『LIVE ANTHOLOGY 1965 -1968』

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2001年にヴァレーズ・サラバンド・レコードからリリースされた、本作はスペンサー・デイヴィス・グループのスタジオセッションとライヴ音源を集めた編集盤だが、ボーナストラック以外は「Mojo Rhythms & Midnight Blues The Live Album Vol. 1: Sessions 1965 -1968」、「Mojo Rhythms & Midnight Blues The Live Album Vol. 2: Shows 1965 -1968」の2枚のアルバムと同じ音源。スタジオセッションの楽曲はオリジナルに比べると格段にパワフルでノリが良く、こちらを聴いてしまったら原曲が物足りなく感じるほど。 「I Can’t Stand It」や 「Goodbye Stevie」などのセッションテイクは臨場感に溢れていて新鮮だし、極め付けは代表曲の「Gimme Some Lovin’」と「I’m A Man」で、オリジナル以上に黒っぽさを感じさせる素晴らしいプレイを聴くことができる。ライヴ音源の収録地は英国、ドイツ、フィンランドで、なかでも英国ライヴにおける「Stevie’s Blues」は、スタジオテイクの原曲である初期ヴァージョンを収録。8分に及ぶスリリングなスロ-ブルースで、スティーヴがピアノを弾きながら旋律に合わせて即興で歌うパートも聴きどころ。また、スペンサー・デイヴィスの持ち歌「Dust My Blues」では、スティーヴが弾くソリッドなギターソロなど、ティーンエイジとは思えないパフォーマンスを披露している。 あと、ジャケットとディスクのレーベルの曲表記に誤りがあり、3曲目はスペンサー・デイヴィスの持ち歌である 「Midnight Special」と書いてあるが、実際はスティーヴ・ウィンウッドのヴォーカルによる「Midnight Train」が収録されている。 収録の全20曲中後半の5曲がウィンウッド兄弟脱退後の録音で、そのうちボーナストラックとして収録された「Mr. Second Class」と「Good Old Days」は、1997年にスペンサー・デイヴィスが、ベニー・デリンジャーらと共に制作したアルバム「Keep On Running」からの選曲。
“天才少年”スティーヴィーの歌と楽曲がいかんなく発揮されたアルバム。黒人ばりのシャウトしたヴォーカルには当時から驚かされた。選曲されたものは外せないものばかりでこの1枚で充分スペンサー・デイヴィス・グループを満喫できる。スティーヴには今でもこうした楽曲をやってほしい。

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