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メガロドンの歯化石(国産?)
【推定年代】 新生代新第三紀中新世〜鮮新世(約2500〜400万年前) 【産地など】 産地不詳(国産?) 【解説】 メガロドン(Otodus megalodon,ムカシオオホホジロザメ)の、2/3程度残存した歯化石。最長辺9cm、重量126g。 歯根部は割れており、歯冠のセレーションも摩耗気味だが、紹介済みのUSA産や宮城県産程ではないにしろ全体的に状態良く形態保存されている。 歯根部に現生と思われる貝類や藻類付着の痕跡が多量に残っており、間違いなく海中採取品である。 産地不明だが、この特徴的な状態や入手経緯(東北の業者経由)から国産メガロドン(特に房総半島にある鮮新世の海岸露頭産)の可能性が高いと見ている。
化石 新生代Shimomotoyama3
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Phacops sp.
【推定年代】 古生代デボン紀 【産地など】 モロッコ 【解説】 不明種と言う事で(激安で)入手したエンロール状態のモロッコ産三葉虫のファコプス。 このエンロール状態の三葉虫というのは結構個人的には好みで、種にもよるがごつい団子虫という印象を受ける。 しかしこの分野は全く詳しくないのだが、市場で非常に良く見かけるタイプのファコプスだと思われる。 (激安にしては)保存が良く剖出が丁寧(サンドブラスター仕上げ?)ではないかと思うが、安い理由として最普通種?である事に加え、サイズが小さいのと頭鞍・尾板の外殻剝げがある事と思われる。 しかし複眼付きで剖出が丁寧な三葉虫を一度入手してみたかったので、私としては満足である。 小さいと言ってもパチンコ玉よりは一回り大きく、剖出が良いので存在感がある。 これを参考に少しずつ良いものを収集したいと思っている。
化石 デボン紀Shimomotoyama3
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Dactylioceras sp.
【推定年代】 中生代ジュラ紀後期 【産地など】 イングランド・ノースヨークシャー・ウィットビー 【解説】 ジュラ紀後期の示準化石。 ペリスフィンクテスと並ぶ典型的なジュラ紀アンモナイト。 鉄分を含む黒色で立体的によくコンクリーション保存された形態と、部分的にパイライトに置換されている点は、この産地に典型的なもの。 本種は母岩付きのものが多く、この様な完全剖出個体はあまり無い。 両面とも臍中心まで巻きがしっかり残っている。 ジュラ紀アンモナイトの中では、個人的には最もかっこいいと思う種類。
化石 ジュラ紀Shimomotoyama3
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Otodus obliquusの歯化石
【推定年代】 新生代古第三紀始新世(約5000万年前) 【産地など】 モロッコ 【解説】 メガロドン等が分類されるネズミザメ目絶滅属Otodusのうち、原始的な種類となるOtodus obliquusの歯化石。 本種の歯化石は小型個体のものが多く出回っているが、これは長辺6cm近くで重量も約21gという比較的大物。 Otodusの仲間は始新世の時点で既に大型化の傾向にあったらしく、メガロドンに匹敵する巨大個体もあるという。 メガロドンやホホジロザメの歯冠と違ってセレーションが全く存在せず、側歯が発達している。 どちらかというとアオザメ類の歯に類似している印象を受ける。 全体的に形態の保存が良いが、歯冠先端の欠けと右側歯の歯根部のリペアらしきものが気になる。 なお現在のところ東京サイエンスブランドの化石はこれしか所有がない。 中々良い化石の割に良心的な価格だったため、東急ハンズで衝動買いしたのだが、化石を買う人が少ないのか店の人が扱いに慣れていない感じが印象に残った。
化石 新生代Shimomotoyama3
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Asaphus (Neoasaphus) kowalewskii
【推定年代】 古生代オルドビス紀中期(約4億6000万年前) 【産地など】 ロシア連邦サンクトペテルブルク 【解説】 言わずと知れた有名種の三葉虫。今更私が解説するまでもないが、多くの陸棲貝類の様に飛び出した目が特徴的なアサフス目の代表と言える種である。 捕食者から逃れるため泥の中に潜って目だけを出していた生態だったと考えられており、現生生物でも似たような行動をとるものは居るが、その理由でここまで眼軸を発達させた節足動物は地球史上本種だけではないだろうか。 初めて手に入れた三葉虫。 以前から存在は知っていたが、ミューゼオの他一級三葉虫コレクターを見ていたら、私も手に入れてみたくなり現在に至った。 面白い三葉虫だが、やはり飛び出した目の破損が怖い。 ロシア産三葉虫は複眼が残りにくいらしく、次は複眼が残った三葉虫を手に入れたい等と考えている。
化石 オルドビス紀Shimomotoyama3
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メガロドンの歯化石(国産)
