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Trio “Whats The Password”
今回は、NDWを最も世のお茶の間に広げたバンドTrioのラスト・アルバム”Whats The Password”をご紹介します。他の多くのNDWバンドやアーティストからは毛嫌いされていたようで、日本で言うと「ライブハウスで頑張っているロックバンドが、芸能人歌手を嫌う」ようなものではないかと想像しますが、とにかく、当時はTrioで独のポップミュージックを知った人も多いのでは? そんなTrioは、いつものメンバーStephan Remmler (Vo, VL-1), Kralle Krawinkel (G, Chorus), Peter Behrens (Drum Kit, Chorus)で最後まで活動していましたが、実は、1984年に共同生活を辞めたのをキッカケにTrioは活動休止して、1年間、各メンバーそれぞれのソロ活動を行っています。1985年初頭にはまた一緒にいることもあったようです。その中で、Peter Behrensは 2 本の長編映画 “1000 Augen”と”André schafft sie alle”に出演していましたが、昔、無免許運転と飲酒運転を繰り返していた為、1984年と1985年に4か月間公開刑務所に入ってました。1984年末にはTrioは再始動を開始して、バンドの長編映画”Drei gegen Drei”の制作と本アルバム”Whats The Password”の制作が同時進行で行われました。Canのスタジオの他、ロンドン、ベルリン、ミュンヘンても録音が行われましたが、先述のようにドラマーのBehrensがこの時期、刑務所に入っていた為、ミュンヘンのドラマーCurt Cressが代役で録音に参加しています(その為、Behrensのクレジットは本作品には表記がありません)。しかしながら、映画もアルバムも評価は低く、3枚のシングルカットもされましたが、やはり商業的成功は収められず、その為、Trioは解散してしまいます。またリーダーのRemmlerは、その理由に、Trioとしてのアイデアが枯渇したと後に語っています。まぁ、そんな結末になってしまったTrioのラスト・スタジオ・アルバムを偲びながら聴いて、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Ready For You” (5:02)は、単純なDrsとシーケンスに、唸るGやRemmlerの潰れたようなVoが入る結構良く演奏されている曲です。ピーと言う音が入るので、何か良くない歌詞が使われているのかも? ★A2 “But I Do Anyhow” (3:58)は、スローなバラード調の曲で、割とマジで歌っているようです。コーラスも決まってますし、雰囲気も「I Love You」で、間奏ではSaxソロもチョロッと入りますし、シンセも大々的に使っています。 ★A3 “Kunstherzschröder” (4:25)は、腹に来るDrsと細かく刻むGに、男女の語り合いのようなVoの掛け合いですが、サビの所はカッコ良いです。後、RemmlerのVoはコンタクトマイクやディレイを掛けたりしてます。なお、女性VoはHumpe姉妹です。 ★A4 “Aids, Die Zeit Der Liebe Ist Vorbei” (5:26)は、太いシンセBの存在感とスローなテンポのDrsから成る曲で、Voは敢えて聴き取りにくくしてあるようです。曲調自体はバラードっぽくて、KralleのGも控えめですが、泣きのGです。 ★B1 “Krach Bum Bäng Zack Rüstung” (3:14)は、強烈なDrsとGに、いつものRemmlerのVoから成る元気一杯のTrio節な曲ですが、女性コーラスも入っています。シーケンサーもBも使ってるみたいですね。 ★B2 “My Sweet Angel” (4:34)は、スローバラードな切ない気持ちにさせられる曲で、これも良く演奏されていました。なお歌詞は英語で、Bも唸ってます。また、この曲にもHumpe姉妹がバックVoで参加しています。 ★B3 “Energi” (4:34)も、女性コーラスから始まり、スローなテンポで、オルガンとGをバックに、レゲエ風のBと女性コーラスも加わり、RemmlerのVoも冴えている曲で、これも良く演奏されていました。 ★B4 “Wahnsinn V2” (3:59)は、珍しくKralleがGが弾きまくる、激し目の曲で、何となく気の抜けたコーラスとシンセのリフが対称的で面白いです。後半、Drsもドラムマシンもマーチ風に叩きまくってます。 ★B5 “Drei Gegen Drei” (3:07)は、シンプルなリズムながらも、Remmler独特のVoが冴えるTrioらしい曲ですが、何かユーモアが足りない気もします。しかし、逆回転を挿入したりと曲としては凝っています。 このアルバムが何故売れなかったのかは、以前のTrioが持っていたユーモアと言うか馬鹿馬鹿しさが後退して、曲としてよりしっとりとしたラブソングっぽい/バラード風の雰囲気にシフトしたからではないかと想像します。なので、曲の完成度としては今までのアルバム収録曲よりも格段に高いのですが、それが、Trioの場合、仇になってしまったようです。しかしながら、音楽的にはアイデアも豊かで、聴き処も多いので、より「普通」の音楽になってはいるので、今、聴けば、中々良いじゃんと思いますよ。それに、ちょっとしたTrioらしいユーモアもちゃんと少し織り込まれていますので、そこを聴いてニヤッとするのもまた楽しと言う感じですね。食わず嫌いではなく、一度は聴いてみても良いのではないでしようか! B1 “Krach Bum Bäng Zack Rüstung” (3:14) https://youtu.be/wLJQ8w9THkM?si=8QsufEqWETpCGKcu [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nWHH_NxrqqSwvMAk742nFvPTYrhFwF7P8&si=WrG8KHg1z-ujrP3b #Trio #WhatsThePassword #Mercury #LastAlbum #ThirdStudioAlbum #MajorGroup #Restart #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PopRock #StephanRemmler #KralleKrawinkel #PeterBehrens #代役 #CurtCress
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Mercury €8.94Dr K2
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Tabea Blumenschein, Frieder Butzmann, Gudrun Gut, Bettina Köster “White Christmas”
もう1ヶ月ちょっとすると、クリスマスですね。と言う訳で、NDW流クリスマス・ソング用シングルを1枚、ご紹介します。まぁ、それにしても、凄いメンツでの作品になっています。先ずは、Die Tödliche DorisのTabea Blumenschein (タベア・ブルーメンシャイン)、ベルリンの異才にしてZensorの秘蔵っ子Frieder Butzmann、それにMania D./Malaria!のメンバーであるGudrun Gut (グドルン・グート)とBettina Köster (ベッティナ・ケスター)が集まって作った、定番クリスマス・ソング「きよしこの夜」と「ホワイト・クリスマス」のカバーです。単発企画モノではありますが、このメンツは当時の緩い関係性と流動性があってこそ、可能になったのでは?と思います。それぞれのバイオグラフィーは以前にも触れてあるので、そちらをご参照下さい。それで、本作品でのメンバーと担当は、Tabea Blumenschein (Vo), Frieder Butzmann (Organ [x], Synth [y]), Gudrun Gut (Drs [x], G [y]), Bettina Köster (Sax)となっています。それでは、異形のクリスマス・ソングを紹介していきましょう。なお、A面はside x, B面はside yと表記されていますので、そのままに表記しておきます。 ★Side x “Stille Nacht Goes Disco” (3:30)では、それぞれの演奏はちゃんととしているのですが、Die Tödiche Doris風の、何ともバラバラなアンサンブルが繰り広げられています。特に、DrsとKbdはチキンと演奏されていますが、プカプカのSaxと調子はずれなVoが最早何とも。最後もまた面白いです。 ★Side y “White Christmas” (2:55)は、最早「楽しいクリスマスの歌」から逸脱した、アヴァンでダークなカバーで、何とか曲にしようと頑張っているSynthとKbdに、「ぷはぁ〜」としたSaxと調子外れなVoとコーラス、そのバックにはNo Wave的なGも僅かに聴取され、リズムレスなアレンジになっています。出だしだけ聴いたら「怪奇大作戦か⁈」とも思ってしまいます。 side xはまだ、ビートもあるので、多少聴き易いのかもしれませんが、それでも「お互いに合わせる」と言う意味でのアンサンブルとしては成立しておらず、何とも気色悪い曲になってしまっています。また、それ以上に、side yは、病いのサンタが「なまはげ」の如く子供のいる家にやって来るみたいな悪夢のような曲になっており、高熱に浮かされた時の気持ちが良く分かります(?)。まぁ、何でこんな企画が成り立ったのかも不明ですが、これ程、破壊的なクリスマス・ソングのカバーは無いでしょう。怖い物見たさのある方、Die Tödliche Dorisファンの方は聴いてみて下さい! x “Stille Nacht Goes Disco” (3:30) https://youtu.be/XTS4N08mI-s?si=9JVaydPRlbO7ICSX y “White Christmas” (2:55) https://youtu.be/1He3X7PQYoM?si=t04weeRZ_qlx8WFD #TabeaBlumenschein #FriederButzmann #GudrunGut #BettinaKöster #WhiteChristmas #StilleNachtGoesDisco #MaratRecords #Zensor #Sublabel #7-inchSingle #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Avant-Garde #ChristmasSong #CoverSong #きよしこの夜 #ホワイトクリスマス #DieTödlicheDoris #ManiaD. #Malaria!
