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『フェッセンデンの宇宙 / E・ハミルトン』《ハヤカワSFシリーズ》
早川書房より、1966年に発行された『フェッセンデンの宇宙』です。エドモンド・ハミルトン/著です。どちらかというとスペースオペラ『キャプテンフューチャー』シリーズで知られる、エドモンド・ハミルトンの短編集です。この項では専ら表題作を扱います。
“天文学者だった私は、ある日数年ぶりに、友人の天文学者フェッセンデンに呼び出される。フェッセンデンは、実験室に人工の宇宙を創造したというのだ。宇宙をただ観測するのに飽き足らなくなった彼は、自分で自由に操作できる宇宙を作り上げようと考え、二枚の巨大な金属板の間に重力を遮断した空間を発生させ、そこに縮小した原子のガスを満たしたのだ。次第に凝縮したガスが無数の天体を生み、小さな宇宙が誕生した。
半信半疑だった私だったが、実際に“フェッセンデンの宇宙”を見せられると信じざるを得なかった。ミニチュアの宇宙を公転するミニチュアの恒星とその周りをめぐるミニチュアの惑星。無数の惑星の上には様々な知的生命が芽生えていた。その豊潤さ、美しさに私は魅了された。
しかしそうした生命を単なる実験材料だと考えるフェッセンデンは、故意に惑星規模の災害を引き起こし、興味本位に大殺戮を繰り返す。そして、それをなす術も無く見守っていた私は……。”
神ではない、知性を持つ存在によって創造された人工的な「宇宙」というアイデアで、多くのSFに影響を与えた短編作品です。藤子・F・不二雄「創世日記」、光瀬龍「百億の昼と千億の夜」などが思い浮かびますし、現実世界の雛型がどこかに存在しているみたいな話はホラー話にもあります。
最近流行りの、異世界ものやRPG世界への転生話なども知らずに影響を受けている気がします。
#宇宙SF #エドモンド・ハミルトン #小尾芙佐 #ハヤカワSFシリーズ