【推定年代】 新生代新第三紀中新世〜鮮新世(約2500〜400万年前) 【産地など】 宮城県 【解説】 宮城県産メガロドン(Otodus megalodon,ムカシオオホホジロザメ) の歯化石。 画像1〜7枚目の大きめでセレーションの保存が良い青白い歯は、歯冠部だけの部分化石で、最大長75mm重量40.2g。 画像7〜8枚目の褐色のものは歯頸帯と呼ばれる部分と歯根の化石で、少しだけ歯冠のエナメル質も残っている。重量17.9g。 いずれも別個体のもの。 既に紹介しているUSA産メガロドン歯化石と比較しても、形状及び歯冠のエナメル質やセレーション他の形態が殆ど同じである。 このように国内でもメガロドンの歯化石は見つかり、特に宮城県は有名な産地があった。 メガロドンの存在を知らない昔の人はこれを「天狗の爪」と呼び、畏れていたという。 似たような事例として、江戸時代の人々が縄文時代の磨製石斧や石棒を偶然発見した際、これを「雷斧」と呼び、雷神の落とし物だと考えていた記録がある。
化石 新生代Shimomotoyama3
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メガロドンとホホジロザメの歯化石
【推定年代】 メガロドン:新生代新第三紀中新世〜鮮新世(約2500〜400万年前) ホホジロザメ:新生代新第三紀鮮新世(約500万年前) 【産地など】 メガロドン:アメリカ合衆国 ホホジロザメ:千葉県銚子市名洗層群 【解説】 非常に保存状態の良いUSA産メガロドン(Otodus megalodon,ムカシオオホホジロザメ) 歯化石と、国産ホホジロザメ(Carcharodon carcharias)の部分歯化石。 画像一枚目の比較では成体(メガロドン)と幼体(ホホジロザメ)のような差があるが、いずれも成体のもの。 メガロドン歯化石の巨大さに霞んで見えるが、ホホジロザメの方もかなり大きい。(メガロドン:長辺125mm重量239g、ホホジロザメ最大個体:長辺35mm重量3.6g。 。) サイズ感は大きな差があるが、歯の形状及び歯冠のエナメル質やセレーションは酷似しており、近縁な種類である事を感じる。 メガロドンはかつてホホジロザメの祖先種(ホホジロザメ属Carcharodon)であるとされていたが、最近では否定する学説(ネズミザメ目絶滅属Otodusから枝分かれした説)が主流となっている。(しかし、この説も確定したわけではないらしい。) また、このホホジロザメ化石も鮮新世のものなので、現生ホホジロザメとも厳密には遺伝的に隔たっていると思う。(人類も500万年前にはまだ猿人〜原人段階だった。) メガロドンもホホジロザメも海棲哺乳類を主要な餌としており、餌の嗜好性も近いという。 20年ほど前に放映されたBBCの「古代の海へタイムスリップ(原題:Sea Monsters)」という番組で、メガロドンが取り上げられ、子供の頃の私はいたく感銘を受けていたのを記憶している。 メガロドン及びホホジロザメは、数あるサメの中でも最も格好の良いフォルムをしていると個人的に思っている。
化石 新生代Shimomotoyama3
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縄文土器 大洞式系小壺土器
【推定年代】 縄文時代後期〜晩期 【産地など】 岩手県九戸郡軽米町山内駒板 【解説】 文様や器形等から大洞式の小壺型土器と見られる完形品の壺。 大洞式(亀ヶ岡式)は縄文後期〜晩期の北東北(青森・岩手・北海道南部)に多く見られる土器様式だが、本資料には特に岩手の土器っぽい印象を受ける。 全体に撚糸文を施し、口縁部は一度円柱状に窄めたあと解放している。 大きさの割に重さは324gしかなく、超絶技術で薄手に成型されている。 弥生時代初頭にこの大洞式(亀ヶ岡色)文化の担い手だった北日本の縄文人は、新しく渡来してきた稲作技術に関心を持ったのか遠く2000km離れた北部九州まで南下し、小壺土器等を搬入して当地の弥生土器成立へ若干の影響を与えた。 従って北部九州平野部で出土する弥生土器には、北東北亀ヶ岡式文化の影響を強く受けた本資料のような壺も見られる。
考古Shimomotoyama3
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Hoploscaphites nicoletti
【推定年代】 中生代白亜紀後期マストリヒチアン 【産地など】 アメリカ合衆国 【解説】 白亜紀の最終末に生息した異常巻アンモナイトの一種、ホプロスカフィテス属のアンモナイト。多分マクロコンク(雌個体)。 一部リペアの跡が見られるが、全体的に形態の保存は良い。 アンモライトに類似した光沢があるが、産地の定義上アンモライトには分類されない。 母岩付きで裏側には別個体のネガが見られる。
化石 白亜紀Shimomotoyama3
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Gaudryceras tenuiliratum とその他
【推定年代】 中生代白亜紀後期サントニアン〜カンパニアン 【産地など】 北海道 【解説】 ゴードリセラス・テヌイリラタム(Gaudryceras tenuiliratum)とその他アンモナイトの群生標本。 テヌイリラタムは入門種のような扱いだが、個人的にはかなり良いアンモナイトだと思っている。 瑪瑙化しているやや稀産種のメタプラセンチセラス(Metaplacenticeras sp.)と、ポリプチコセラス(Polyptychoceras sp.)と思われるアンモナイトも群生している。
