Dune

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アナログレコードでの解説と同じ内容です。

1979年発表
F.HerbertのSF小説「砂の惑星」にインスパイアされた作品。荒涼としたアラキスの砂漠の風景を彷彿とさせる無機質なシンセサウンドにWolfgang Tiepold の演奏するチェロが有機的な音色で装飾する。リズムの無い荒涼とした砂漠世界をイメージしたサウンドはどこまでも果てしなく、心の中へ深く染み込んで行く。そのサウンドは不思議な程生々しく、またエロティックだ。聴く人間の内面或いは精神面の深淵に突き刺さる。いや、突き刺さる事がない程落ち込み続け、気付けば心の内面全てが彼の音楽で充たされ浮かび上がる事の無い重量感に襲われると同時に、深海を浮遊しているような奇妙な気すらする。 レコードのA面全てを使ったタイトルナンバーは、リズムが無く時には静かに時には激しく流れる。眼を閉じ心を開くと鮮やかな映像が展開され、時間も感覚も無い世界に誘われる。 この不思議な世界が何とも心地よい。
B面では一転して激しいリズムにArthur Brown のヴォイスが重なる。テキストはクラウスとアーサーとの共作だ。タイトルは 歌詞の一節からShadows of ignorance とされているが、当初はArrakis とされていたそうだ。
クラウスとアーサーは1977年アイランドレコードの食堂で出会い、クレイジーワールドのファンであったクラウスがアーサーに一緒にレコーディングする事を申し入れた。同年のパリとブリュッセルでのライヴを共に行い意気投合した彼らはクラウスの新作にも参加する事になった。
これは新設されたクラウスの自宅スタジオで作られた最初の作品で、カバーはタルコフスキーの名作「Solaris」の中のワンシーン。
プロモーションツアーでは面白い話が伝わっている。世界的なヴァイオリニストKidon Kremer が当時ドイツに住んでおり、クラウスを当時の最も重要な作曲家の一人と考えており共演を望んでいた。クラウスもXやDUNEでクラシックの演奏家と仕事をして良い感触を持っていたのでBremenでのツアー初日に共演する予定だった。ところが、クラウスのライヴでは楽譜を全く使用せずに彼のシンセに合わせて自由に即興での演奏を期待されていた事を知って、そのような経験が無いと辞退してしまった。実現していたらと思うと残念だ。

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