オーストリア発祥のPEZ、当初は禁煙が目的のキャンデーだった⁉︎
アメリカ生まれのイメージのPEZだが、その発祥はなんとオーストリア。ウィーンに住んでいたエドワード・ハース三世という人がペッツの生みの親であり、彼は砂糖片にペパーミントオイルという画期的な食べ合わせを見つけ出した。ペパーミント(ハッカ)キャンディの発明である。この発明こそがペッツの起源であり、ペパーミントキャンディの起源でもあった。これが1927年の出来事。そして、これをドイツ語のペパーミント「PfeffEeminZ」という単語の、最初の”P”、真ん中の”E”、最後の”Z”の三文字をとってPEZと命名されたのである。(海外では「ペズ」と発音するそうなので要注意)
このキャンディはもともと健康マニアだったエドワードが禁煙を助けるために発明したキャンディであり、当初は喫煙者のために売られていたため、この頃はディスペンサーはまだなかった。そして、エドワードとシガレットライターの発明者、Oscar Uxaの出会いにより、1948年にキャンディを収める容器は喫煙者が対象だったためライター型のディスペンサーとして製作された。
翌年、1949年にライター型の商品が”PEZ-BOX Regular”として、ウィーンでそのデビューを果たした。この初期の形のディスペンサーをペッツコレクターたちは”Regulars”と読んでいる。
PEZの象徴、ヘッドが登場!
PEZオリジナルの代表キャラクター
オーストリアの市場からアメリカへ進出をしたのが1952年。現在のペッツは、ミッキーやドナルドといったキャラクターの顔が当たり前だが、キャラクターヘッドはアメリカでのペッツ発売開始からである。ディペンサーの側面に刻まれているパテントナンバーもこの頃から入るようになった。そして、キャンディはミントだけではなくフルーツフレーバーも加わり、大人の喫煙者を対象にしたものではなく子供を対象として発売された。
60年代にはいると、版権元に許諾を受けたキャラクターもののディスペンダーが初めて登場する。初めて採用されたキャラクターに関してば諸説あり、最初にディスペンサーについたキャラクターはポパイとも言われている。その後、人気テレビ番組の漫画キャラクターやオリジナルのキャラクターが数多く作られるようになり、TOY的な側面を強く持つようになった。
現在、PEZは90カ国以上で販売され、これまでに9000万本のディスペンサー、42億個のキャンディーが販売された。このPEZのキャンディーを全て一列に並べるとなんと地球を1.5周できる計算になる。お菓子の中では世界有数の規模と言える大人気のお菓子となった。ヘッドだけで、有名なキャラクターを含む600〜700種類というPEZのバリエーションの豊富さは、PEZのコレクションというジャンルをも成立させた。子供をメインターゲットにしながら、コレクターたちも大事にしていく。こうした姿勢が、子供から大人まで、幅広い層がPEZを支持する理由であると考えられる。
森永とPLAZAの販売PEZの違いって?
販売当初は100円だった森永PEZ
森永製菓がPEZの販売開始したのは1972年10月。1971年に菓子類の輸入が自由化された日本で、Disneyキャラクターのお菓子を販売していた森永製菓に話を持ち込んだのがそもそもの始まり。そして現在、日本で販売されているPEZには2種類がある。
ひとつは森永製菓がスーパーやコンビニなどで販売している定価200円のもの。もうひとつは、PLAZAのような輸入雑貨ショップで350円ほどで販売されているもの。日本では、ディスペンサーのキャラクターの変更はおおよそ年1回行われ、最初はPEZ社から新キャラクターのオファーがあり、採用して商品化される流れでだったが、2003年6月に日本がオファーして商品化されたサンリオキャラクターシリーズを皮切りに、日本発キャラクターのディスペンサーの商品化に積極的になった。
オーストリア、他で生産されたペッツを日本独自のパッケージに梱包しての販売しているため、商品自体が日本オリジナルのものもある。日本人が海外のパッケージを珍しがるのと同様に、海外のペッツコレクターには、日本のパッケージが珍しく感じるレアな一品ともなっており、実際にペッツコレクターが集まる海外で開催されるイベントでは森永ペッツの人気もかなり高かったという。
パテントNo.による、年代の分類方法などをご紹介!
PEZの胴体部分に刻印されている数字部分はパテント・ナンバーと呼ばれる。この数字は、そのPEZがおおよそ製造された年代を区別する目安になる数字である。時代のナンバー区別は以下の通り。
変わり種PEZの数々。
オールドペッツ
1927年にペッツキャンディが誕生し、1948年に最初のペッツディスペンサーが登場。”オールドペッツ”と呼ばれるペッツは、一般的には1987年以前製造の足のないペッツとされているが、現在販売されているペッツも20年後にはオールドと呼ばれるであろう。ペッツコレクターにも一番人気の高いシリーズである。
日本のキャラクターPEZ
日本のキャラクターPEZ
日本で販売されているペッツには2種類あり、輸入商品と森永製菓が販売している日本発の商品である。森永製菓がPEZの販売開始したのは1972年10月。1971年に菓子類の輸入が自由化された日本で、Disneyキャラクターのお菓子を販売していた森永製菓に話を持ち込んだのがそもそもの始まりである。森永ペッツは、森永から販売キャラクターの提案を行い、商品化されるという流れである。日本発の森永ペッツは海外でも人気があり、その背景には日本アニメ・キャラクターの人気がある。更に森永ペッツはディズペンサーにも柄がある事もあり、海外ペッツに比べてより可愛らしさが加わった商品となっている。他にもキャラクターの再現度にも定評があり、そのリアルさからキャラクターファンからの人気も高い。やはり日本人にとって馴染みの強い商品の方が愛着が湧きやすいのではないだろうか。
世界で開催されているPEZ Gatheringの実態!