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Marat Records / Zensor €14.25Dr K2
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Abwärts “Mehr Alkohol”
またまた、久々に入手しました、NDWの中でも、骨太なロックと実験性のスパイスを上手く組合せて、特異な立ち位置にいたバンドAbwärts (アブヴェルツ)の1988年リリースの変則ミニアルバム”Mehr Alkohol(メール・アルコホール)”を今回は紹介します。Abwärtsのバイオグラフィーは、以前にも書いていますので、そちらをご参照下さい。この少し前の時期のAbwärtsは、Frank Z.ことFrank Ziegert (B, Vo, Kbd)とPeter Horn (G, B, Back-Vo)しかいなかったようですが、本作品のスタジオ録音では、Zrank Z.とF.M. EinheitとBlank FontanaことHorst Siewertの3人で行われています。Stephanie Lange (Back-Vo)でゲスト参加して、A面2曲を制作しています。一方、同年のライブ音源がB面に収録されているのですが、メンツは、Frank Z.(G, Vo), ELFことMichael Mayer (G), Uwe Bastiansen (G, B), Blank Fontana (Synth), Peter Horn (B, Sax), F.M. Einheit (Drs)となっており、ライブ音源のミックスは、Thomas Sternが行っています。とにかく、初期Abwärtsメンバーで、後にEinstrüzende Neubautenに加入したF.M. Einheitが、本作品に参加しているのが目玉でしょう。このミニアルバムと同時に、本作品のA面2曲だけが7インチ・シングルもリリースされており、主にRough Tradeを通じて、英国にディストリビュートされていたようです。そんな無骨なロックを鳴らすAbwärtsの本作品の各曲をご紹介していきましょう。 ◼️Studio Recordings ★A1 “Mehr Alkohol” (5:17)は、伸び切ったGドローンとダイナミックなDrsのイントロで始まり、やがてメランコリックなGのアルペジオとGのリフと強烈なDrsをバックにFrankが投げやり気味に歌う曲ですが、バックには空間的シンセも流れています。曲構成も素晴らしく、間奏部分も聴き応え充分です。 ★A2 “Alkohol (Albumversion)” (3:25)も、A1と同じGのリフと単調だが説得力のあるDrsをバックに、淡々としたVoが語りかけるように歌っている曲で、その背後にはシンセのドローンが薄っすら流れています。A1の別ヴァージョンですが、コンパクトに纏まっています ◼️Live 1988 ★B1 “White House” (3:42)は、元気一杯な曲で、シンセのリフと単調かつ強靭なDrsとFrankのスカしたようなVoが印象的で、間奏のGソロもイカしてます。 ★B2 “Beim Ersten Mal” (3:19)も、オカズの入らない単調かつ強烈なDrsに引っ張られて、BラインとGがミニマルに奏でられる曲で、Voにも説得力があります。サード・シングル収録曲です。ら ★B3 “Computerstaat” (2:12)は、ファーストシングルの曲で、スタジオ録音よりよりダイナミックな印象です。VoもGやB等と共に盛り上がります。 ★B4 “Beirut, Holiday Inn” (3:25)は、珍しくハイハットで16ビートを刻むDrsを中心に骨太のBとかきみしられるGから成る曲で、Voもやや落ち着いた感じもしますが、間奏の痙攣G及びシンセソロがひたすらカッコ良いです。この曲もサードシングルの表題曲です。 ★B5 “Liz + Richard” (4:15)は、ポルタメントの効いたシンセに重きを置いた曲で、落ち着いたDrsとVoが何ともメランコリックで、怪し気な気持ちにさせてくれます。 まぁ、A面2曲はヴァージョン違いですが、やはり本作品の聴き処は、貴重な1988年のライブ音源でしょう。特に、F.M. Einheitのオカスを殆どの入れないミニマルかつ強烈なビート感が際立ってミックスされているように思います。その猪突猛進な潔いドラミングが、本作品の最大の特徴ですね。特に、B1やB2で際立っています。その愚直何までのビートが全体を引っ張っており、リーダーのFrank Z.もタジタジと言う処でしようか? しかしながら、A面の2曲が詰まらない訳ではなく、特にA1の曲展開の巧みさも見逃してはならないでしょう。独自のポストパンク道を突き進んだAbwärtsの証が本作品には感じ取れます。是非とも皆さんに聴いてほしい一枚です!! B2 “Beim Ersten Mal” (3:19) https://youtu.be/yqZKMArFwnw?si=bgs51cAUmV9VZIV4 [full mini-album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kCopz2ZC6qpnVdmcSjigQ-sNaxPvV3CtQ&si=_sN46hZD_12aMiTs #Abwärts #MehrAlkohol #Normal #Mini-Album #33回転/45回転LP #StudioRecordings #LiveTracks #1988年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PostPunk #Drumming #FrankZ #FrankZiegert #ELF #MichaelMayer #UweBastiansen #BlankFontana #HorstSiewert #PeterHorn #F.M.Einheit
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Post Punk NORMAL ¥1400Dr K2
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Andreas Dorau “Das Telefon Sagt Du“
お久しぶりのAndreas Dorauです。今回は、1995年に独UrbanよりCDで、同じく独ElektroMotorより12インチ・マキシ・シングルとしてリリースされた作品”Das Telefon Sagt Du (ダス・テレフォン・ザクト・ドゥ)”の1997年リリースの仏盤を紹介したいと思います。この頃のAndreas Dorauと言うと、アルバムでは1994年作の”Neu!”と1997年作の”70 Minuten Musik Ungeklärter Herkunft”の間の期間で、クラブ・カルチャーに近づいていた立ち位置の為か、アルバムからのシングルカットやリミックス盤が山のように出ていた時期であるらしいです。本作品もアルバム”Neu!”に収録されている元曲”Das Telefon Sagt Du”のExpanded VersionがA面に、またそのRemix VersionがB面に収められたクラブ仕様の12インチ・マキシ・シングルとなっています。A面には、Andreas Dorauの他、Inga Humpe, Tommi Eckartが参加した曲であり、B面は、Milk Inkによるリミックス曲となっています。因みに、1995年にElektroMotorからのCDシングルには、”Das Telefon Sagt Du”のRadio Version, Video Version, Deep Thought Mixに加えて、”Von Siemens Nach Telefunken”(これは未発表曲?)も収録された別内容/別ジャケになっており、同年のUrbanからのCDシングル”Das Telefon Sagt Du (Remix)”では、元曲”Das Telefon Sagt Du”のPerplexer Remix, Star Wash Remix, Mike Ink. Remix, Sensorama Remix, Daniel Klein Remixの5曲が収められており、また、同年にElektroMotorリリースの12インチ・マキシ・シングル”Das Telefon Sagt Du (Remixe)”には、更に、Original Video Cutも収録されています。何か、こう言うのって、一粒で何度も美味しい感じがしますが、何だか他人の褌で何度も相撲を取るみたいで、個人的には余り好きなやり方/売り方ではないですね。それで、本作品でリミックスを行っているMilk Inkとは、1990年代半ばに結成されたベルギーのダンス・ユニットで、ハウスのプロデューサー3人Regi Penxten, Filip Vandueren, Ivo Donckersから成り、時に、Karine Boelaertsがヴォーカルで加わるらしいです。元々は、Milk Incorporatedと名乗っていましたが、最終的にはMilk Inc.となっており、ベルギーで大人気のグループです。と言う、前知識を頭に入れておいて、本作品の各面を紹介していきましょう。 ★A “Das Telefon Sagt Du (Extended Mix)” (5:30)は、キックの重さとかハイハットの刻みがハウスっぽいんですが、DorauのVoやバックのシンセの軽さは、紛うこと無きDorau節を貫いており、ダンス・ミュージックっぽくありながら、「何となく「永遠の少年」的香りを感じることの出来るポップ・ミュージックでもあります。バックコーラスはInga Humpeでしようか。 ★B “Das Telefon Sagt Ab” (6:21)は、当たり前ですが、全く異なるミックスで、リズミックなシンセのミニマルなリフに、重い四つ打ちキックがバックで、そこにDorauの”Das Telefon Sagt Du”と言うVo部分の英詞のサンプリングが適宜挿入される完全にハウスな曲にリミックスされています。 クラブ事情には疎いので、B面がハウスなのか?テクノなのか?も良く分からないのですが、元曲自体が割とハウス寄りの曲なので、A面はすんなり聴けます。一方、B面は、部屋ではなく、フロアで踊る為の機能的な音楽となっています。YouTubeをディグると色んなリミックス・ヴァージョンが出てくるので、好きな方はどんどん掘ってみて下さい!Go to Floor ! Let’s Dance! A “Das Telefon Sagt Du (Extended Mix)” (5:30) https://youtu.be/jLO5POvZos8?si=TSYhIeG5Ue5NTR4V B “Das Telefon Sagt Ab” (6:21) https://youtu.be/55Ex8gkj31A?si=HBEhNo5DQ_SxnTzM #AndreasDorau #DasTelefonSagtDu #DasTelefonSagtAb #PanicRecords #FrenchLabel #1997年 #Urban #CD #ElektroMotor #12-inchMaxiSingle #GermanLabels #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ElectroPop #Remix #Techno #ClubCulture #ExtendedVersion #MilkInkMix #BelgianDanceGroup #Album #Neu! #SingleCut #IngaHumpe #TommiEckart
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop Panic Records (Urban / ElektroMotor) ¥1700Dr K2
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Die Zwei “U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.!”
