番外編1 CBS・ソニー 1968〜1969年

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CBS・ソニーレコード(株)は1968年3月に発足しました。アメリカCBSと日本のソニーとの合弁で、それぞれ50%ずつの出資となっていました。
背景にあったのが、日本の「資本の自由化」ですが、ここはコロムビアのところでも触れました。

https://muuseo.com/chirolin_band/items/64

この「資本の自由化」は、レコード業界の内部にとっては衝撃的な出来事だったようです。(外から見ればビジネス・チャンス)
日本のレコード業界は「特約店制度」によってメーカーと販売店が持ちつ持たれつの関係を築き上げており、部外者の進出を阻む閉鎖的な構造になっていました。流通価格は定価の7掛でほぼ硬直化しており、加えて「再販制度」(簡単に言うと、店頭価格は定価販売で値引を認めない)によって小売店は3割の粗利が保証されると同時に、通常10%程度の定期返品枠が与えられていました。(クリアランス・セールが出来ないため)
業界にとって最大の危惧は「こうした既得権益が守られなくなるのでは?」ということだったのでしょう。

このCBS・ソニーが口火を切り、その後も「日本フォノグラム」「東芝EMI」「ワーナー・パイオニア」「RVC」等々、新しいスタイルの会社が続々誕生することになります。が、「再販制度」のようにまるで進展していないものもあります。

CBS・ソニーとしての第1会新譜は、1968.8.21 に発売されました。画像の1と2は、レコード・マンスリーの68年9月号に掲載された初めての広告です。
レコード協会の加盟が 1968.10.1 であり、第1回新譜からマンスリーのリストにも載っています。

画像「3」は68年10月号の広告です。

画像「4」は最初期のシングル盤のレーベルですが、センター孔がLPと同じサイズになっており、「38.2mmのドーナツに変更されたい方は特約店迄お申し出ください。」
といったコメントが裏ジャケットに印刷されていました。一般ユーザーはともかく、ジュークボックスへの納品などに際してこれは具合が悪かったはずで、その後ビクター方式(手裏剣型)になったりしていましたが、結局標準仕様に落ち着きます。

画像「5」はミュージック・ガイド誌 68年9月号に掲載された初回新譜のレビューです。(朝妻一郎氏)

以下、
画像「6」レコード・マンスリー 68年11月号広告
画像「7」レコード・マンスリー 69年8月号広告
画像「8」レコード・マンスリー 69年11月号広告
です。

月報が見当たらないため、別資料による番外編としました。

#アナログレコード
#レコード資料

月報 コロムビア 1967〜1969年
1969年5月が2冊ありますが、従来型の5月新譜版(4月発売)と5月発売版ということです。 国内ではグループ・サウンズ(GS)が大流行していた時代ですが、コロムビアのトップ・スターはジャッキー吉川とブルー・コメッツでしょう。キャリアの長いバンドで、ミュージシャンとしての保有能力が高かったと思います(譜面が読める、きちんと器楽演奏が出来る、作曲・編曲が出来る等)。当時私がよく行っていたレコード店に、三原綱木さんのご兄弟がいらっしゃって、「似てる」と話題になっていたものです。(画像は1967年9月号の広告) この頃45回転盤LPが各社から発売され、話題になっていました。収録時間は短くても良い音で聞きたい、というオーディオ志向の強い商品でした。コロムビアからも「サウンド・ラボラトリー・シリーズ」が発売されました。(1968年3月号) 1968年6月号では、バーンスタインによるマーラー交響曲全集の発売が告知されています。こういったセット企画が出て来る理由のひとつに、日本コロムビアと米CBSとの契約切れ問題があったと思います。 背景にあるのが「資本の自由化」です。レコード会社も外資比率が50%まで認められることとなり、米CBSはこれを機に合弁会社を作りたがっていたのですが、日本コロムビアは(と言うか、日本のレコード会社はどこも)腰が重かったと言います。その時手を上げたのがソニーだったというわけで、CBS・ソニーレコード(株)が誕生することになります。 映画「卒業」のサントラLP(サイモンとガーファンクル)は1968年6月30日臨発となっていますが、これがコロムビアから発売されたCBS盤の最後になります。 因みにCBS・ソニーの設立は68年3月11日、第1回新譜は68年8月21日発売でした。 1968年11月号ではブッダ・レーベルのLP第一弾(1910フルーツガム・カンパニー)が紹介されています。このブッダからはオハイオ・エクスプレス,レモン・パイパーズ,インプレッションズ,メラニー等が登場し、CBSを失った直後の日本コロムビアの洋楽ポップス部門にとって、重要なレーベルだったと思います。 タクト・ジャズ・シリーズも貴重なものでした。録音機会に恵まれない国内のジャズ・ミュージシャンが懸命にプレイしたのだろうと思います。(68年12月号) デノン・レーベルからデビューしたベッツイ&クリス、このデビュー曲もそうですが(1969年10月1日発売)、北山修/加藤和彦のコンビによる優れた楽曲にサポートされていました。 #アナログレコード #レコード資料
https://muuseo.com/chirolin_band/items/64

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