MUUSEO SQUARE
河出書房新社 2006年
そばにおくだけで心が潤う、眺めているだけで癒される。小さな球に誰かが封じ込めた優しい思いが伝わってくる。可憐優美、愉しい、繊細なガラスの小宇宙、キラキラと輝く雪の降る魔法世界、それがスノードーム。作家・百瀬博教が案内する人工の美の世界の極み。
3000個のスノードームを所有するコレクターが語る、わずか10cmの「世界」に没頭する楽しさとは?
子供の頃にテレビで見たアメリカの映画。映画のタイトルは思い出せないけど、クリスマスツリーの足元に置かれたスノードームのシーンは今でも覚えている。無邪気な子供がスノードームを振ると、ガラス玉の中では星が降ってきたかのような、まばゆい輝きを放っていたのだ。あれから30年近くが経ち、何気なく見ていたテレビ番組で、スノードームのコレクターを特集を見かけた。そのコレクターの名前は伊達ヒデユキさん。20年ほど前からスノードームを集め始めた長年の収集家だ。今では3000個以上のスノードームを所有し、伊達さんの仕事場には綺麗に並べられている。さっそく、伊達さんに取材にお願いをしてみた。あの映画で出てきたスノードームの輝きを、もう一度見たくて。