smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited

0

2002年の夏頃に登場したPentaxの最初のLimitedレンズです。特に販売数に制限があるというようなことはなく通常のレギュラーモデルとしてラインナップに加わっています。

Limitedという名前は何かの限定版という意味よりはむしろ,サブブランド名として使われています。FA Limitedレンズは43mm, 31mm, 77mmの3本が登場していて,最近はD FA 21mmもLimitedレンズのシリーズに加わっています。APS-C用レンズにはDA Limitedシリーズがありますが,FA Limitedレンズはデジタル一眼レフカメラの登場前夜(Pentaxの最初のデジタル一眼レフカメラは2003年に登場した*istDでした)のフィルム時代の最後を飾るレンズでした。したがって,デジタルカメラを前提としたDAレンズやD FAレンズとは開発のコンセプトも根本的に異なっていたと考えられます。とはいえ,FA 43mm Limitedの開発時には*istDの登場は規定論戦だったはずなのにもかかわらず,APS-C用ではなく35mm判(フルサイズ)用のレンズとして登場したことはとても興味深いものがあります。

FA 43mm Limitedはおおよその企画だけ決めておいて細かいスペックは開発しながら自由に決める,という普通では考えられないようなプロセスで完成されたレンズ,のようです。そんなこともあって,最初から売る気がなかったのでLimitedという看板をつけて,いざとなったらLimitきましたぁ,とかいってさっさとディスコンにするつもりだったのかもしれません。

結果として,コンパクト,シャープなのに柔らかい,ボケが綺麗,高い質感のボディ,といったある種の贅沢仕様が市場に受け入れられて結果的にロングセラーモデルとなりました。おそらくメーカーが想定していたよりもよく売れたのだと思います。そのため,31mm, 77mmと後続のモデルも登場することとなりました。後続のレンズには指かかりとして七宝焼の「ぽっちり」が付いているというさらなる贅沢な仕様になっていますが,43mmはさすがにそこまでの贅沢はしなかったようです。後継のHD FA 43mm Limitedには七宝焼のぽっちりがついていますが,オリジナルにはついていない,というのが当時の売れるかどうかわからない不安を反映しているように思えてしまいます。

手元の個体はPentax K-7とあわせて調達しましたのでたぶん2010年頃に導入したのだと思います。Pentaxのデジタル一眼レフはK-1が登場する2016年までフルサイズセンサーのカメラはありませんでした。K-7があまり気に入らなかったということもあって,ほとんど使わないまま防湿庫で死蔵していましたが,遅ればせながら改めて持ち出して使うようになりました。使ってみると,普通によいレンズで,なんで今まで使ってなかったんだ,と己を責めてしまいます。

このレンズによる作例を
https://mor-s-photo.blogspot.com/search/label/smc%20PENTAX-FA%2043mm%20F1.9%20Limited
においています。

#レンズ #AF #Pentax #PKAF #PK #smc_PENTAX-FA #43mm #F1.9 #標準 #単焦点 #Limited

Default