名前の通り、Die Zwei (ディー・ツヴァイ; 「ザ・2」の意)と言うデュオを知っていますか? 捻くれ者の多い1980年代初頭のNDW界にあって、最も「謎」な存在である彼等は、Gerd Scheuerpflug (Vo; ゲルド・シャウアフルク), Udo Scheuerpflug (Tenor Vo; ウド・シャウアフルク)から成る(多分、兄弟)デュオです。しかも、彼等のファースト・シングル”Einsamkeit Hat Viele Namen” / “Wir Bleiben Hier”は、ベルリンの捻くれ音楽をリリースしていたZensorから出ており、内容は、オーストリアの人気歌手の曲のカバーを、恐ろしい位、爽やかなアカペラのみと言う「訳が分からない」盤として有名です。今回は、そんな彼等Die Zweiの唯一のアルバム“U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.! (このタイトルとジャケの印象も強烈!)“をご紹介します。しが、今回は、ヘルプメンバーとして、Lisaweta Prokofjewna (Vo), Günther Linke (Boys Vo), Imke Nagel (Flute), Norbert Nagel (Sax, Clarinet), Roland Nörpel (Trombone), Josef Romeis (Trumpet, Trombone, French Horn), Hubert Hohmann (Tuba), Marc Klein (Synth, Programming), Frieder Butzmann (Synth, Vocoder), Evert Fraterman (Drs)が参加しています。特に、異彩Frieder Butzmannが参加して、レーベルも英国Cherry Red Records傘下のEast West Trading Companyから出しているのに、驚かされます。それで、このタイトルとアメフトのジャケですよ!いくら何でも理解不能です。Die Zweiについて調べてみたのですが、彼等のバイオグラフィーは殆ど分かりませんでした(すまん!)。ただ、Neuendettelsau(ノイエンデテルザウ)出身で、1980年代初頭だけ活動していており、本アルバム以前には、先述のファースト・シングルも含めてシングル3枚だけをZensorからリリースしています。と言う訳で、この正体不明のアカペラ兄弟デュオが、多数のコラボレーターと共に作り上げた唯一のアルバム“U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.!“に収録されている各曲を紹介していきたいとおもいます。 ★A1 “The Harry Lime Theme” (2:58)は、美声のメインVoとそのバックに女性コーラスによるリズミカルなアカペラから成る曲で、時に挿入されるダミ声の一言にちょっとした悪意を感じます。最後に子供の声も使っています。 ★A2 “45 Boys On The Beach Part 1” (2:57)は、男女混成によるドゥーワップ風の曲ですが、メインの男性Voには「ロックンロールの息吹」を感じます。声だけなんですが、非常にリズミカルですが、途中には伸びやかなパートもあります。 ★A3 “Skyliner” (2:54)は、A2に連続して、マラカス?のリズムに合わせて、口笛とシンセらしき伴奏にメインの男性の美声Voが想いもたっぷりに歌っている曲で、バックにはコーラスの伴奏も。Voのポルタメントを掛けた歌い方がまた欧州的で伊達です。 ★A4 “45 Boys On The Beach Part 2” (2:29)もBeach Boys風の曲を全て声でやっているようなアカペラ曲で、女性の歓声や甘いメイン男性Voが全くもって米国風です。 ★A5 “Miss Fit” (4:01)も、男性の声のみでリズムを作り、そこにオペラチック?キャバレーな?な女性Voが乗る曲です。ここまで来ると、美声過ぎて、気持ちが悪くなる位です。 ★A6 “We Wait For The Moment / Connecticut” (3:33)は、シンセの発射音と通信音で始まり、バックでシンセのパルス音と男性コーラスがずっと流れており、途中からアメリカンな古き良き時代を想起させられるような曲調になったりして、構成もしっかりしています。 ★B1 “Cha Cha” (4:07)では、ホーン類やDrsの伴奏に合わせて、メインの美声男性Voが想いもたっぷりに歌っています。それを支えるサブVoも良いアクセントになつており、全体の雰囲気はちゃんとチャチャチャのリズムになっており、スパニッシュ風です、 ★B2 “Grapsch!” (5:17)では、シンセのリズムとドラムマシン(?)とファンキーなBに合わせて、男性Voが、トランペットやタンテのスクラッチに合わせてリズミカルかつラップ調に歌っています。細かい細工が施されており、飽きません。この曲がアルバムを代表しているようで、シングルカットもされています。 ★B3 “Wanted: The Tyrell Corp.” (5:38)は、重積する声の倍音のイントロから始まり、ダンサブルなDrsとBと流暢なシンセに、女性コーラスとヴォコーダーVo(サンプリングも含む)との掛け合いから成る曲で、間奏ではスクラッチやPercの導入/ソロ等も聴取できます。 ★B4 “River Of No Return” (3:13)は、シンセの懐かしい調べと女性コーラスの織りなす伴奏に、呟くような男性Voが入ってくる曲で、日本の「夕焼け小焼け」のような歌です。 正直に言って、ロック・リスナーさん全員にお勧め出来るアルバムではないです。特にA面はクラシックのテノール風の男性Voが混成合唱団のようにアカペラで爽やかに歌いまくっており、これはかなり好き嫌いが分かれるだろうなと容易に予想できます。その好き嫌いと言うのは、声質やポルタメントをかけたような歌い方によるものが大きいだろうなとは思います。ただ、ほぼ声だけでここまで、多彩な音楽が出来るのには驚きますし、元々、コアな音楽を扱うことで有名なZensorがDie Zweiの作品をリリースしていたことを考えると、Die Zweiは只者ではないことも容易に理解できます。また、B面でのドラム等のバックの演奏を混えての曲も、何と言うか、テノール歌手が「ラップ調に歌っている」と言うとか「チャチャチャ風に歌っている」と言った怪しさ満点の曲が揃っていますので、よほど許容量が大きいリスナーさんでないと楽しめないかもしれないなとも思えます。しかしながら、曲のアレンジには、所々に細かい「変な」細工が施してあり、彼等が単に「クラシック出身者がロックしてみました」のではなく、そのフェイク感も含めて、自分らの確かな声楽的能力の上で、確信犯的かつ意図的にこのような「ヘンテコ」な音楽を作り出したのは間違い無いと思います。そして、アルバム・タイトルにあるように、一種の「米国的なもの」をワザと取り扱っているコンセプト・アルバムでもあり、そこら辺の目の付け所も、当時のNDW界にあって異質な感じもします(多くのNDWアーティスト/グループは米国音楽を避ける方向に動いていました)。そんなDie Zweiですが、もし興味があって、本作品を受け入れることが出来るリスナーさんは、相当NDW愛が強い人なのだと思います!! 取り敢えず、Let’s Try! A1 “The Harry Lime Theme” (2:58) https://youtu.be/l3oB-OwtRqg?si=HOh1Nub-L9vF6AWd A2 “45 Boys On The Beach Part 1” (2:57) https://youtu.be/AuWGtSPU6Oo?si=ecaZPoaCjwgGn4sZ A3 “Skyliner” (2:54) https://youtu.be/52uRBEum7gs?si=_N4BYEGz-Q3-8Krp A4 “45 Boys On The Beach Part 2” (2:29) https://youtu.be/vP4cnYhqMh8?si=lkuBVxbP1WZXRxhJ B1 “Cha Cha” (4:07) https://youtu.be/WIW4E6YIuco?si=okZNSFH8KdIYhvEN B2 “Grapsch!” (5:17) https://youtu.be/_H8UwR_6fRI?si=2EcBA7CqKUiB732t B3 “Wanted: The Tyrell Corp.” (5:38) https://youtu.be/qC8aO6z3HO0?si=6sM3eXguoX_JiqAI B4 “River Of No Return” (3:13) https://youtu.be/B_y60dTjjj4?si=ItdrOczDjGcpUWE9 #DieZwei #U.S.A.!U.S.A.!U.S.A.! #EastWestTradingCompany #CherryRedRecords #Zensor #FirstAndLastAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #ACappella #TenorVocal #Chorus #AmericanPopMusic #Electro #Leftfield #GerdScheuerpflug #UdoScheuerpflug #Collaborators #LisawetaProkofjewna #GüntherLinke #ImkeNagel #NorbertNagel #RolandNörpel #JosefRomeis #HubertHohmann #MarcKlein #FriederButzmann #EvertFraterman
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Chorus / Leftfield East West Trading Company / Cherry Red Records ¥2000Dr K2
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RotzKotz “Lebensfroh + Farbenfroh”
久しぶりに出会いました。独パンクの源流でありながら、ニューウェーブな音へとチェンジしたバンドRotzKotz (ロッツコッツ)のセカンド・アルバム”Lebensfroh + Farbenfroh (レーベンスフロー+ファルベンフロー; 「陽気でカラフル」の意)”が、今回、独の優良レーベルTapete Recordsから再発され、それを日本のSuezan Studioが少数ながらディストリビュートしてくれていましたので、早速、購入した次第です(小柳さん、いつもお世話になっています。どうも有難うございます)。先ず、今回、参加しているメンバーは、Ernst-August Wehmer (Vo, Synth, Choir, Kling Klong, Rhythmbox), Horst Illing (G, Vo, Choir), Gregor Ludewig (Piano, Choir), Axel Wicke (B, Choir), Markus Joseph (Drs, Choir, Rhythmbox)で、エンジニアは Thomas Rigelが行っています。今回の再発に当たって、彼等のインタビューが載っていますので、一部、要約して掲載していきます。先ず、インタビューのタイトル/結論が凄いです。そこには「トラッシュ・ガレージ・ビートとちょっとしたアヴァンギャルド、それにKurt Schwittersスタイルの歌詞で、このアルバム”Lebensfroh + Farbenfroh”は出来ている!」とあります。そして、彼等は元々は独語歌詞で歌っていたのをメンバーにくそダサいと言われ、それで、ファーストの時は英詞で歌って、UKで録音し、タイトルも”Much Funny (ただし、オリジナル・タイトルは”Vorsicht! Paranoia”です)”としたのですが、今回は独逸語の歌詞で歌うことにしたと。また、サウンドについても、コラージュっぽいのは、当時、メンバーのErnst-August Wehmerがハノーファー芸術学校で学んだダダイストKurt Schwittersの”DiedelDum, DiedelDie”からヒントを得ていたからとも。曲作りも、ピアノかギターかシンセを中心としてリハで作り上げたらしいです。それで、彼等は、Neu!とかLa Düsseldorfとかは全く聴いておらず、寧ろ、米国のRamones, Velvet Underground, Stoogesなんかが好みだったとか(これには、Ernestの姉妹がWolfgang Küsterと結婚したことで、Manfred Schützを介して、BOOTSレコード店で、好きな音楽を掛けまくれたことによる)。