明治17年以前製作 若狭堤辯當 はだれ雪

1

共箱の中に「明治17年11月8日」の書付のある手提重です。大きさは五寸角ほどのもので、「はだれ雪」模様のものです。取っ手の出来が抜群によく、手に馴染みます。共箱の裏に書付の紙が貼られていました。それによると「遠敷郡酒升町の上前安兵衛さんという方から譲り受けたもの」ということです。遠敷郡酒升町は今の若狭町で、小浜市のすぐ隣町です。上前安兵衛さんは製作者なのか、前所有者なのか分かりません。「下婢たき女」とはご本人のことで、「たき」さんという教養ある女性の持ち物だったようです。朱印はこの方の雅号だと思われます。
作品の共箱にこのように正確な日時が書いてあることは極めて稀で、そういう意味では貴重な作品だと思われます。

Default