KONISHIROKU HEXANON 1:2.8 f=35mm

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このレンズは1962年に登場したようです。ネット上の情報には「Konica FSとともに1962年に登場した」との説がありますが,FSはFと同じ年,1960年の終わり頃に発売されているのでちょっと違う気がします。1962年にはFSの後継機であるFPが発売されていますので,このレンズの発売が1962年だとすればFPの登場と前後して発売された,と考える方が自然であるように思います。まぁ,今となってはよくわからないし,わからなくてもまったく困らない話なのですが。

コニカFマウントレンズのなかでは35mmがもっとも広角なレンズでした。高級路線まっしぐらであったKonica Fと同時に発売された35mmは上位の開放F値がF2のレンズでした。35mm F2はARマウントに移行後もよく写ると言われているようですが,あまり見かけません。ARマウントでさえも見かけないくらいなので,当然のことながらKonica Fマウントの35mm F2は見たことがありません。F2.8はコニカFマウントの第一世代ではなく2年遅れでの登場ですが,ARマウントに移行後も最後まで残っていました。

Hexanon 35mm F2.8のレンズ構成は典型的なレトロフォーカス型で,3群4枚のテッサーの前に2群2枚を付け加えてバックフォーカスを長くとり一眼レフカメラに適合させた構成です。これは1950年に世界ではじめてレトロフォーカス型レンズを商品化したP. ANGENIEUX PARISのRETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5とほとんど同じ構成です。ただし,アンジェニューはF2.5ですが,小西六はF2.8で明るさは少し控えめです。

Type R1のレンズ構成を見るとすぐわかるとおり,第一群が飛び抜けて大きな径を持っています。1950年当時はこの構成は大発明だったわけですが,その後,レトロフォーカス型の光学系も少しずつコンパクトになっていきます。Hexanon 35mm F2.8はType R1から遅れること12年での登場ですが,レンズ構成が大きく進歩したような印象はうけません。実際,F2.8という暗めのレンズなのにずいぶんとデカいです。和製アンジェニューなどと呼ばれたりすることもあるようですが,これは褒め言葉として受け止めるべきなのかどうか,微妙です。

Hexanon 35mm F2.8のARマウント版はそれほど珍しいものではありませんが,コニカFマウント版はあまり見かけません。コニカFマウント版には,プリセット絞りのものと自動絞りのものがあります。Hexanonに詳しいサイトでは,どちらのバージョンも最短撮影距離は30cmとされています。しかし,手元の個体は自動絞りバージョンで最短撮影距離は60cmです。そのため,ひょっとすると,絞り方式以外にも光学設計のバリエーションが存在するのかもしれません。

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