ただ、ある日、スタジオに置き忘れてあったKraftwerkのアルバムのテープを爆音で聴いて、椅子からすっ転げ落ちて「ギターでこれが出来ねーかなぁ」とビックリしたそうです。後、良くある大手レコード会社の確執については、真相は、最初はケルンのEMIの為に3〜4曲は既に録音していたのですが、「コマーシャルにやりたくない!」と言う気持ちもあって、迷いに迷って、結局、今回はインディー・レーベルのNo Fun Recordsからリリースすることにしたとしています。またバンド名(RotzKotz「鼻水嘔吐」の意)が如何にもパンク・バンドっぽいことについても、「俺達はパンクじゃない!」と断言しています。多分、インタビューに答えているのは、Horst Illingだと思いますが、クレジットが無いので、Ernst-August Wehmerも含まれているかもしれません。と言う訳で、トラッシュ・ガレージ・ビートとちょっとしたアヴァンギャルド、それにKurt Schwittersスタイルの歌詞で出来ている”Lebensfroh + Farbenfroh”の各曲を紹介していきましよう。 ★A1 “Computamensch” (2:58)は、コソコソ話しのイントロに続いて、ややパンクっぽいリズムと早口Vo、更にシンセのフレージングに、所々でSE的シンセが入ったりして、一味違う曲です。 ★A2 “Was Ich Nicht Weiß” (3:01)は、ちょっと変わったリズムパタンにピアノと言う編成に、切迫感のあるVoが乗る曲で、サビでのちょいスパニッシュ風Gも良いアクセントです。 ★A3 “Deutsche Land...” (4:04)は、ややスローテンポなリズムボックスとDrsにダルなBとシンセで始まりますが、Gのジャラ〜ンからテンポアップして、パンキッシュなビート&シンセのリフによるバックにVoが乗ってきます。コーラスもグー!当時のNDWに取って「独逸」のアイデンティティが如何に重要だかが分かります。 ★A4 “Tante EMI” (4:25)は、シンセ・パンクと言うかニューウェーブな曲ですが、サビでのVoとコーラスの絡みがイカしてます。最後に行くにつけ、具体音のコラージュが挿入されてきます。彼等の名曲です! ★A5 “Müslibrei” (1:52)では、細かいGの刻みからギター・ニューウェーブ風の曲に雪崩れ込みます。曲の短さもパンクらしいですし、間奏に「雑踏音」の挿入もダダ的です。 ★A6 “Schlanke Finger” (2:47)は、メトロノーム風リムショットとシンセのリズムのイントロの後、囁くVoが乗り、BやGがアクセント的に挿入される曲で、それでもサビは何となく爽やかな印象です。 ★A7 “Farbenfroh / Lebensfroh” (4:51)は、メロディアスなアコーディオン風Kbdを中心としたバックの演奏に、思いっ切り歌っているVoが印象的な曲で、途中からピアノを交えたダブ的ミックスも施され、曲展開も良いです。 ★B1 “Es Kehrt Die Zeit” (3:58)は、ちょっとコミカルさもあるシンセを使ったニューウェーブ的な曲ですが、当時のこのような音楽の同時性は全世界的なものでした。それでも、Voにはパンクの影がチラ見されます。 ★B2 “Zeitsignale” (2:49)は、ピアノも使ったアッパーなテンポの曲で、VoもGもパンキッシュです。こう言う所が、彼等の魅力ですね。 ★B3 “0,-“ (2:52)も、煽りのリズムからアップテンポになる曲で、後者はパンクが出自だと感じさせます。しかし、ピアノも途中で出てきたりして、曲展開が結構凝っています。 ★B4 “Schatten Der Vergangenheit” (4:10)は、リリカルでしっとりしたピアノの独奏にVoが乗り、我慢できずにDrsやBが雪崩れ込んできて、結構、ドラマティックな曲に仕上がっています。間奏のGもシンプルで良い感じで、最後のコーラスに感涙します! ★B5 “Äuglein Zu” (2:24)は、リズムボックスとCasioのリフと単音ピアノから成る不気味な雰囲気の曲で、正気のないVoも含めて、まるでThe Residentsのようです。 ★B6 “Kein Problem” (3:58)では、木琴のイントロから、いきなりモロパンクなアップテンポで性急な曲に雪崩れ込んでいきます。間奏の気に触るような音色のシンセもご愛嬌です。 ★B7 “Problem” (3:02)は、スカっぽいノリのダンサブルなリズムのご機嫌な曲で、割と他の曲と違って、ハピネスを感じさせてくれます。ニューウェーブ的なノリではあります。また、間奏はバンジョー(?)とGのソロかな。 ファースト・アルバムを今回、聴き直したのですが、ファーストが全くUKパンクアルバムだとすると、このセカンドはニューウェーブ的でかつアイデア満載のアルバムになっています。特に、ピアノやシンセが入っていることが大きいでしょう。それでも、所々に、パンク的要素が伺える点は高評価ですね (そこら辺は裏ジャケやインナースリーブの写真で想像出来ますね)。特に、A7やB3では、曲が短くでも曲展開が凝っていますし、アルバム全体として聴いていても、モロパンクな曲からピアノを中心としたリリカルな曲或いはB5のような不気味な雰囲気の曲とヴァラエティに富んでいて、アルバム全部としても楽しめます(逆に言うと、それだけ、メンバーの音楽性に違いがあったので、結局、解散に向かってしまったとも言えるのですが、、)。なので、パンクから参加したRotzKotzを体験したい方には楽しめるアルバムだと思いますので、是非聴いてみて下さい!! https://youtu.be/butRSDOxJYI?si=fFGnONNi8HzVQU_n [full album except A3] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mWmp91MxrKeXLOtUGzlhvKhWERA4dsxAQ&si=2goDWMGJlcoto5PV #RotzKotz #Lebensfroh+Farbenfroh #SecondAlbum #TapeteRecords #2024年 #Reissue #NoFunRecords #1981年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #GermanPunk #NewWave #Piano #Synthesizers #Rhythmbox #Ernst-AugustWehmer #HorstIlling #GregorLudewig #AxelWicke #MarkusJoseph
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / New Wave / Punk Tapete Records (No Fun Records) ¥3990Dr K2
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Plaza Hotel “Bewegliche Ziele”
君は、Plaza Hotelを知っていますか? と言う訳で、今回は、12インチ・マキシ・シングル1枚だけを出したスーパーグループPlaza Hotelの再発盤についてご紹介します。メンバーは、初期DAFにギタリストとして在籍、その後Mau Mau を結成したWolfgang Spelmansに、後にSpielmansの妻となるTabu、そしてクラウトロック屈指のバンドCanのドラマーJaki Liebezeitです。特に、SpelmansとLiebezeitの出会いが決定的で、小柳カヲル氏著「クラウトロック大全」によると、Spelmansが、DAFのセカンド・アルバムを録音中に、Liebezeitと偶然出会い、そこで2人は意気投合します。その後、Düsseldorfで2人が再会した時には、既にPlaza Hotelの原型となるアイデアは浮かんでおり、それで、1983年になって、漸くレコードが完成したとのことです。ただ、このPlaza Hotelは、純粋にスタジオ・レコーディングの為のプロジェクトであったのか、ライブも行わず、また一切の続編の作品等も出ていません。そんな新旧のジャーマン・ロック(NDWとクラウトロック)の幻の架け橋である作品です。今回は、その作品を日本のSuezan Studioが再発してくれた作品で、元々のオリジナルは12インチのイエロー盤だったのですが、今回、購入したのは、7インチのマゼンタ盤&ミニCD(同内容)&写真/ポスターと言う豪華アイテムです。それで、再度、参加メンバーを紹介しますと、TabuことClaudia Sennlaub (Vo), Wolfgang Spelmans (Instruments), Jaki Liebezeit (Drs), Werner Lambertz (Drum Programming; A, CD-1)とクレジットされています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A “Bewegliche Ziele” (5:30)は、アフリカンな生Drs/Percとドラムマシンがキッチリ同期し、B-Synthによるシーケンスとシンセ及びGをバックにTabuが軽やかに歌う曲で、3者の演奏が奇跡のトランシーな音楽を作り出しています。 ★B “Schön Sein In Uniform” (4:18)は、Jakiらしい細かいハイハットの刻みが特徴的なDrsと淡いシンセをバックに、Tabuの天使のような澄んだ歌声から成る曲で、極上のトランス・ミュージックです。 ★CD-1 “Bewegliche Ziele” (5:31) ★CD-2 “Schön Sein In Uniform” (4:23) CDの方が音の分離が格段に良く、細かい音やパンが良く分かります。CD-1では、特に細かいシーケンスと生Drs/Percの絡みが凄いです。それにしても、リマスタリングとデジタル化のテクニックは凄いですね。担当されたSuezan StudioのTeam P2の音響技術力に驚きました。 やはり、Jaki LiebezeitとWolfgang Spelmansの組合せは凄かったです。また、特にCDで感じたのですが、これだけ音の分離が良くて、全体的にやや無機質な感触もあるにも関わらず、TabuのVoだけは息遣いが感じられる程、自然体であったことで、彼女の天性の才能を感じました。それにしても、このプロジェクトが一回限りと言うのは、本当に惜しいと思いました。出来れば、オリジナルの12インチで聴きたかったですが、Suezan Studioにはまだ在庫があるようなので、この奇跡の音楽を是非とも皆さん!体験してみて下さい!!お勧めです! A “Bewegliche Ziele” (5:30) https://youtu.be/fM08GVvC4uA?si=xfp0NdYx6qVaMIjm B “Schön Sein In Uniform” (4:18) https://youtu.be/W3VaD0tIv5U?si=SovMX9pOC74Jouh7 [オマケ: A “Bewegliche Ziele (slow)” (6:42)] https://youtu.be/J5nYb6Y7_lE?si=JKOzKUvzg95Tq175 #PlazaHotel #BeweglicheZiele #SchönSeinInUniform #SuezanStudio #2020年 #Reissue #7-inchSingle #MagentaVinyl #LimitedEditions #Remastering #Delphin #1983年 #12-inchMaxiSingle #YellowVinyl #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #ElectroPop #RecordingProject #Can #DAF #MauMau #JakiLiebezeit #WorfgangSpelmans #Tabu #ClaudiaSennlaub #WernerLambertz
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop / Experimental Suezan Studio (Delphin) 2490円Dr K2
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Die Atlantikschwimmer “Tape”