世界各国で開催されるPEZ Gatheringというペッツコレクターによる、ペッツコレクターのための一大イベントがある。イベントの内容は、主催者所有のペッツの展示やコレクター同士の交流、ディーラーによるペッツの販売、参加者によるペッツの販売、オークション、ビンゴ大会などである。PEZ本社(pez.at)と森永製菓株式会社様のご協力により作成した、そのイベントでしかゲット出来ない超レアな特別なカラリーングの別注ペッツを特別価格での販売もある。コレクター同士でお目当のペッツやレアなペッツが手に入るコレクターは要チェックのイベントである。
PEZらしいポップな看板につられて中へ。
壁一面に並べられたPEZ。
ファン同士の会話も弾む。
まるでお店のようなレイアウトに心が躍る。
PEZの魅力に迫る。
現在も販売されているPEZの形なってから50年以上経過するが、今もなおファンから愛され続け、毎年新しいものが登場している。そんなPEZの魅力とは。
コレクターでもPEZの種類は把握しきれていないという。なぜなら、コラボシリーズ、限定PEZ、色違いなど様々なバージョンで発売されるから。さらに、販売社も世界各国に複数ある。時にその差は細かすぎて伝わらないほどであるが、ファンにとってはその微妙な違いが楽しみの一つだ。また、スターウォーズやオリンピックなどその時代を代表するPEZが販売される。
つまり、PEZは時代のブームを表現しているのである。好きだったキャラクターのPEZやオリンピックなどアニバーサリーのPEZは、自分の人生の形に残るメモリアルになるのではないだろうか。
大きさもちょうどよく、インテリアとしても飾ることができ、自分の好きなシリーズや思い出のPEZは日常で楽しむことができるのも魅力のひとつ。規格がずっと変わらず、50年前に販売されたPEZにも今のキャンディーがはいるため、時間を超えて繋がることができる。また、自分が生きていなかった時代のブームや歴史背景を知ることもできる。
コレクションのゴールが見えないほど種類がたくさんあり、毎年、必ず新しいPEZが登場するため飽きがこない。そして、ゴールが見えないからこそ気軽に自分のペースで好きに集めることができる。このように、PEZには一言では語れぬ多くの魅力があり、ファンにとっても抱く魅力は様々なのだ。
ーおわりー
似ているようで似ていない、癖になる魅力。
好きなキャラは思わず箱買い。
並べると大迫力。これは家に飾りたくなる!
あの人気バンドをイメージしたカスタムPEZも。
トイ・フィギュアを一層楽しむために。編集部おすすめの書籍
WarmanのPEZガイド
世界初で唯一のPEZ公式ヒストリアンであるショーン・ピーターソン氏と一緒に、PEZの旅に出かけてみませんか?
PEZ: From Austrian Invention to American Icon (American Palate) (English Edition)
PEZはアメリカの定番商品であり、子供の頃の思い出の品でもあります。PEZの起源はオーストリアにあり、1927年にタバコに代わるものとしてペパーミントを圧縮したタブレットを販売したのが始まり。1952年にアメリカに到着すると、PEZはすぐに新しい方向性を示し、フルーツフレーバーや立体的なキャラクターの頭部をディスペンサーの上に載せました。現在、コネチカット州オレンジで生産されているPEZブランドは、世界80カ国以上で販売されており、年間6,500万個以上が販売され、世界中のコレクターやファンを魅了しています。世界初で唯一のPEZ公式ヒストリアンであるショーン・ピーターソン氏と一緒に、世界で最も愛されているインタラクティブ・キャンディの内側を見るための甘い旅に出かけてみませんか?
終わりに
中学生の時、「どうせお菓子を持つなら可愛いものが良い。」そんな気持ちで数本のみ持っていたPEZ。まさか、50年以上も歴史があり、膨大な種類が存在するなんて想像もできなかった。今回、取材を通して私はPEZがアナログであることに私は魅了された。中学生だった頃から比べて、デジタルは驚くほど進化した。しかし、PEZは何一つ変わらぬ姿で愛し続けられているのである。魅力にて触れているが、自分の当時好きだったキャラクターのPEZを買えば、それはもうただのPEZではなく自身のメモリアルである。何より、全てを集めるのが無理とわかっているからこそ自身のペースで好きなように集められるのも魅力であると感じた。海外に行ってもPEZは必ず販売されており、お土産にもぴったりなため思い出作りのお供として集めてみてはいかがでしょうか。