これなくして精進の道は始まらず。基本を支える擂り鉢と擂り粉木。

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 精進料理修行の基本は胡麻擂りにあり。27歳で精進料理の門を叩いた棚橋さんもこの修行から始まったという。日々鍛錬を積み重ねた棚橋さんでも、姿勢を崩さず一定の力とリズムで擦り続ける過程に約一時間ほどかけるいうこの胡麻擂り。「ところで、なぜ擂り粉木は山椒の木で作られていると思う?」と問いかけを受けるも、答えられず。「山椒の木には殺菌作用があった。擂りながら、その細かい山椒の殺菌成分が調理しながら得られる。昔の人は便利なものがなくとも、知恵があった。そう感じませんか?」海外遠征で持っていく荷物が限られても、精進の心と道具の理を伝えるこのセットは欠かせない。日本でしか手に入らない為、講演先で現地の調理人に譲ることもあるそうだ。動画でもお分かりかと思うが、擂り鉢と擂り粉木を使う棚橋さんの姿にはいっさいのブレを感じさせない。

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