このバンドは、全く前情報も無く、購入しました。まぁ、多分、NDWの末端バンドだろうと想像してはいましたが。 それで、少し調べてみました。バンド名は、Die Atlantikschwimmer (ディー・アトランティクシュヴィムマー;「大西洋の水泳選手」の意)で、独の観光地(世界最大のブリキの兵隊博物館があるプラッセンブルク城で有名らしい)のひとつでもあるバイエルン州Kulmbach (クルムバッハ)で結成されたトリオで、元々は、1982年に結成されていたE601と言うバンドが前身になっています。その時には、Holger Schillingもメンバーで4人組だったとのこと。そして、本作品は元々、タイトル無しのカセット作品と言うかデモテープとしてKassetto Fixから1983年にリリースされていたものを、Static Ageが2020年に37年振りに”Tape”と言うタイトルを付けてレコード再発したと言う経緯があります。1984年には、ZickZackよりセルフ・タイトルのアルバムも出していますが、その時に彼等は過小評価されてしまい、それ以降は、解散したようです。それで、このDie Atlantikschwimmerのメンバーは、Horst Toe (Vo, G, Casio, Perc, Accordion; ホルシュト・トゥエ), Joe Liebschwager (B; ジョー・リーブシユヴァガー), Peter Schultheiß (Drs, Perc; ペーテル・シュルタイス)の3人から成り、その内、ToeとLiebschwagerは、先述のKassette Fixのレーベル運営にも関わっており、またBand-Itと言うカセット・マガジンも作っており、この地域の1980年代初頭のパンク/NDW・シーン(極一部の関係にしか知られていなかったようです)を特集して、紹介しています。バンド名の由来は、同郷の映画監督Herbert Achternbusch (ヘルベルト・アハテルンブッシュ)のアバンギャルド映画にインスパイアされたもので、独らしいメランコリックなメロディとダンサブルなニューウェーブなビートが特徴で、Bandcampの解説によると、The Sound, Wire, The Chameleonsのファンにはお勧めだそうです。調べましたが、余りに細かい独逸語のバイオグラフィーもインサートに入っていたのですが、和訳出来ませんでした(すまん!)。それで、本作品のオリジナルのデモテープ/カセット作品には、「カセットを購入しておきながら、このカセット作品を購入しないのは、あんたの責任だ!」との一文が添えられていました。と言う訳で、Die Atlantikschwimmerの「実質的」ファースト・アルバムである本作品の各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Immerzu” (2:18)は、ダブっぽいディレイを掛けたDrsにゴリゴリでヘビーなBがファンキーに乗り、そこに若々しいVoが入る曲で、割とミニマルな展開です。 ★A2 “Abendvorstellung” (2:35)は、ちょっとロマンチックなGが特徴的な曲で、全体としては、割とバネのある演奏を繰り広げています。リズム隊もGのカッティングも鋭くてカッコ良いです。 ★A3 “Keine Antwort Auf Brennende Fragen” (2:16)は、浮遊感のあるBラインにディレイをかけたVoが乗って始まる曲で、その内、Drsも入ってきて良いアクセントになりますが、Voも次第に叫び出します。 ★A4 “In Feuer Und Wasser Haben Sie Den Tod Gefunden” (2:53)は、危機感のあるGのフレーズで始まり、ノリの良いリズム隊、特にBとの絡みが面白い曲です。やや投げやり気味なVoも良くマッチしています。 ★B1 “Ich Zeige Dir” (3:16)は、ヘビーなキックにアコーディオンとBと言う編成での演奏に、哀愁のVoが乗る曲です。結構、3人ともテクがあるで、安心して聴いていられます。 ★B2 “Warten” (2:38)は、雪崩れ込むDrsロールからのアップテンポの曲で、結構、英国のポスト・パンクを意識しているようで、投げやりなVoとかGのリフとかにそれを感じます。Casioを使っているのは良いアイデアです。 ★B3 “Zimmer 43” (5:13)は、奥行きのあるDrsと独特のメロディを奏でるGに、ゴリゴリで安定感のあるBで始まり、割とインスト曲的な複雑な展開を見せる曲で、途中から押し殺したようなVoが加わってきます。長めの曲ですが、3人の演奏力が高く、緊張感も途切れません。 とにかく、3人の演奏スキルが高く、聴いていても安心したられますし、また各楽器の録音仕方や音色もカチッと決まっていて、とてもデモテープのレベルではないです。立派にアルバムとして良いのではないでしようか? ただ、Wireとかとは違うようにも感じましたが、明らかに英国ポスト・パンクを意識した曲作りや録音をしていると感じました。ただ、惜しいのは、彼等が独の地方都市で納まっていたことでしょうか。もっとベルリンとかデュッセルドルフとかハノーファーとかに進出していれば、もっと高い評価を得たのではないかと思うと、ちょっと残念です。またZickZackのアルバムも過小評価されたのも痛かったですね。しかしながら、ポスト・パンクのファンの方にはきっと良さが分かると思いますよ! B1 “Ich Zeige Dir” (3:16) https://youtu.be/9CZGL3zru9E?si=HnUQ4utrQtXchEWi [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL81792019E38364F9&si=GUWGslANtkwpjlNm [BandcampのURLも貼っておきます] https://staticagemusik.bandcamp.com/album/atlantikschwimmer-kassetto-fix-lp #DieAtlantikschwimmer #Tape #StaticAge #2020年 #Reissue #12-inchMiniAlbum #Untitled #KassettoFix #1983年 #Cassette #DemoTape #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PostPunk #MelancholicMelody #StrongBeat #CassetteMagazine #Band-It #Bavaria #Kulmbach #HorstToe #JoeLiebschwager #PeterSchultheiß
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Static Age (Kasseto Fix) ¥1200Dr K2
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Belfegore “A Dog Is Born”
今回は、Belfegoreのファースト・アルバム”A Dog Is Born”を紹介します。Belfegoreのバイオグラフィーについては前回も書きましたので、そちらをご参照下さい。この作品は、元Der KFC/元NichtsのギタリストMeikel ClausことMichael Clauss (Vo, Instruments)とGiggi Sessenhausen或いはSiggi Sessenhausen ことGeorg Sessenhausen (Drs)の2人で作成されており、作曲に関しては、Claussだけがクレジットされていますが、実は、A1-B1については、SessenhausenとプロデューサーのMichael Grundも作曲に関わっているとのことです。そして、録音は、Digital Studio LambertzとInnermSpace Studioで行われていますが、特にCanのメンバーが関わっている訳ではないようです(その時のエンジニアはRené Tinnerです)。と言う訳で、早速、Belfegoreのファースト・アルバムの各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Mensch Oder Gott” (3:50)は、ギリギリしたイントロから始まり、ギラついたGやヴォイス・シンセによるダークでナルシステックな曲で、ディレイを効かせたドスの効いたVoも「アンチ」的です! ★A2 “Glashaus” (3:50)は、悲し気なGのアルペジオとVoから始まり、連打されるキックによるDrsとBのパートが続き、それらが繰り返す曲で、Voには余り正気が無く、ジャケの「犬」を想起します。 ★A3 “Herz Atmet Echos” (4:13)では、風の中のアフリカン・ドラムの連打からレコード針の擦れる音で一転、ファンク調のダンサブルな曲へと雪崩れ込みます。SE的シンセやファズGが隠し味になっています。 ★A4 “Deutsche Mark'n Bein” (2:24)は、水滴のようなシンセ音から、アップテンポのリズム隊に、ニューウェーブなシンセとエフェクトを掛けたVoが乗る曲で、間奏のPercソロがキモかも? ★A5 “Ridiculous” (4:05)は、かなりスローな曲で、陰鬱なGのアルぺジオとダルなBと正気の無いVoから成る曲で、ハイハット?の逆回転も時々挿入されたりしますが、特に盛り上がりも無く、全体の雰囲気は暗黒世界のようです。 ★B1 “A Dog Is Born” (2:38)では、静寂なSEのイントロの後に、カクカクした不自然なリズムが特徴的な曲が始まり、投げやりなVoもサマになっており、間奏でのメタパー?やシンセで、その緊張が解れます。 ★B2 “WOW !” (2:23)は、PercとDrsに、ファンク色の強いBが特徴的な曲で、後から入る鋭いGのカッティングも聴きものです。Voと言うより、表題通り掛け声のみがリズム楽器として使われていますが 曲は唐突に終わります。 ★B3 “Schattenwelt” (2:06)は、怪しげなイントロの後、No Wave的なスライドGとノリの良さを無視したリズム隊に、Claussが吠えまくっている曲で、ここに来て意外な展開となっています。 ★B4 “Der Fall Des IQ” (2:40)は、犬の鳴き声らしき音の後に、暗黒の中からClaussの叫び声とバックの効果音が微かに聴こえていると思ったら、突然、Drsのフリーインプロ的演奏とパルス音が聴取されます。 ★B5 “Tod Durch Die Blume” (3:51)は、B4に連続して、性急さに煽られまくった曲として始まります。結構、GのカッティングとVoの煽られ具合が凄いです。また間奏の不協和音を使ったGもグーです! 本作品のサウンドでは、まだそれ程、ゴス・ロック志向ではないように思え、寧ろ、ポスト・パンクやNo Waveなんかの色々なアプローチを試しているように感じました。その分、プリミティブさも感じられ、多彩で面白い音楽になっていると思います。特に、B面は色んなアプローチを試していて、そこがまた、本作品の面白い所ですね。しかしながら、恐らく、A1, A2, A5辺りを拡張していったのが、セカンド・アルバムのダークな音に繋がるのではないでしょうか? または、曲のタイトルだけがゴス志向であったのでしょうか? まぁ、まだまだ試行錯誤していて、メンバーも2人しかいない状態なので、ゴシックさが前面に出ておらず、それがまた良い所のようにも感じられます。なので、ゴス・ロック・ファン以外にも聴いて欲しい1枚ですね! https://youtu.be/SsNcrhbTu7Y?si=lqBkavm-GoHA5y7W [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL77A3B7D12E4585E9&si=M0Ifd_IyUxtisY4k #Belfegore #ADogIsBorn #PireFreude #FirstAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PostPunk #NoWave #GothRock #DigitalStudioLambertz #InnerSpaceStudio #Ex-DerKFC #Ex-Nichts #MeikelClauss #MichaelClauss #GiggiSessenhausen #SiggiSessenhausen #GeorgSessenhausen #Composer #MichaelGrund
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Post Punk Pure Freude 4000円Dr K2
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Belfegore “s/t”
