1970年代製作  ハントシューズ ~カントリー靴の傑作

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ようやくこの靴の磨きが終わったので掲載させて頂きます。
1970年代製作と思われるウェストンのハントシューズです。狩猟用の靴をモディファイしたので「ハントシューズ」と呼ばれているのだと思います。元々この靴は『677』という型番が与えられていましたが、日本では軍靴のイメージがあったのか、以前は「ドゴール」と呼ばれていました。分厚いダブルソール、フッ素加工したような厚手のカーフでライニングも頑丈です。つま先のスキンステッチ、モカ縫いはライトアングルとドーバーと同じですが、モカ部分が短いので印象がかなり違います。ほぼすべて手縫いと言っていい靴ですが、これでもかという太い麻糸(綱と言ってもいいくらい)で縫われたノルベジェーゼ製法となっています。
踵は小さめの作りで履き口も小さいのですが、つま先周りの余裕はかなりあって、長時間歩いた後の足のむくみにも対応できる靴だと思います。スペインを旅行した時は、この靴のおかげて疲れずに済みました。

タン部分はチャーチのシャノンと同じくアッパーに両側が縫い付けになっていて、小石などの侵入を防いでいます。この靴の履き口周囲のステッチは大変個性的で、遠目でもハントシューズだということがすぐわかります。

90年代前半、この靴は15万少々だったと記憶していますが、現在は418,000円(さらに値上げされ2024年は451,000円❗)というとんでもない値段になっています。私には当然そんな財政的余裕はありませんので、数年前にイーベイでくすぶっていたこの靴を3万ほどで入手しました。レストアにはそれなりに時間がかかりましたが、今となっては楽しい思い出です。

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    mat2193

    2023/01/13 - 編集済み

    ドゴール、懐かしい呼び名です。自分もオークションで古いものを入手して使っています。靴のレストア、深い世界ですね。

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      グリーン参る

      2023/01/13

      「ドゴール」と呼ばれていたのは日本だけだったと思いますが、軍靴だと思われたのでしょうかね。後年ボノーラ製のロブで似たような靴が作られていたように記憶しています。

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    グリーン参る

    2023/02/01

    靴の中に靴があるようなこのステッチのため、私は勝手にハントシューズを「靴界の宝誌和尚」と呼んでいます。

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    shoe cream = chou à la crème ?

    2024/07/01 - 編集済み

    こんばんは。
    このたびは素敵なページへのご招待ありがとうございます。
    あまりの膨大な量のため、感想が遅くなってしまい申し訳ありません。
    取り急ぎ一通り目を通すことができましたので、一番気になる#677の
    レストアについてお伺いしたいのですが、ノルウィージャンのステッチは
    かなり目が詰まっているようにお見受けしますので、おそらくソールには
    手を入れておられないと推察しますが、実際のレストアはインナー部分が
    メインだったのでしょうか?私の#677は25年目にして中敷きのコルクが
    一気に沈み始めたようで完全に羽根が閉じ切ってしまいました。
    厚手の靴下を履くか、インソールを入れるべきか悩ましいところです。
    またお時間のある時にでも、今後の参考にお返事を頂けると嬉しいです。

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      グリーン参る

      2024/07/02

      shoe cream = chou à la crème ?さん
      コメントありがとうございます。また「ムカデの部屋」の靴をご覧頂きありがとうございます。
       
      25年以上677を履いていらっしゃるのは素晴らしいです!この靴はカーフがカサカサに乾燥していましたので、レストアはおもにアッパーに施しました。ウェストンのカーフがフッ素加工したような特殊な革なのはご存知と思いますが、サフィールノワールでゆっくり汚れを落とし、その後サフィールクレム(無色シアバター入り)で磨きました。コバ、ノルウィージャンの麻糸ステッチもサフィールノワールで汚れ落としと油分補給、インナーは今は無きディアマンテで保湿しています。

      この靴のインナーはおっしゃるとおりやや沈みやすいかもしれません。ライニングも柔らかいので、薄目のレザーインソールを敷くのがいいかなと思います。あとは靴の前半部に薄いタンパッドを貼るのも私がよくやる方法です。ご参考になれば幸いです。

      677は重いのに疲れにくい良い靴ですよね。

      今後ともよろしくお願い致します。

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    • 早速のお返事ありがとうございます。
      アッパーのレストアをされたのですね。
      なるほどトゥのアップ部分の画像を拝見いたしますに
      私の#677と遜色ない状態にまでツヤとモチモチ感が出ておられます。

      重い靴は登山靴と同様に靴自体の重さを利用した
      振り子の原理で自然に足が前に出ますので
      長い距離を歩くには向いていると思います。

      (昨今のアッパーに化学繊維を使った軽い登山靴には懐疑的な見解の私です。)

      私はてっきりI島氏のように水を張ったバケツに3日3晩漬け込んで
      皮革の毛細化現象を利用して復元させる荒業を使われたのかと思いましたが(笑)
      ノルウィージャンのような重厚で複雑なソールを持つ靴に
      あのやり方は不向きかもしれません。

      ディアマンテ良いですよね。私も爪の先に灯をともすように、
      残り少ないディアマンテを大切に使っております。
      あの独特の香りがたまらなく好きなのです。

      フィッティングへのアドバイスもありがとうございました。
      私はタンパッドの感触が苦手ですので、
      上手くレザーインソールで調整できればと思っております。

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