<番外編> 明治期 津軽塗 重硯箱

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若狭塗ではありませんが、明治の作と思われる作品をご紹介します。
横幅六寸半の小型の重硯箱です。津軽では「錦塗(にしきぬり)」と言われる模様です。全面に菜種の魚々子模様が広がり、紗綾形(さやがた)の中にさくら唐草模様が綺麗に描かれています。ちなみに「紗綾形」とは卍(まんじ)つなぎ文の一種で、端正な卍つなぎを菱(ひし)状にゆがめた形のことを言います。表面は研ぎ出してはおらず、艶はあまりありません。木地の正確さは若狭に勝るとも劣らない見事なものです。各段の模様を揃えるのは大変面倒な作業であり、小型ではありますが、製作期間がどれほど掛かったのか想像も出来ない複雑な作品です。華麗さでは若狭塗に一歩譲るかもしれませんが、非常に美しい作品です。

緑色の部分は何かの葉の形だと思うのですが、一般によく用いられる柏や糸瓜とは違っており樹種が分かりません。この葉の形をご存知の方がいらしたら是非お教え下さい。

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