またまた、Belfegoreですが、今回は、セルフ・タイトルの彼等のセカンドにしてラスト・アルバムをご紹介します。Belfegoreのバイオグラフィーは大体は前回の12インチ・マキシ・シングルの所で書きましたが、追加で少し書き足したいと思います。 前回は、本アルバムがリリースされた1984年まで書きましたが、その時に、Belfegoreは、英国のバンドU2のThe Unforgettable Fire Tourで、前座を務めています。しかしながら、翌年1985年には、Meikel Claussは、ロックンロールのライフ・スタイルに飽きたと言う理由で、その年にバンドを解散してしまい、彼は医学の道に進みます。Raoul Waltonは、2000年〜2006年の間、独のプログレ・バンドAnyone's Daughterでプレイしています。また、Charlie Terstappenは、独で最も長く活動しているビート・バンドThe Lordsに、1988年に加入しています。そんな中で、Art Of NoiseやPropagandaのMVも手掛けたアカデミー賞受賞経験のある監督Zbigniew Rybczyński (ズビニエフ・リパチェンスキー)が作成した、Belfegoreの最後のシングル”All That I Wanted”のMVは、加のMuchMusicでも放映され、大好評でした。それから随分後の2011年9月30日、ClaussとWaltonとTerstappenは、DüsseldorfのクラブRatingen Hofで、Belfegoreを1回限りの再結成ライブを行っています。また、同年、米国サイコスリラー映画監督David Fincherは、スェーデンの小説家Stieg Larsson (スティーグ・ラーソン)の世界的ベストセラー作品”The Girl with the Dragon Tattoo; 「ドラゴンタトゥーの女」”の映画化の際、Belfegoreのセカンド・アルバム収録曲”All That I Wanted”を使用しています。この曲は、主人公のLisbeth SalanderがMikael Blomkvistのコンピューターをハッキングし、Dirch FrodeとHans-Erik Wennerströmの身元調査を行うシーンのバックの音楽で使用され、物語が進むにつれて、後者は、シリーズのプロットの重要な部分になるそうです(私は未見)。 以上が、Belfegoreの解散後の関係事項なのですが、本作品には、Meikel Claus (Vo, G, Electronics), Raoul Walton (B, Back-Vo), Charly T. CharlesことCharlie Terstappen (Drs, Drum Machine, Back-Vo)が参加しており、また、Conny Plankとバンド自身がプロデュースし、A1, A2, B3-B5に関しては、Conny Plankが直接録音にも携わっています。また、このアルバムでは、今までと異なり、全曲、英語で歌われています。そんなBelfegoreのセカンド・アルバムの各曲をご紹介していきますね。なお、ジャケは国によって2種類あり、日本盤も「シーバード・シーモアン(B1の曲名ですね)」として当時リリースされています。 ★A1 “All That I Wanted” (4:14)では、直線的シーケンスに強靭なリズム隊が絡み、鋭いGと引き攣りながらも艶っぽいVoが乗る曲で、コーラスもバッチリですし、途中のGソロ?もグッときます。名曲ですね! ★A2 “Questions” (5:07)は、ピアノのクラスターからミドルテンポのDrsとB-Synthによるシーケンス及びBから成るリズム隊に、フランジャーを掛けた伸びやかなGと雰囲気たっぷりのVoから成る曲で、最後のGソロも痙攣的な味のあり、グーです! ★A3 “Love” (4:18)では、ドラムマシンとシンセの旋律のイントロから始まり、ドカドカしたリズム隊と引き攣ったVoが特徴的な曲で、間奏のチェーンソーのようなGも聴き物です。 ★A4 “Wake Up With Sirens” (4:20)は、シーケンスとBが絶妙に絡み合い、ウィスパーVoが入ってくる曲で、強烈なDrsや時に弾きまくるフランジャーを掛けたGもカッコ良いです。 ★B1 “Seabird Seamoan” (4:46)は、B-SynthによるシーケンスとミドルテンポのDrsに、シンセのリフから成る曲で、複数のVoが呪文のように繰り返し歌っています。割と淡々とした曲調です。 ★B2 “Don't You Run” (2:52)は、ドカドカしたアップテンポなDrsとB-Synthのシーケンスに、叫び声なんかも混ぜながらClaussが歌う曲で、ちょっとだけAdam & The Antsっぽい曲調です。 ★B3 “Comic With Rats Now” (3:33)は、鋭いGのカッティングと強靭なDrs、それにボトムを支える比較的直線的なBに煽るようなVoが乗る曲ですが、途中のトロピカルなPercソロが時代を感じさせます。 ★B4 “Into The Dungeon” (3:28)は、シンセによる通奏低音に、アップテンポで突っ走るDrsと引き攣ったような/喘ぐようなClaussのVoが乗り、またノイズGのカッティングもカッコ良いです。バックはあくまでもミニマルです。 ★B5 “Belfegore” (4:28)は、前回紹介した12インチ・マキシ・シングルのA面の曲ですが、より淡々としたリズム隊とふんだんに使われているSE的なヴォイス等から、更にダークで落ち込むような曲にアレンジされています。シンセのメロディも拍車を掛けています。 紛らわしいのですが、本作品もセルフ・タイトルなんですが、本作品では、メジャー移籍後の作品で、音の粒までキッチリ録音されていますが、ただ、全体の印象は、それ程、ゴス・ロック的では無いように思います(B5を除いて)。確かに、Gの音色等は、英国ゴス風ポスト・パンクのそれに近いかも知れませんが、Conny Plankが関わってあるせいか、クラウトロックのミニマルさと独逸特有のエレクトロニクスとポストパンクなバンドサウンドが融合したような音楽に仕上がっています。それが良かったかどうかは別として、個人的には、あのおどろおどろしさが希薄な分、このアルバムは楽しめました!先入観を無くして、皆さんも聴いてみましょう!!因みに、この裏ジャケで知ったのですが、BのRaoul WaltonはNDWシーンに珍しく黒人なんですが、Bプレイに「黒っぽさ」は皆無です。 A3 “Love” (4:18) https://youtu.be/FUXiHxMULBU?si=Dx8tNKU7nXc8Yjbh [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nnRlzv2zHvkQzpTehyg2lTJI3It8vJ8mg&si=BBK-StdBd70dWOm7 #Belfegore #self-titled #Elektra #Second&LastAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #GothRock #NewWave #TwoDifferentCoverVersion #Electronics #DrumMachine #AllEnglishLyrics #MeikelClauss #RaoulWalton #CharlyT.Charles #CharlieTerstappen #Produce #ConnyPlank #1985年 #Disbanded #MedicalStudy #Anyone’sDaughter #TheLords #RatingerHof #OnlyOneReunion #LastSingle #AllThatIWanted #MusicVideo #ZbigniewRybczyński #Novel #MillenniumSeries #TheGirlWithTheDragonTattoo #ドラゴンタトゥーの女 #原作 #StiegLarsson #SwedishNovelist #映画化 #監督 #DavidFincher #AmericanDirector #Soundtrack #Hacking
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Goth Rock Elektra records $10.97Dr K2
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Belfegore “s/t”
Belfegore (ベルフェゴーレ)って?と多くの方が首を傾げるかも知れませんね。実は、このBelfegoreは、元祖独パンクバンドDer KFC〜NDWバンドNichtsと経験してきたギタリストのMeikel Clauss (G, Vo; マイケル・クラウス)を中心に1982年に結成されたバンドで、この12インチ・マキシ・シングルでは、他にCharly Terstappen (Drs, Vo; チャーリー・テルシュタパッテン)とWalter Jäger (Kbd, Vo; ヴァルター・イェガー)が参加しているとですが、この作品がリリースされた時には、Walter Jägerは脱退しており、代わりに、Raoul Walton (B, Vo; ラオウル・ヴァルトン)が加入しています。しかしながら、ラベルのAとB1には、Walter Jägerの名前がクレジットされています。 それでは、先ず、Belfegoreのバイオグラフィーを簡単に記しておきます。先述のように、結成は1982年のDüsseldorfにて、元Der KFC/元NichtsのMeikel [Michael] David Claussを中心に、Manfred "Charly" Terstappen (Charly T. Charlesとも表記される)と元Die KruppsのWalter Jägerとで結成されています。バンドは直ぐにNDWブームに乗り、独独自のニューウェーヴ・スタイル、つまり、欧州のパンク・ムーヴメントと同時に英国の初期ゴス・ロックの要素を取り入れたスタイルです。それで、彼等は、ファースト・アルバム”A Dog Is Born”をほぼ自費ま制作で録音し、1983年に独のS.Y.P.H.のレーベルPure Freudeから限られた範囲でリリースしたますが、やがて英国ではRough Tradeがディストリビュートするようになります。それに続いて、同年、本作品であるセルフ・タイトルの12インチ・マキシ・シングルと7インチ・シングル”Belfegore In Roma”もPure Freudeからリリース。その年には、バンドは大手Elektraと契約しますが、そのタイミングで、Walter Jägerが脱退し、代わりにRaoul Waltonが加入します。そうして、セルフ・タイトルのセカンド・アルバムが、Conny Plankのプロデュースで作成され、実験的ニューウェーブな音から、よりハードエッジなサウンドになっています。 今回はここら辺までとしておきます。それで、彼等のフィースト・シングルでもある本作品は、先述のメンバーで作成された訳ですが、元Der KFC/ 元Nichtsのメンバーや元Die Kruppsのメンバーがいたからではない新しいサウンドへの追求が既に始まっているようです。それでは本作品の各曲について、ご紹介していきたいと思います。因みに、録音エンジニアは、John Cafferyです。 ★A “Belfegore” (3:50)では、のっけから不思議な音や犬の吠え声のようなイントロから、ボトムのしっかりした、かなりダークな雰囲気の曲調となり、途中に挿入されるコーラスも如何にもゴシック調で中々様になっています。因みに歌詞は無く、ほぼインスト曲に近いです。 ★B1 “Heilige Kriege” (2:35)は、奇声一発で、アップテンポでタム多用のDrsと刻み続けるGに、ClaussのサマになったVoが乗る曲で、サビのコーラスも、最後もカッコ良いです。 ★B2 “Nacht In Sodom” (2:50)は、B1に連続して始まり、力強いビートに鋭いカッティングのGとコーラスも交えたVoが怪しげに歌うミドルテンポの曲で、中々ダークな雰囲気を醸し出しています。 本作品に収められている3曲、特に、グループ名を冠したA面は、既にドップリとゴス・ロックに入っており、彼等が今まで演ってきたグループの音楽性とは一線を画する音楽性を感じます。まだ、B1なんかは、英国ポスト・パンクの影響を受けたジャングル・ビートな部分も感じますが、全体としては、もうゴスへと傾倒しています。その意味では、完成度は中々高く、好きなリスナーさんは好きではないかな?と思いますので、一度、トライしてみて下さい!また、B2ではスラップ奏法のBが聴こえるのですが、これは、Raoul Waltonが弾いているのかな? https://youtu.be/WJzXNWRnx_s?si=p7v3Zo3RqO8R7Dd1 #Belfegore #self-titled #PureFreude #FirstSingle #12-inchMaxi-Single #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #GothRock #Belfegore #HeiligeKriege #NachtInSodom #UKDistribution #RoughTrade #Ex-DerKFC #Ex-Nichts #MeikelClauss #MichaelDavidClauss #CharlyTerstappen #CharlyT.Charles #Ex-DieKrupps #WalterJäge #Uncredited #RaoulWalton #Engineer #JohnCaffery
