『地球光 / アーサー・C・クラーク』《ハヤカワSFシリーズ》

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早川書房より、1969年に発行された『地球光』EARTHLIGHTです。アーサー・C・クラーク/著、中桐雅夫/訳で、福島正実/解説です。
『2001年宇宙の旅』などの原作でも知られ、ハードSF(科学的正確さにこだわったSF)の代表的な作家とされるアーサー・C・クラーク[1917-2008]先生による中編SFです。
“遥かな地球の海と雲から降り注ぐ光が、すべてを青と緑の色合いをおびた熱気の無い輝きに見せていた。冷たい月の夜だった。地球から着陸したばかりのサドラーを乗せたモノレールは、時速五百キロで失踪し、口径10メートルの望遠鏡を備える月基地の天文台へと進んでいた。彼はいま、宇宙時代の人類が初めて戦争の恐怖に直面していることを意識していた。
火星、金星及び大惑星の衛星群から成る惑星連合――彼らはかつて夢と冒険を求めて地球を飛びたった人類の子孫なのだが――と地球政府の間で開催された惑星資源会議は、すでに決裂に終わっていた。そして地球からの重金属の配当を不当とする惑星連合は、ついに武力に訴えることを決意したのである。この重大な事態にあたって、地球政府は憂慮すべき問題を抱えていた。重要な科学知識のいっさいが、地球から月へ、月から他の惑星へと漏れひろがっていたのだった。月基地の天文台の職員の中に、スパイが潜んでいることに疑いはなかった。サドラーの使命は、この機密漏洩を突き止め、人類同士による惑星間戦争を阻止することにあった!(以下略)”
ハードSF志向であるからといって、クラーク先生の作品には空想上の宇宙人がまったく登場しないというわけでもなく、他のSF作家の創作に比べても、エンタテインメント性は十分にあると思います。『2001年宇宙の旅』シリーズや『渇きの海』『白鹿亭綺譚』『海底牧場』『楽園の泉』等それぞれSF的な設定を十分に生かして、娯楽小説となっています。
なお、この『地球光』には、映画『2001年宇宙の旅』の真空曝露した状態での宇宙ポッドから母船への帰還の元アイデアとなったであろうエピソード描写があります。
#宇宙テーマSF #アーサー・C・クラーク #中桐雅夫 #ハヤカワSFシリーズ
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『星を継ぐもの』三部作《創元推理文庫》
創元推理文庫より1980年に発行された『星を継ぐもの』です。ジェイムズ・P・ホーガン/著、池央耿/訳、続編である『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』と合わせて、三部作と言われています。文庫版308頁、321頁、469頁。(カバーイラストは加藤直之氏による) “月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行われた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、五万年以上前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見されたが…。” 太陽系内への進出を開始した地球人の前に現れた、数万年に及ぶ人類の起源と太陽系の危機の謎を、鮮やかに描き出して、SF作家ジェイムズ・P・ホーガン(1941-2010)の代表作となった作品です。 『星を継ぐもの』三部作では「ファーストコンタクト」や「超光速航法」「星系規模の災害」「宇宙戦争」など、宇宙SFの主要なテーマが描かれています。 2011年から2012年にかけて、日本の漫画家・星野之宣の手でこの『星を継ぐもの』三部作がコミック化されました。(画像4,5)こちらでは三部作の連続性が強調され、独自の解釈やエピソードが付け加えられています。 なお、『星を継ぐもの』三部作には、『内なる宇宙』という続編もありますが、基本同じ登場人物や設定を使った、別の物語という印象でした。 (2023/2/6追記)画像6は米本国版ペーパーバック『星を継ぐもの』。アートの出来が桁違いです。 #宇宙SF #ハードSF #ジェイムズ・P・ホーガン #池央耿 #創元推理文庫
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