化石 白亜紀Shimomotoyama3
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緑柱石(アクアマリン、藍玉)
【推定年代】 現代 【産地など】 パキスタン 【解説】 アクアマリンの宝石質な結晶。 重量30ctと大型にも関わらず、トップも表面も良好に保存されている。 透明度が質の良い水晶のように高く、析出物もはっきり確認できる。
鉱物標本Shimomotoyama3
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Jouaniceras (Ainoceras) paucicostatum
【推定年代】 中生代白亜紀後期カンパニアン(約8300万~7060万年前) 【産地など】 北海道留萌郡小平町達布(小平蘂川?) 【解説】 白亜紀の終わり頃、急激に数を増やした異常巻きアンモナイトの一種の化石。 亜属名のアイノセラス(Ainoceras)は、北海道アイヌから名前を取っている。 中心の気房部は巻貝のようだが、住房部にいくにつれ巻きが徐々に解けていく構造をしている。 ほぼ逸失の無い完品の標本で、欠けていることが殆どな気房部の先端も保存されている。 オンラインで確認できる科博所有のホロタイプ標本(同亜属kamuy)よりも、状態が良い。 このクラスのアイノセラスは、そこそこな保存度のニッポニテスよりも貴重なのではないか。 割れずに保存された運の良さと、超絶クリーニング技術に感服するほかない。 それなりに高額だったが、金額以上の価値と思われる。
化石Shimomotoyama3
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ヤンソンテナガコガネ(Cheirotonus jansoni)の標本
【年代】 1993 【産地など】 北ベトナム 【解説】 中国南部からベトナムにかけて生息するヤンソンテナガコガネのパッキング標本。 沖縄県北部に生息する天然記念物ヤンバルテナガコガネ(Cheirotonus jambar)と非常に近縁な種で、形態・生態的にもよく似ている。 体長約63mm、非常に迫力のあるコガネムシで、最大の特徴とも言える長い前腕部も含めると人の顔ほどの大きさがある。 この特徴的な長い前腕は雄しか持たない。 人の手の入らない原生林に生息し、詳細な生態は分かっていない。 大木にできた樹洞で幼虫が育つ事が判明している程度。 ヤンバルテナガコガネ同様に本種も希少種で、中国では国家重点保護動物に指定されているという。 新生代新第三紀中新世(約1500万年前)にはこのような大型テナガコガネ類が日本本土部にも生息していたらしく、鳥取県で化石資料が発見されている。 なお、本種含む外国産テナガコガネ類は全て特定外来生物に指定されており、生きた状態では日本に持ち込むことができない。 これはヤンバルテナガコガネとの種間交雑を防ぐ意図があるという。
昆虫Shimomotoyama3
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メソポタミア文明の土偶
【推定年代】 メソポタミア文明後半期〜中アッシリア時代 【産地など】 上部メソポタミア 【解説】 メソポタミア文明期と推定される地母神土偶。 全高16cm弱。 右耳正面側、鼻、脚部下側が樹脂か何かの素材で補修されている。 画像6枚目は、すでに紹介しているメソポタミア文明の土偶残欠との比較。 大きさがほぼ均一に造られている事が分かる。 この鳥とも蛇ともつかないような謎の偶像は、新石器時代〜金属器時代の古代西ユーラシア世界においては普遍的に見られた。(既に紹介中の、ヴィンチャ文化ならびにヒッタイトの土偶も同じものか。) 農耕の開始と何かしらの関係があると考えてみても良いかもしれない。
考古Shimomotoyama3
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古代地中海ガラス玉
【推定年代】 BC2~AD2 【産地など】 地中海地方 【解説】 ローマ初期、前2~2世紀ころのローマン・ビーズで、濃紺のクリアなガラスで制作された長径11mm程のガラス小玉。 ちょうどパチンコ玉と同程度の大きさ。 引きガラス製法で制作され、このため本品の胎には、縦に細い線が確認され、また、孔の両端の面でも孔に向かい細い線が表層近くに残されている。 気泡崩れの跡や縦線の割れ目、また、両側の気泡崩れなど孔などに、小粒の銀化が確認できる。 銀化は、弱い酸性の水がガラスに浸透して、ガラスの成分が周囲の鉄、銅、マグネシウム分などと化学変化が生じ、形成された被膜によってプリズムのような光学干渉を起こして虹色に見える、古代ガラス特有のパティナ(古色)の一種。 特に東地中海地域で制作され、古代世界で植物灰ガラスに代わって圧倒的になったナトロン・ガラスで銀化が多く発生するとされる。 ローマ期のロイヤル・ブルーからネイビイ・ブルーの発色には、少量のコバルトが用いられ、本資料の濃紺や青は、ローマ期のクリアな青ガラスと同様に、コバルト青を着色剤に用いたと想定される。 地中海や西アジアで制作された古代ガラスは、シルクロードを経由して弥生〜古墳時代の我が国にも齎されており、例えば弥生時代の北部九州にみられる首長クラスの王墓では、この様なローマンガラス製ガラス小玉が副葬品として既にみられる。
考古Shimomotoyama3