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Pure Freude $7.30Dr K2
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Jawoll “Marmelade” c/w “Hey Komm”
これは全然、知らなかったんですが、海外通販のついでに、このバンドのシングルを購入しました。Jawoll (ヤヴォール)は、独カッセルのバンドで、1981年〜1986年の間、活動していました。それで、Jawollのバイオグラフィーについて少し調べてみました。 先述のように、Jawollは、1981年に、カッセル美術学校のKornelia Scholz (Vo; コルネリア・ショルツ)とMatthias Kutschke (Drs; マチアス・クチュケ)によって結成され、そこに、英国人のRobert Foster (G; ロバート・フォスター)、それにJochen Bien (B; ヨッヘン・ビーン)とRichard Herberger(Kbd, G; リヒャルト・ヘルベルガー)でバンドとなります。当初、Robert Fosterは、英語で歌詞を書くことを提案しましたが、同時期のNDWバンドIdealやVoのAnette Humpeに触発されて、独語歌詞に拘ります。Jawollは、コメディアン/ミュージシャン/画家のOtto Waalkes (オットー・ヴァールケス)が運営していたレーベルRüssl Räckords (リュッスル・レコーズ)と契約し、人気音楽番組Bananasに出演したのがきっかけで、注目されるようになります。そうして、1982年に唯一のアルバム”Jawoll”と、そこからのシングル”Taxi”をリリースします。このシングルは独シングル・チャートのトップ20入りし、アルバムも独チャートで14位まで達しています。しかしながら、セカンド・シングルである本作品”Marmelade”はチャートインしなかったこともあり、レーベルをCBSに契約し直して、サード・シングル” Rendezvous (Ich Hab' Dich Seit Langem Nicht Gesehen)”を1983年にリリース。これは独シングルチャートで49位になりますが、余り成功したとは言い難かったようです。それで、1984年に、4枚目のシングル”Ich Möchte Bei Dir Sein”をCBSから出して、同年、最後のシングル” Ich Bin Verrückt Nach Dir”をRCA Victorからリリースしますが、バンドは1986年に解散してしまいます。そして、解散後、Robert Foster (G)は加に渡り、シンガーのJann Ardenと共に活動し、国際的な成功を納めています。一方、Kornelia Scholz (Vo)は、画家になりますが、1991年にレーゲンスブルクにて白血病のため38歳の若さで他界しています。 以上がJawoll の略歴となります。本作品 ”Marmelade”はヒットしなかったのてすが、この時期の独地方シーンのNDWの状況を知ると言う意味で聴いておきたい音楽でもあると思います。それでは、本作品の各曲について紹介していきたいと思います。因みに、唯一のアルバムは中々良質のポップ・ミュージック/ニューウェーブので、その内、ご紹介出来るかもしれません。 ★A “Marmelade” (3:08)は、連打されるホンキートンクな軽快なピアノに乗って、これまたご機嫌なビートとキュートなVoから成る曲で、独逸語では歌っていますが、曲調は結構パブロック風です。途中からのGも結構カッコ良いです。 ★B “Hey Komm” (2:42)は、Gのソリッドなカッティングから小気味良いビートの効いた曲で、Voは勿論キュートなのですが、時々入るオルガンが、英国のTom Robinson Bandっぽいです。 このシングルは当時は、余りウケなかったようですが、今、聴くと、結構カッコ良くてキュートなポップン・ロールなんですがねぇ。これが売れなかったのが、何故だか?良く分からないです。確かにGのカッティング等は英国ポストパンク的ではありますが、全体として、独逸語で歌っている点等で、充分、NDWの範疇で捉えて良いとは思います。まぁ、このシングルの前のシングル”Taxi”が予想外に売れてしまったのが、返って仇になったのかも知れませんね。そう言う意味では、不幸なバンドであったのかもしれませんが、そのポップネスは、このシングルでも充分にありますので、興味のある方は、是非とも聴いてみて下さい! A “Marmelade” (3:08) https://youtu.be/h_0HL_zrq2k?si=mTNo2mwBXkBQbzt1 #Jawoll #Marmelade #HeyKomm #Mercury #SecondSingle #1982年 #Kassel #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Pop’N’Roll #Cute #FemalelVocal #KorneliaScholz #MatthiasKutschke #RobertFoster #JochenBien #RichardHerberger
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop Mercury €4.99Dr K2
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Hubert Kah “Rosemarie“
Hubert Kah (ヒューベルト・カー)は、日本でもそこそこ人気があったNDWバンドみたいで、ヤフ◯クでも多量に中古盤が出回っていますね。ただ、ファースト・アルバムやそこからのシングルは殆ど出回っていません。それで、ついつい、興味を持ってしまって、海外通販のついでに、彼等のファースト・シングル”Rosemarie“を購入しました。と言う訳で、Hubert Kahのバイオグラフィーを簡単に書いておきます。 Hubert Kahは、Tübingen(チュービンゲン)大学で心理学を学んでいたHubert Kemmlerによって結成されたシンセ・ポップ・トリオで、メンバーは、Hubert Kemmler (Vo, Kbd; ヒューベルト・ケムラー), Markus Löhr (G, Kbd; マルクス・レール), Klaus Hirschburger (B; クラウス・ヒルシュブルガー)でした。NDWブームの1982年に、シングル”Rosemarie"(1982年ファースト・シングル)や"Sternenhimmel"(1982年セカンド・シングル)及び"Einmal Nur Mit Erika... (Dieser Welt Entfliehn)"(1983年サード・シングル)やアルバム"Meine Höhepunkte"(1982年ファースト・アルバム)や"Ich Komme"(1982年セカンド・アルバム)で商業的成功を納めます。この時期のKemmlerは、TV番組出演の度に、寝巻きや拘束着で出てきて話題を呼んでいたらしいです。その後、プロデューサー/Kbd奏者のMichael Cretu (ミカエル・クレチュ)と組んで、1984年に、Achim Czech (Drs; アヒム・チェク)を加えて、独語歌詞のアルバム”Goldene Zeiten”を、その後、英詞のアルバム”Tensongs”を1986年に、更にPeter Weihe (G; ペーター・ヴァイへ)も加えて”Sound Of My Heart”を1989年にリリースし、国際的には一部でウケていますが、実は1980年代末に、Kemmlerは鬱病に罹患し、音楽業界から完全に引退しています。その後、1996年に音楽業界に復帰、単独でセルフ・タイトルのアルバムとシングル"C'est La Vie"と"Sailing"をリリースしますが、思った程の成功は納められず、1998年に、シングル"Love Chain"とベスト盤CDをリリース後、再び、鬱病を再発し、治療を受けることになります。そうして、2005年に、Kemmlerは、2度目の復帰をし、Achim Köllner (G, B, Drum Programming; アヒム・ケルナー)の協力の下、新録アルバム”Seelentaucher”とシングル”No Rain”をリリース、独逸語と英語を交えた歌詞の曲を盛り込んでいます。2007年春には、Kemmlerは、Ice King Kiniとして、ミュージカルPrincess Lillifeeで国内ツアーを行ったり、ASPと言うアコースティック・バンドで、LeipzigでのWave-Gotik-Treffen 2007に出演したりしています。その後、2021年3月には、Stuttgartのホテルで、還暦パーティを行っています。 ちょっとバイオグラフィーが長くなりましたが、本作は、トリオであったHubert Kahのファースト・シングルであり、彼等の人気を決定付けたシングルでもあります。メンバーは先述の通りの3人です。それでは、本作品の各面/曲を紹介していきましょう。 ★A “Rosemarie” (3:48)は、ドラムマシンのマシン・ビートにB(-Synth)とGの細かい刻みに、ドリーミーなシンセのメロディとシャレ乙で囁くようなVoが乗る曲で、途中からDrsも入ってきます。1980年代のニューウェーブな音楽だなぁと感心してしまいます。 ★B “Du Bist So Schön” (3:15)は、パンドラムの連打とシンセのイントロからダンサブルな強靭なダンスビートに雪崩れ込み、そこにセクシーに歌うVoが乗る曲で、ファズGやシーケンスが時々挿入され、かなり強いポップネスとカッコ良さを感じます。 どちらの曲もYouTubeで聴くよりも、レコードで聴いた方が、重くてノリの良いダンス・ビートを感じることが出来ますが、個人的には、B面の方が好きです。また、私自身も歌はやはり自国語で歌うべきとの考えがあるので、Kemmlerの悩みは良くは分かりませんが、それは非英語圏に生まれた者の宿命と思っています。それにしても、このシングルは、ニューウェーブかつポップで、大勢のリスナーに受け入れ易かったのは、よ〜く分かりますね。でも、これ以上は掘らないと思いますが、、、流石に「産業ニューウェーブ」なので。とにかく、音色やアレンジ、録音仕方等も上手く、聴かせてくれますので、興味のある方或いは1980年代ニューウェーブに興味のある方は是非! A “Rosemarie” (3:48) https://youtu.be/nNmLXUkSKnw?si=zTHWLiWpJa-rPun9 B “Du Bist So Schön” (3:15) https://youtu.be/Kb65kYqQWgU?si=_u1Qt9fmM3uIRWYK #HubertKah #Rosemarie #DuBistSoSchön #Polydor #FirstSingle #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #SynthPop #Electro #NewWave #HitSong #1982年 #Synthesizers #HubertKemmler #MarkusLöhr #KlausHirschburger
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop Polydor €4.99Dr K2
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The Tanzdiele “Folgt Den Führern!”
