山梨県甲州市塩山竹森 苦土電気石入り水晶①

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水晶採取初心者は、まずここの水晶から始まった方が多い、そう聞きます。

塩山駅からしばらく歩いた場所に産地があり、学生や子ども連れのグループをはじめ、愛好家たちが簡単にアクセスできることから頻繁に採取が行われていました。小粒ながら内包物が多い北斜面(北山)に対し、大きくクリアなものが取れる南斜面(表山)と、場所により採れるものが異なりました。しかし、どちらもあまりにも荒らされてしまったことで、2010年代中期頃に完全採取禁止となりました。

竹森の水晶の歴史は非常に古く、付近にある神社が「玉宮神社」とあることから、玉=ぎょく=水晶が採れる場所として、神社設立の頃から水晶産地として知られていたようです。明治10年の内国勧業博覧会に、当地のススキ入り水晶(当時は草入り水晶と名付けられていた)の原石、玉、印材、花瓶が出展されていました。無論、明治時代以降の水晶加工業が盛んになった時、竹森の水晶採掘も盛んになりました。

裏付けるかのように、水晶峠の草入り水晶と並んで、印材やかんざしに使われる素材には、竹森の水晶が多いです。時には「国産ルチル入り水晶」という謎名称で販売されていることもしばしば。パワーストーン界隈では、針状鉱物=ルチルと思われる方が多い様子。

こちらの水晶は4.7cmで、苦土電気石、微量の白雲母が内包された、典型的な「ススキ入り水晶」です。昭和後期に採取されたもので、当時でも立派な大きさの水晶となります。

頭が不完全ではありますが、内包物に注目すれば素晴らしい標本です。

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