TUDOR RANGER Ⅱ(チュードル レンジャー2)。色褪せないスペースデザインをまとう

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取材・文/廣瀬 文

世にはさまざまな収集癖をもつひとがいると思いますが、我がMuuseo編集部にも強いこだわりがあるモノ好きがここにひとり。本人はいたって普通と言うモノ集めの対象は、幼少期の昆虫採集から始まり、靴や、模型に茶器、ミニチュアなどジャンルは多岐に。この連載は、Muuseo編集長・成松がいちモノ好きとして自身の愛用品をひっそりと語るコーナーです。今回はフィルムと文字盤が特徴的な、TUDOR RANGER Ⅱ(チュードル レンジャー2)を紹介します。

TUDOR(チュードル)とは

高価でなかなか手に届かないという印象のあった時計ブランド・ロレックスが、より親しみやすい時計として普及させたいという思いから立ち上げた弟分的存在のブランド。トレードマークはバラと盾。

RANGER Ⅱ(レンジャー2)とは

チュードルのレンジャーシリーズにはレンジャー1がある。そのモデルは当時ロレックスが探検家をイメージして発表したエクスプローラ1に近いデザインから、レンジャー1はエクスプローラ1と対になるモデルとされている。その後ロレックスはエクスプローラー2、チュードルはレンジャー2と発表されるが、2世代目のデザインは互いに似ていない。エクスプローラーもレンジャーも冒険家や探検家をイメージして作られた、防水タイプのアウドドア仕様となっている。

機械式腕時計とは

腕時計には電池式と機械式の2タイプある。電池式は電池を動力として使うが、機械式はゼンマイを巻き上げて、それを動力として動く。
機械式には、手でゼンマイバネを巻いてエネルギーを蓄積する”手巻き”と、腕に装着し手を動かす事で自動的にエネルギーを蓄積することができる”自動巻”とがある。

ロレックスの弟分、チュードル

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今回ひっそりと語らせてもらうのはこちらの時計、チュードル レンジャー2です。

連載初回に時計、というと僕がどれだけの時計愛好家かと想像する人もいるかと思いますが、実はそれほどでもない(笑)。好きで所有している時計はほんの数点。ただ、その中でもこのモデルは僕にとって特別なんです。

何故ならそれは「かっこいいから!」というひと言に尽きるのですが、それでは連載が終わってしまう(笑)ので、敢えて説明するなら、文字盤とフォルムのデザインでしょうか。

文字盤は、数字はローマ数字よりもアラビア数字。長針、短針、秒針のカタチもぽってりとして洗練されすぎていないところが僕好みです。色も、洋服とコーディネートするうえで重要ですね。文字盤のネイビーは洋服との組み合わせの幅が広くて合わせやすい。ちなみに、シルバー×紺色をつけるときは洋服は青や黒系統、ゴールド×紺色をつけるときはベージュやオレンジ、カーキをあわせて着るように2本を使い分けてます。

チュードル レンジャー2は、レンジャーと名前が付いているように探検家をイメージして作られたスポーツモデル。2というくらいなので、もちろんレンジャー1というモデルもありますよ。アウトドアでも使える防水機能を備えたオイスターケース(フェイスボディが牡蠣の殻のように機密性のある作り)搭載のがっちりボディ、そしてずっしりと重く頑丈なステンレスブレスレット。この組み合わせ。ちょっとやそっとでは壊れないタフさを感じますよね。実際つけてみると、本当に重い。でもそこがいい(笑)。いかにも着けてるぞと思わせる存在感がたまらないです。

堅牢さとチープさを兼ね備えた稀有な腕時計

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フェイスは、スペースエイジと呼ばれた1970年代特有の近未来・宇宙を感じさせる曲線を強調したデザイン。チープでキッチュな印象もあります。

時計を斜めに傾けたアングルで見ると、フェイスの丸みと厚み、そしてギザギザ部分が大好きなSF映画の円盤型宇宙船を彷彿とさせます。

この時計に限らず、好きなモノの原点を辿ると、僕はフォルムフェチといいますか、昆虫採集をしていた幼少期からモノのかたちに強く惹かれるところがありまして。彼らが生きるうえで成るべくしてなった姿に美しさを感じるように、モノにも機能を追求したと感じさせるフォルムにぐっとくるんです。でもそれは、単にシンプルで洗練されていればいいというのとは違う。自然界で生き残るための無骨さや野性味も感じさせるものであって欲しい。

さらに欲をいえば、機能を追求しながら洗練されすぎない”隙”も兼ね備えて欲しいんです。そう、ちょっと矛盾してる(笑)。でもいるでしょ、カモフラ柄で木肌にうまく隠れているのに、なんでこんな異常に長くてアンバランスな触角持ってるのか?っていう昆虫。難しいんですが相対するものを同時に兼ね備える、そのバランス配分に僕はうるさいんですよね。

ちょっと長くなってしまいましたが(笑)、このチュードル レンジャー2も造りとデザイン、相対する堅牢さとチープさを兼ね備えた絶妙な1本なんです。下手するとダサくなってしまう一歩手前、ギリギリのラインを攻めるところが僕のモノ好きのツボを的確についてますね。

この時計と最初に出合ったのは、銀座の松屋でやっていたアンティークウォッチの催事場でした。展示ケースにゴールドモデルが並んでいるのを見つけて、興奮しましたね。

昔雑誌で見てずっと欲しかったモデル、しかもほぼ新品の状態でそこにあったので。ただ、当時はシルバーボディのものを探していた。「シルバーは?」と、ちょっと怪しげなネパール人バイヤーに聞いたところ、無いと。逆に「ネパール人は金が好きだから、こっちの方がいいよ」って強く勧められて、「いやそういう問題じゃないでしょ(笑)」とか突っ込みましたけど。次いつ出合えるかどうか……と悩んだ結果、ゴールドを購入しました。

シルバーはその数年後。ヴィンテージ腕時計を取り扱うウェブサイトで見つけたときは「遂に!」と思いましたね。もちろん即決。そういった経緯で、結局、金銀色違いで揃えてしまいました。でも、好きだからしょうがない(笑)。

MuuseoSquareイメージ

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あと、もうひとつ、フォルムとデザインに加えて、機械式の時計というところがチュードルレンジャー2のポイントですね。常に着けたりネジを巻いたりしないと時間もズレるし、勝手に止まる。3年に一度、メンテナンスに出さなきゃ具合も悪くなる。何でしょうね、人間と同じなんですよ。気にかけてあげなきゃいけなくて、でもその分、自分と連れ添っている感覚がもてる。”手間のかかる個性的なパートナー”それが僕にとってのチュードルレンジャー2です。

ーおわりー

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公開日:2015年6月5日

更新日:2021年11月19日

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廣瀬 文

オトナかわいい女性に憧れるアラサー編集部員。憧れの女史は、石田ゆり子さまと本上まなみさま。ずぼら脱却にお茶か日舞を習ってみようかと思案中。最近気になる被写体の組み合わせは「おじさんと犬」。

終わりに

廣瀬 文_image

編集長からチュードル レンジャー2への愛をとつとつと語られまして
最初は「高級時計のひとつでしょ〜」なんて思っていた私ですが
「言われてみれば円盤に見えるかも!」、「数字のカタチに愛嬌があるような」
話を聞くうちにだんだんとレンジャー2が可愛く見えてきました(笑)。
時計全く興味なかったのに……不思議だなぁ。

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