このバンドほ、バックボーンは全然知らずに、ちょっと視聴だけして、海外通販のついでに購入しました。なので、ちょっと調べてみました。 バンド名はThe Tanzdiele (ザ・タンツディーレ)で、メンバーは、Piet Klocke (Vo, Flute, G, Drs, Kbd, Synth, Glockenspiel; ピート・クロッケ), Norbert Woike (Kbd, Synth, Sequencer; ノルベルト・ヴォイケ), Achim Grebien (Drs; アヒム・グレビーン)から成り、今回は、ゲストとしてHarry (Electricity)が参加していると書いてありますが、どうもこれはNorbert Wolkeのことのようです。彼等は、The Tanzdieleとしては、本作品である”Folgt Den Führern! (フォルクト・デン・フューレルン;「リーダーに続け!」の意)“ともう1枚のシングルしか出していません。なので、アルバムとしては本作品が唯一です。それで、元々は、The Tanzdieleは、ミュージシャン/キャバレー・アーティスト/ 作家/俳優をやっていたPiet Klocke(ピート・クロッケ)が始めたバンドで、彼は、高校卒業後、ボン大学で最初、心理学と教育学を学び、その後、独逸語と哲学を学んでいましたが、大学を中退。その後、蘭アムステルダムに移り、そこで、色んなファンクやソウル・バンドのギタリストとして2年間演奏しています。再び、独エッセンへ戻ってきて、1980年〜1982年までPiet Klockeはエッセン市立劇場で俳優として働いています。そうして、彼は前衛音楽劇場Kamikaze Orkester(カミカゼ・オルケスター)を始めます。1980年になると、彼はNDWバンドGesundes Volksempfinden (ゲズンデス・フォルクゼムフィンデン)とEBM (Electronic Body Music)バンド The Tanzdieleを始め、前者は6人組でセルフ・タイトルのアルバムを1981年に出して終わっており、この時はパンクとジャズとNDWが混ざった音楽をやっていたようです(今後、紹介予定)。後者は、前述の3人から成り、DAFのようなダンサブルな音楽を演奏したとのこと。当時は、Einstrüzende NeubaudenやDie Kruppsとも対バンしており、1981年に本作品”Folgt Den Führern!“をリリースしています。その後、バンド名をDie Tanzdieleと独逸語風(ややこしい!)に改名し、翌年、ライブ・アルバム”Live”をリリースしていますが、ここではスラップ奏法のBが弾きまくっており、もう別バンドのようです。その後、1983年には、有名な音楽TV番組Rockpalastで、Piet Klocke & Die Sklaven Der Liebe(ピート・クロッケ・ウント・ディー・スクラフェン・デァ・リーベ)として出演しており、その時期にリリースしたセカンド・ソロ・アルバムは”Sklaven Der Liebe (愛の奴隷)”と題されています。その後、Piet Klockeは、ソロ音楽活動を開始し、2006年のアルバム”Luder”で、リリースは止まっています。と調べましたが、ここまでです(すまん!)。 と言う訳で、The Tanzdiele名義での唯一の作品”Folgt Den Führern!”の各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Musik, Musik, Musik” (2:30)は、不思議なシーケンスとミニマルなDrsの簡素なバックに、正気の無い呪文のようなVoが乗る曲で、所々でピコったシンセやGがSE的に挿入されます。また、歌詞の語呂がやたら良いです。 ★A2 “Strandgut” (4:00)は、Drsと叫び声一発のイントロから、ノリの良いビートとシーケンスにシンセのリフがバックを務め、そこに元気一杯なVo/コーラスが乗る曲ですが、所々で挿入されるくすぐったいシンセ音が効いてます。 ★A3 “Hatz For The Schatz” (3:00)では、ビープ音のようなB-SynthにパンキッシュなDrsとGのリフが乗りますが、サビでは、一旦落ち着いて、キュートなシンセのリフと奥でノイジーなGも聴取できます。 ★A4 “Candy” (3:00)も、太いB-Synthによるシーケンスとノリの良いDrsに合わせて、ハミング〜気怠げな独/英混合歌詞のVoとキュートでイタズラっぽいシンセが乗る曲で、時にサーフっぽいGがちょっと入ります。 ★A5 “Die Lachenden Idioten” (3:07)は、精密機械のようなB-Synthのミニマル・シーケンスに合わせて、鉄琴と語るようなVoと打撃のようなDrsから成る曲で、サビではシンセのリフも挿入され、最後はDrsとシンセ以外がフェイドアウトしていきます。 ★B1 “Folgt Den Führern!” (2:42)は、始まりはDAFっぽいですが、力強いDrsにシーケンス(B-Synthとシンセ)と単元止めのVoが乗る曲ですが、VoはちょっとだけGabiっぽい部分もあります。 ★B2 “Die Kleinen Falschen Dinger” (2:15)は、ノリの良いDrsと捻れたようなシーケンスにVoが乗る曲ですが、上物シンセや時々Gも挿入されてきます。後半のシンセの永遠連打が特徴的です。 ★B3 “Wehe! Wehe! Wehe!” (4:24)も、強靭なDrsのビートに、シーケンスにピコったシンセと語呂合わせのような言葉遊び的Voから成る曲で、間奏の上物シンセの音色も良いですが、段々と混沌の中へと埋没していきます。 ★B4 “Kinder Von Stufe 10” (3:13)は、モコモコしたB-SynthのシーケンスとDrsの絡みに、控えめなGのメロディと単元止めのようなVoが乗る曲で、後半にはGは激しくなり、シンセのシグナル音も聴こえてきます。 ★B5 “Kleine Schlange” (1:30)は、マシンガンのようなB-SynthのシーケンスとアップテンポなDrsに、早口の独逸語Voとキッチュなシンセが色付けする曲で、曲調は「テクノポップmeets パンク」です。 ★B6 “Frage & Handbrot” (2:23)は、重いビートにザクザクしたGと重目のB-Synthが絡む曲で、Voも段々と声を荒げていきます。リズムに何ともバネがあるのが特徴です。 全体を通して聴いた感想は、DAFとかEBMとかと言うよりも、寧ろ、前述の「テクノポップ meets パンク」な印象が強くて、それ程、汗とか筋肉とかは感じませんでした。なので、強いて言うならば、初期P-Model(ファースト〜セカンド・アルバム)をミニマルにして、少しだけパンク要素を減らした感じと言えば良いでしょうか? 勿論、オルガンも使っていませんし、初期P-Modelに特徴的な「ピコンッ」って言うシンセの音色がある訳ではないのですが、何故かあの時代のテクノ・ポップの雰囲気を感じてしまいます。それと、機材とかの関係(Bがおらず、シーケンサーを使っていたこと等)@で、曲はミニマルなBラインが多く、その為、単調に感じるかも知れませんが、それでもアレンジが上手く、ちゃんとメリハリが付いているのも大したものです。そう言う意味で、当時のエレ・ポップ系NDWとは何か違うシンセの使い方(暴発したような電子音のイメージ)をしていると思います。個人的には初期P-Modelは好きなので、このアルバムもお気に入りです!そこら辺の空気感が好きな方にはお勧めします(決して、Dieの方は買わないように!)!! B5 “Kleine Schlange” (1:30) https://youtu.be/E4woyYCDT4E?si=ZW6RQPP4QURbA7UH [partially album] https://youtube.com/playlist?list=PLLvdvodyj3fJV2UcG6EdF2LJ7ziFd90tM&si=f1UNEJ4TPAqa0x14 #TheTanzdiele #FolgtDenFührern! #GeeBeeDee #First&LastAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ElectroPop #Synthesizers #Sequencer #Minimal #TechnoPopMeetsPunk #PietKlocke #NorbertWoike #AchimGrebien #Guest #Harry
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop GeeBeeDee €11.99Dr K2
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Zero Zero “s/t”
前回、ご紹介しましたミュンヘンのNDWバンドZero Zeroのファースト・アルバムを入手しましたので、今回は、そのセルフ・タイトルのファースト・アルバムをご紹介します。なお、Zero Zeroのバイオグラフィーについては、前回の記述をご参考にして下さい。今回の参加メンバーは、Gerald Klepka (Vo, G, Synth), Jens Poenitsch (Vo, B, Synth), Peter Würden (Drs), Mike Patzelt (Sax)の4人ですが、この時期は、多分、KlepkaとPoenitschの2人プラスWürdenが基本でPatzeltはヘルプで参加だと思います (裏ジャケには3人の演奏写真が載っていますが、インサートには2人しか載っていません)。また、B5はセカンド・アルバムにも収録されています。それでは、Zero Zeroのファースト・アルバムの各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Inneneinrichtung” (3:05)は、ミドルテンポの地味目で不気味な雰囲気の曲ですが、サビになってSaxが入ってくると一気に盛り上がります。ドラムマシンも使っているのかな?コーラスもバッチリです。 ★A2 “Dein Tier” (1:34)は、鋭いカッティングのGに導かれたアップテンポのパンクっぽい曲ですが、シルブルながらもサビの変拍子風の譜割がカッコ良いです。終わり方もグー! ★A3 “Kleenex” (2:09)も、アップテンポのパンキッシュな曲と思いきや、Voパートが独特のストップ&ゴーになっている面白い曲です。Saxも入っているのかな?インスト部分はBもGもカッコ良いです。 ★A4 “Accident” (3:20)では、最初、ジワジワ刻むBとGに合わせてVoとアクセント的シンセが乗りますが、その内に、Drs?ドラムマシン?と共に狂ったようなシンセ・ソロも加わってきます。 ★A5 “Comix” (1:40)は、Gのカッティングも素晴らしいパンク・ソングで、あっと言う間に終わりますが、隠し味にシンセなんかも使っている所に痺れます。 ★A6 “Strichjungs” (2:45)では、大人し目のイントロの後に、Saxも交えたパンク風の曲が始まり、何処か男性版X-Ray Spexを感じます。 ★A7 “G.A.U.” (2:37)は、ドカドカしたジャングルビートを叩き出すDrsとGのカッティングとSaxが特徴的はつんのめるようなアップテンポのパンキッシュな曲で、その性急感が堪りません! ★B1 “Tu Es Jetzt” (2:07)は、怪し気なBから、やはりつんのめるアップテンポのビートと吹きまくるSaxが特徴的な曲で、Gのカッティングも凄いです。 ★B2 “Zwei Gedanken” (2:23)では、軽やかなシンセのリズムとBに乗って、Voが始まり、そしてDrsも始まりますが、やがてテンポアップしてきます。最後のVoの掛け合いもグー! ★B3 “King Kong Souvenir” (2:59)は、ゴリゴリのBから始まるアップテンポのパンキッシュな曲で、舌を噛みそうな勢いのVo、そして後半のSaxソロやシンセのアクセント、Voの掛け合いもイカしてます! ★B4 “Telefon-Ich Komme Schon” (2:48)も、鋭いGのカッティングとSaxが特徴の性急な曲で、Voの語呂も良いです。間奏のBとGの絡みも最高です! ★B5 “Freizeituniform” (3:26)は、スパニッシュ風のカッティングのGに重いBとスネアに、どこ吹く風〜怒ってるような表情豊かなVoから成る曲で、間奏から入るSaxも泣かせます。セカンド収録曲とは異なる大胆なアレンジです。 ★B6 “Onkel Aus Siberia” (1:30)は、正しくアップテンポのパンク・ソングなんですが、サビでのシンセが他の同時代のパンクとの差異化に成功しています。 先に、セカンド・アルバムを聴いて、ご紹介していたので、Zero Zeroのファースト・アルバムである本作品を聴いた時の率直な感想は、「かなり切羽詰まったようなパンク・ソングで、セカンドのキラキラなニューウェーブとは全然違うなぁ」と言うものです。しかしながら、これらの曲調(パンクロック)が彼等の原点であったことを知ることが出来て、個人的には、何だか嬉しくなってしまいました。また、単にパンク・サウンドで始終することなく、Saxを大々的入れたり、アップテンポのビートの中にもGのカッティングやBのリフに工夫したりしている所も得点が高いです。そんなZero Zeroも私は大好きです! B4 “Telefon-Ich Komme Schon” (2:48) https://youtu.be/w545dSoDmVc?si=b1Zvq7ld5wTmhqj8 [full album + others] https://youtube.com/playlist?list=PLdoVq9K_Oy-Pf7GkNdV59gdIRrQbas2Zu&si=QTbKCZQU4ZQ6wpc4 #ZeroZero #self-titled #NullRecords #FirstAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #München #Punk #NewWave #Sax #Synthesizers #GeraldKlepka #JensPoenitsch #PeterWürden #Guest #MikePatzelt
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Punk Null Records €19.99Dr K2