(屋外)でも使える素敵なアイテムを紹介してもらう連載。アウトドア好きにはもちろん、インテリアにこだわるあなたにもピピッとくる逸品を順次ピックアップ。今回は静岡挽物の技術で作られた木製の一輪挿しをご紹介。
What's this?
ランタン型のフラワーベース「Lantern Ichirinzashi」はSEE SEEとROOPのコラボレーションによって生まれたアイテム。木材をろくろや旋盤で円形の器物を作る<静岡挽物>という伝統技術によって一切のつなぎ目なく成形されており、見た目が非常に美しく、手触りは驚くほどなめらか。持ち手は編んだ革ひもで、デザインのアクセントになっているだけでなく吊り下げて飾れる実用も兼ねている。挿し口には水を入れて使えるよう、試験管型のガラスが入れられている。見慣れたアウトドアアイテムが木材で表現されている不思議な雰囲気漂う一品。
アウトドアアイテムを木材で表現、今までにない発想に衝撃を受ける
「SEE SEEのアイテムはセレクトショップのBEAMSでスケートボード型の二輪挿しを見掛けたのが最初です。シンプルに格好いいなと思いました。その後、代表の湯本さんとお話しする機会があって、『大体の形は作れるんじゃないかな』のひと言から、ランタン型ができないか相談させてもらいました」
アウトドアではおなじみのアイテム、ランタンから花が伸びている様子は不思議な感じ。ペトロマックスのストームランタンをモチーフにしているので、オリジナルのボックスに収まる様もおもしろい。
「SEE SEEは、湯本さんがアメリカ西海岸の廃材でオブジェを作るカルチャーにインスピレーションを受けて、ご本人の地元の伝統工芸<静岡挽物>を応用してプロダクトを生み出しているブランドです。すべて職人の手作業によって作られていて、同じデザインのものでも木の質感などでそれぞれ表情が異なるので“一点物”になるところも魅力ですね」
このランタン型のフラワーベースは、SEE SEEとその職人チームが一からデザインを起こし、試行錯誤を繰り返して作り上げたそう。どんなに複雑なデザインでも挽物技術のみで作ることが徹底されている。
中に試験管が入っているので、取り出して水を注いで使う。
左はペトロマックスのストームランタン。並べて飾ってもおもしろい。
静岡挽物
挽物とは、木材をろくろ(轆轤)や旋盤でひき、円形の器物をつくる技術で、彫り物とは違うなめらかな曲面が特徴。その歴史は古く、弥生時代の奈良県唐古遺跡出土の高杯や鉢などの木器には、すでにその使用が認められている。 <静岡挽物>は、江戸時代末期に銘木商が箱根の挽物師から技術を伝承したのが始まりとされていて、戦後、アメリカ向けに胡椒挽(ミル)やテーブルの脚、ドアノブ等を輸出し、その技術の高さは世界的に認知されていた。
木の素材感を活かした作りならでは。経年変化で表情が変わっていく面白さ
SEE SEEのアイテムは使用する木材の種類によってできあがりの雰囲気は変わるものの、基本的に色をつけることはせず、木目が活きるよう仕上げられている。経年変化が楽しめるのも特徴だ。
「僕はランタン型とシンプルなビン型を持っているのですが、どちらも仕事のスタイリングで活躍しています。生の花が持つ雰囲気もキャンプサイトには新鮮にうつりますが、それに負けない存在感があります。あと、自転車のサドルとかアイスクリームとか、こんなものまで作っちゃうんだ!って思わせるユニークな発想も好きですね」
ラインナップは日本文化を感じられる所作、「花を活ける・飾る」ことを意識してフラワーベースを中心に展開している。またモチーフにしたものを実寸大で作るというのもブランドのこだわり。唯一無二のアイテムはインテリアのアクセントになること間違いなし。気に入ったモチーフのアイテムに出会ったら迷わず買い!をおすすめする。
鮮やかなカラーの植物と好相性。緑色とのコントラストも◎。
キャンプサイトに生花を飾るのもおしゃれ。一輪でも何本か組み合わせても。
SEE SEE×ROOP 「Lantern Ichirinzashi」
サイズ:W160×H225mm
素材:
カラー:
価格:¥16,800(税別)
問い合わせ:
SEE SEE
SEE SEE
伝統工芸<静岡挽物>を継承する、ホームウエアブランド。
ハンドメイドならではの素材感や個体差を“個性”とし、 伝統技術と革新的デザインを融合させ、暮らしに豊かさを与えるプロダクトを展開している。セレクトショップやアーティストとのコラボレーションも多い。
挽物とは、木材をろくろ(轆轤)や旋盤でひき、円形の器物をつくる技術。その歴史は古く、弥生時代の奈良県唐古遺跡出土の高杯や鉢などの木器には、すでにその使用が認められている。 <静岡挽物>は、江戸時代末期に、銘木商が箱根の挽物師から技術を伝承したのがはじまりとされ、戦後、アメリカ向けに、胡椒挽(こしょうひき) やテーブルの脚、ドアノブ等を輸出をし、その技術の高さから産地として世界的に認知された。現在、機会による大量生産が主流のなり、手挽き技術による生産は減少しつつある。
SEE SEEは、この伝統を後世に伝えるために、技術的な<歴史>に、意匠的<今>を融合させて、<NEXT>を創造していく。
終わりに
SEE SEEのアイテムはすべて静岡挽物の技術を忠実に継承していて、ある一部分だけを彫ったり、穴を開けたりという加工はしないそうです。個人的にはコーヒーのテイクアウトカップ型のブックスタンドが気になります!